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辰真の斧は羽のように軽い

一回戦目は辰真の勝利となった。

この戦いの裏でも、いくつかの試合が進んでいるので正確には一回戦目と言えないのかもしれないが。


「この戦いは辰真の勝利ですか…………最後までギリギリでしたね」


「そうだね……如月碧が負けたのは辰真のタフネスを侮っていたことと、斧に意識を割きすぎて能力について忘れていたからだろうね」


この試合でいかにこの先生半可にはいかないと言うことがわかった。


戦った二人はCランク。上にはまだ三つも上の階級がある。

だが、このくらいならば俺は勝ち上がることができるだろう。


「それにしても辰真の能力は…………最後斧が一人で動き出したかのような挙動をしていたな」


「そうですね。ですが一人でに動き出したかと言うより、あの挙動は誰かに操作されていたといったものです」


「まぁ十中八九辰真が動かしていたんだろうね。辰真が最後突撃する寸前に手のひらを少し開いていたし」


……………これが辰真の能力なのか?いや能力であることは間違いない。だが疑問なのはあのように自在に斧を動かすことができるのならば、最初の斧無くした事件は何だったんだということにもなる。


なら恐らくは、あれは見「見える範囲でしか動かすことができない」


「でしょう?」


「やっぱりシェイル俺の心読めてない?」


「武戦がわかりやすいんですよ」


あいも変わらず無表情で言ってくる。

「流石に無理があるでしょ。本当は?」


元よりシェイルが心を読むことができる能力者なんて思ってはいない。

もしそれが能力というのなら最初の二十人殺人事件(殺してない)はどうやったんだって事になるし、その後の俺の戦闘でも異次元の身体能力を見せてきたからだ。


どう考えても心を読むという能力ではないのだ。

まぁシェイルが生物としても次元が違うのならば話は別なのだが…………


「本当はそうですね………私が最強だから。ですかね?」


「そうくると思ったよ」


そう話している最中、如月碧はクラスメートに保健室へ運ばれていったが何やら辰真に問題が起こっているようだ。


「下に行って見に行こう、シェイル」


「分かりました。行きましょう」


下に着いた時、見えた光景は何とも変な様子としか言いようがなかった。


「何がどうなったら辰真と斧で引っ張り合いが起きるんだ」


「まるで綱引きです」


そう、下に行って真っ先に見えた光景がコレである。流石の俺たちでも何だコレ?と頭に疑問符が浮かぶ。

聞けば戦いが終わり、如月が運ばれた後辰真も運ぼうとしたがどうやら気絶していたらしい。


クラスメートとはいえ、ちゃんと負傷者を運んでくれるなんて優しい人もいるんだな。


「そしてそのまま持ち上げて運ぼうとしたけどあまりにも重すぎて断念。調べたら斧が重いと気づいて辰真から斧を手放そうとするが全く取れる様子がなくこうなったと………」


「まぁそんな事もあるか」

「こんな事もありますよ」



「ところで、この斧ってそんなに重いのか?」


そう疑問に思い、俺は試しに持ち上げようと試みる。


「?全然重くないじゃないか」


試して見たら思っていたよりも全然簡単に持ち上がったので拍子抜けである。


「私も試します……………羽のように軽いですね」


周りの人が信じられない様子でこっちを見ていたが、二人は気づくこともなかった。


「持ち上げられないというのはよくわからないが、無理そうなら俺たちが運ぶよ」


じゃあよろしく、と言われたのでシェイルと一緒に保健室に運ぶ。


「次は武戦の番です。私の友達なんですから、もちろん勝ちますよね?」


「…………善処するよ」


願いを叶えてもらう為、こんな所でつまづいてたくはない。


「シェイルは……………負けることが予想できないな」


こちらも同じことを言い返そうとして見たものの、途中でシェイルが負ける姿が全く予想できなかった為諦める。


「…………今のこの学園には私に傷をつけられるのは一人だけだと思います」


シェイルが少し考えてから答える。


「それでも傷をつけられる程度なんだな」


全く、つくづくシェイルとの次元の違いを感じさせられる。


武戦「こいつ………その内直接脳内に話しかけてきそうだな」

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