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クラス代表決定戦②

「私はこの拳法を自分の力を最大限にするために進化させていますから!」


そう言いながらシグレは再び構えをとる。


そのまま彼女は体の重心を落とし、地面を蹴り抜く。


「速い!」


相手に一瞬で距離を潰される。


だけど……………それはこちらには好都合。

この圧倒的な思考加速による集中で、完璧に反撃してみせる。


左拳。 体を少し右に傾ける。


右拳。 体を少し左へ………………


「いや…………フェイント!!」

予測通りシグレのその拳は振り抜くと見せかけ消える。


目の前に佇む彼女は姿勢を低くしておりこちらからは頭が見える。


ここまで姿勢を低くするならば、シグレがやりそうなことは一つ。


「はぁ!!!」

彼女の叫び声と同時。

「ズドォン!!」とシグレによる震脚が地面に突き刺さる。


「フシュウゥゥゥ…………………」


技のブレがないように彼女は息を吐き、集中する。

それは、強力な一撃を出すための前準備。


「破!!!」


「見えた!!」


震脚の後に繰り出される恐らくシグレの得意技。発勁。


その攻撃は途轍もなく早かった。

空気を押し退けながら、拳が迫る。

武戦の鳩尾部分を狙ったが、間一髪で避け切る。


そのはずだったのだが…

「…………まさか当たった服の部分が吹き飛ぶとは」


「貴方こそ、私の攻撃をよく避け切りましたね」


「本当に貴方、Eランクなんですか?」


「さあ?」と俺は首を傾げる。


服が掠っただけで吹き飛ぶような威力。当たっていたらかなり危なかったかもしれない。


相手の攻撃は、どれも武術を元としていて特に変わりはない。

だからこそ、俺は分かりかねている。


「‥………情報が足りないな」


そう、彼女の攻撃は特に能力を使った形跡が見られない。

先ほどは俺から攻撃を仕掛けたが、特に能力に関しては何も分からなかった。


「目立つような能力じゃないのか…………?」


「油断大敵ですよ!!」


俺が少し考えている隙に彼女は右足を跳ね上げ、蹴りを仕掛けてくる。


「遅い」


どれだけ速かろうと、自分が避けられる範囲ならばほとんど当たることはない。


狙いは、俺の顎。


瞬時に体勢を下に変え避ける。

シグレの足が伸びるところを狙い、俺は掴もうとする。


「ーーーここ!」


シグレが瞬時に異様と見える動きで体を捻る。


「なっ……………!」


嘘だろ。

彼女の腕は地面に置かれていた。そして蹴り上げていない方の足を避けた俺の先に置いた!?


「何だよその動き…………!」


さながらその動きはブレイクダンス。一つの部位だけでなく全身を駆動させて動いているのか。


今の俺は両手で彼女の足を掴んでいる状態だ。


姿勢を下げながらこれをやっているため必然的に俺の腕は上を向いていることになる。


「どうやって避ける……」


俺の思考加速はとても便利だ。特に回避に関しては他の追随を許さないと言っていい。


だが、あくまで思考が加速するだけ。

世界の速さは変わっていないし、自分の動きが強化されるわけでもない。


ど(・)れ(・)だ(・)け(・)見(・)え(・)て(・)い(・)て(・)も(・)、(・)躱(・)せ(・)な(・)い(・)も(・)の(・)は(・)躱(・)せ(・)な(・)い(・)の(・)だ(・)


今一度、相手の状態を詳しく観察する。

その瞬間、俺は思いついた。


「こうすればいい!!」


両手で掴んでいた彼女の足を、力を入れて前に投げ飛ばす。


「え!?」


シグレもまさかこの状態から投げられるとは思っていなかったのか思わなかったのだろう。

吹き飛ばされながら混乱した声を出し、前転をして向き直る。


「まさか避けられるなんて……………」


「流石にヒヤヒヤしたよ」


あの瞬間投げる選択をした理由は、彼女の体勢を見たからだ。

一つの足を掴まれそうになりながら、もう片方の足も使い攻撃を放つ。


それは相手の意表をつくと同時に諸刃の剣。

当然体を支えるのは足の代わりに腕となる。だが、腕の力は脚と比べると大きく劣ってしまう。


だからこそシグレの足を掴み投げられると判断したのだ。


「今度は俺から!」

地面を強く蹴り、身体を前へと投げ出す。


右拳。シグレが僅かに身体を傾ける。


ーーーー違和感


左拳。勢いを落とすことなく身体を捻り、打つ。


これも避けられる。


右膝。さっきの攻撃から流れるように打ち込む。


「破!!」


だが彼女の片手で逆に膝を打ち抜かれる。


ーーーー違和感


左蹴り。彼女の側頭部を狙った攻撃。


「フンッ」

だが当然のように腕を入れられ、防がれる。


ーーー妙だ

「…………だが何故妙だと感じるんだ?」


無影流

その名の通り相手に自分の影を踏ませないように立ち回る流派。


俺の知っている情報だと、この武術は基本的に相手の攻撃を待ち、当てられそうになることを回避。

そしてすかさず攻撃を放つ。いわゆるカウンターを主な戦い方とする。



何も間違っていない。彼女は主にこの戦い方をしている。

攻めてきた時も、結局はカウンター待ちのようなものだ。


ならば何故、違和感を感じるのだろうか。


分からない。分からないが、この違和感の中に相手を倒すヒントがある気がする。


「探るか……………」


見破ってみせる。そして必ず、シグレを攻略してみせる。





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