ランクの比率
辰真を無事保健室へと運び、俺は次の試合がある為急いで体育館へと戻る。
「どうせ俺の試合を見る人はほとんどいないだろう。………だが、それを逆手にとってやることもある」
前の試合はCランク対Cランク 少なくとも一年生にしては上の方らしい。
少し前から休憩時間の時に図書館へと行って少し情報を集めていたが、その時風音好音に会えたのは幸運だった。
一度授業で先生へと俺が質問した際それに疑問を持ち、なぜその質問をしたのかと聞いてくるかなりの知りたがり。
やはり知識欲や好奇心が強いからなのか毎回の如く図書館に行くと本の虫になっている様子が見られた。
「ねぇ好音さん……ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「あれ?武戦くん?私に答えられる質問なら答えられるけど………ここ図書室だから静かにね?」
「ありがとう。早速だがランクについて聞いておきたいんだが、分かるか?」
「まぁはい………私は入学してから学校が終わってもここにいるので、大体はわかります。それと、私はどんなに小さな音でも聞こえるくらい耳がいいので全然もっと小さな声でも大丈夫ですよ?」
「そうですね………まずはこの学園のランクについて軽く説明させていただきます。ランクとはそもそもその人の強さだけでなく、全体的に考慮して考えられるものです」
「例えば、昔の能力者に毒を操る能力の人がいました。その人は敵を殲滅する事に向いていましたが、周りを巻き込むことが非常に多かったです。それにより、Bランクに落ち着いていました」
「…………なるほど、能力の制御力も必要ということか……」
「まさにそうです。その人はその後、能力の範囲の制御を鍛え、見事にAランクへと上がりました」
「いい話だな………それにしてもこの図書室は荘厳だな。どこを見ても高級感が伝わる本がいっぱいだ」
「そうそう!そうなんですよ!!図書室は凄いです!!過去の私が知らないことがいっぱい!!貴方も少し前からここに居ましたよね!?少し語り合いませんか!?」
「ちょっと、そんな大きな声出したら………」
「うるさいわね!!!!!ここでは静かにしないと追い出すよ!!!!」
圧倒的な声量で思わず俺たちはすいませんと謝る。図書室の管理者である彼女はまさに歴戦のおばさんのような雰囲気を出しており、強そうである。
「うぅ…………すいません。私………自分が興味があるものに共感してくれたのが嬉しくてつい……」
「全然俺は大丈夫だ。続きを聞かせてくれないか?」
その後も、大きな声を出さないように気をつけながら話を聞いていた。
なんとなく欲しかった情報は能力者のランク比率であり、それはこんな感じだった。
Bランク 10%
Cランク 20%
Dランク 50%
Eランク 20%
この比率は歴代での一年生の平均的な割合であり、大体毎年このようになるらしい。
Aランクがないのは、毎年いないも同然だからである。今年二人出たのは例外中の例外だったらしい。
「さて、今回の相手。トワ・シグレはCランク。上位約三割ってところか」
まだまだ、こんな所では負けられないな。
そして、歩いているうちに体育館へとたどり着く。
「凄いな………メインじゃなくてもこの広さ……」
今向かっていた体育館は辰真たちが戦っていた体育館とは別のものである。
やはり驚異的な設備と広さである。ここの他にもいくつも同じような体育館があり、鍛錬場がある。
まぁ、その主な場所は地下にあるのだが。
さっきのメイン体育館より少し狭いものの、それでもそれを感じさせないくらい広さがある。まるで一ミリと二ミリ、一キロと一キロ百メートルが目で見て見分けがつかないように。
「やっぱりというべきか予想通りというべきか人が全くいないな」
さっきの戦いはCランク対Cランクという比較的上位同士での戦いだったからな。人もそれなりにいたが、生憎俺のランクはE。他の人たちから考えたら一瞬で決着がつくであろう試合にこの無駄に距離のある場所には移動したくはないだろう。
「私はいますよ?」
「もうシェイルがいきなり後ろにいても驚かないようになってきたよ」
毎度の如く一切の気配なしに近くに来ていたシェイル。あれ?そういえば保健室からここまでの道って一つしかなくないか?じゃあシェイルはずっと俺の真後ろにいたってこと?
「忍者じゃん………」
「忍者ではありませんよ。武戦」
「分かってるよ………シェイルはそんな次元じゃないでしょ。もし忍者だとしても一番くらいの高い忍者じゃないと納得できないし。それともしかして俺の観戦に来てくれたの?」
「はい、もちろん武戦の観戦に来ました。貴方の初白星、この目で見届けたいと思って」
「お話はそこまでにして!早く私と戦いなさい!!」
そして前に現れたのは藍色のショートヘアに一本の青い簪を刺した女性。
「私の名前はトワ・シグレ!貴方の対戦相手よ!!」




