クラス代表決定戦①
「私の名前はトワ・シグレ!貴方の対戦相手よ!!」
と意気揚々と出てきたのは髪は藍色で目の色が琥珀色のショートヘアの女性。
まさに俺の対戦相手だった。教室では後ろの席に座っているので、彼女の背中姿は見えていた。
何やら、時々空気椅子をしていたりハンドグリッパーか何かで握力を鍛えていた人。
鍛えるのが好きなのだろうか?少なくともそう考えていた。
こちらが他の人と話していたから待ってくれていたのだろうか。
「待たせてすまない。もう試合始める?」
「えぇ!!貴方には悪いけど、本気でやらせてもらうわ!!」
それはCランクがEランクに本気を出してごめんということか?
「それは勘弁してほしいな。手加減してくれないか?」
そう言葉をつくと、後ろから視線を強く感じる。
ちらっと見てみれば、シェイルがジトーーーとした目でこちらを見ていた。
「いいえ!勝負に手加減なんて邪道よ!!私は手を抜くつもりなんてないわ!」
「じゃあもう始めましょう!私からやらせてもらうわ!」
そういい彼女は独特な構えをとる。それは攻撃を受けず、相手に自分の動きを悟らせないようにするための動き。
「無影流か?」
「あら、分かるんですねッッッ!」
シグレが奇妙な足捌きで接近する。
自分も動きやすいように構えを取り、相手の攻撃を受け入れる体勢に入る。
「破!!」
その声が響いた瞬間、シグレの身体は沈む。
肩が動く。
肘が伸びる。
それは彼女の力を込めた発勁。
攻撃は一切のぶれなく放たれ、小さい木であれば一発で破壊できるほどの威力。
(「問題ない………はっきり見える」)
相手の攻撃を防ごうと、両の腕をクロスする。
数瞬の後、衝撃が腕に渡るがこの程度であれば痛くも痒くもない。
「まだ…………浅い!」
完全に防ぎ切った腕の防御を解除し、相手を視線で追う。
だが、既にシグレの姿は消えていた。
「一体どこに…………」
「後ろよ」
相手の攻撃が来ることが感覚的に分かる。
だが、自分の集中力ならばその全てを予測し避けることができる。
「シュッッッ!!」
シグレの攻撃が迫る。
だが俺は首を少し横に傾けた。風圧が俺の頬を撫でる。
足による蹴りが死角から飛び出すが、完全にミリの誤差なく避ける。
そして俺もその隙を狙い、振り向き際に少し速い拳を振り抜く。
「読める!」
だが、相手も同じように隙が出ないように完璧に避けた。
そしてそのままバク転をしながら俺から距離をとっていく。空中で何回転かして着地し、こっちを見つめる。
「ふーー結構貴方やりますね……正直ここまで動けるとは。もしかして感覚が鋭くなるタイプの能力だったりします?」
「それはそっちにも言えることでしょ。結構さっき早めに攻撃したと思うんだけど?」
「こう見えても私、結構鍛えてますから」
と彼女は腰に両手をつけて胸を張り、「ドヤっ」と口に出しそうな顔をしてくる。
「いや、学校でずっと鍛えてるでしょ。なんかいつも重そうなもの持ち歩いてるし」
「…………気づいていましたか」
「いや隠す気ないだろ」
この数日授業中時々目に入っていたが、ずっとダンベルを持ち上げていたり上限300kgのハンドグリッパーを使っていたりとかなりバレバレだった。
「………今度はこっちから行かせてもらう」
超前傾姿勢となり、足に力を集中させる。その瞬間大地が爆ぜるような音が鳴り響き、一瞬でシグレの目の前まで到達する。
「前に来すぎです!」
だが一切の動揺を見せず、シグレは武戦が飛び出してくることをまるで予測していたかのように蹴り技を繰り出す。
「………マジか」
だが、相手がいくら攻撃をしようが武戦の目に捉えられる限り当たることは無い。
そのまま幾十もの蹴りが至近距離で繰り出されるが、全てを無駄なく避け切る。
「ここ!!」
相手の攻撃を避けながら反撃できる瞬間を待ち続け、こちら側も同じように蹴りを繰り出す。
「シュウ……………」
完全に捉えたと思ったが、なんとシグレは蹴りが当たる寸前に片足の力だけで前転をして避けた。
「はあぁぁぁああ!」
しかもそれだけにとどまらず前転をした勢いを利用して上から足を振り下ろす。
「これは避けきれないか………」
この不自然な動きに武戦の反応が遅れ、且つその攻撃が早過ぎたことにより圧倒的反応速度が破られる。
「腕だけは入れる!!」
「くらいなさい!断影脚!!」
ーーーズドオオオン!!
シグレの攻撃が繰り出され、少し強い衝撃を腕に負った。
そして立っていた地面は見事なまでにひしゃげ、修復しないと使えないほどになる。
「攻撃速いな…………俺が知っている無影流とは少し違う」
「私はこの拳法を自分の力を最大限にするために進化させていますから!」




