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【8月書籍化】キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!  作者: をち。
幼年期

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202/205

陛下の言葉

みんなの祝福を受けながら王様の前に。


一人一人に「卒業おめでとう」と声を掛け続けていた王様は、ボクたちの番になるとお兄様を数秒黙って見つめた。

そして、ふ、とほほ笑んだのだ。


「ジルベスター、とても良い顔をするようになったな。これが本来のそなたの顔か……。うむ。卒業おめでとう。クリストファーと幸せになるのだぞ?」


「……御意」


アイク様と五歳で婚約して、王城に通っていたジル。

ゲームの中での王様は、息子であるアイク様の味方だった。だから、断罪を知ってもジルのために動こうとはしてくれなかった。


でもこの王様は違うみたい。

アイク様とジルの関係が変わったのと同じように、王様もジルの変化に思うところがあったのだろう。

その瞳にまるでもう一人の息子を見るように優しい色を宿していた。



アイク様とジェシーの入場はさすがだった。

何がさすがって、ジェシーだ。

元々平民なのに、その立ち居振る舞いは堂々たるもの。

全く臆することなくアイク様の横に立っていた。


ジェシーに関しては、婚約者ではなくあくまでも「側近」「パートナー」としての扱い。

でも、この様子からすると……本当のパートナーになる日も近いんじゃないのかな、って。

選考から除外されていたくせにアイク様の婚約者を狙っているご令嬢たちからは、ジェシーにジェラシーと敵意に満ちた視線がビシバシとぶつけられた。

でも、ジェシーはそ知らぬ顔。

こういうところは、素直に凄いなあと思う。


ちなみにアイク様はいつも通りそつなくこなしておりました。

まあ、自分のお家で自分のお父様だものね。






王様からの有難いお言葉を頂き



さあ、パーティーです!





さっそくやってきたのはオルフェ様。

ちなみにオルフェ様はリンドールからの留学生だから、今回は特別にパートナー無しで来賓枠で入場。

下手にお相手を選ぶと国際問題になっちゃうからね。


衣装にはリンドールの国花が刺繍されていて、なんだかいつもよりも近寄り難い雰囲気。

と思ったらやっぱり中身はオルフェ様だった。


「見てたよ、クリス!いつの間にグリフェウスになっていたの?」


なんて分かっているくせにクスクス笑ってボクを揶揄う。


「こんにちは、オルフェ様!えっと、ボクはクライス家の養子なので、ジルと婚約するために一時的に前の戸籍に戻してもらったのです」

「だと思った!ジル、君のことだからクリスが養子に入る時にはもう計画していたんじゃない?」

「無論それは想定していた。クリスを他の男に渡す未来など見る気はなかったからな」


ええ?まさかそんなに最初から?


思わずじいっとジルを見つめれば、照れたのかムスっと唇を結んだ。


「……嫌か?」

「いいえ、むしろ嬉しいです!どんとこいです!」


「ははは!それにしても……今日のクリスはいつもと違うね?なんだか……うーん……いけないものを見ているような気持ちになる」


顎に手を当て上から下まで舐めるような目で見るオルフェ様。

これは絶対にワザとやっている。


案の定、ジルがボクを庇うように前に出た。


「私のクリスを邪な目で見るのをやめろ」


すると今度はジルを上から下まで舐めるようにして見つめて曰く。


「ジルは逆になんだかいつもよりも可愛げがあるよね。なんというか……こっちも違う意味でいけないものを見ているみたいだ」


「ちょっとオルフェ様!ボクのジルを変な目で見ないで下さい!」


思わず今度はボクがジルの前に。


「あはははっ!全く君たちは面白いなあ!冗談だよ、冗談!」


クスクスと笑ったオルフェ様は、ぽんとボクとジルの肩を叩いてほほ笑んだ。


「おめでとう。新婚旅行ではリンドールにも来てみてよ。歓迎するから」


そしてそっとジルに囁いた。


「クリスに目をつけている輩が今日の二人を見て目の色を変えていた。何かするかもしれない。気を付けて」


視線の示す方を見れば、何度か声を掛けられたことのあるCクラスのグレイが光る眼でボクを見つめていた。

どうやらオルフェ様はこのことを伝えるために来てくれたみたい。


「ありがとう」


お礼を言えば、ひらひらと手を振り華麗に去っていった。




ボクとグレイが関わったことはほとんど無い。

最初に話をしたのはグレイが落としたノートを拾ってくれたときなのだけれど、にこにこと好人物っぽいのに、その目がなんだかぎらついて見えて怖かった。ノートを手渡してくれるときもキュッと手を握られて嫌な気持ちになった。

その時はジルに睨まれてすぐに去っていったんだけど……。

その後はずっと避けていたはずなのに。


グレイはまだ諦めていなかったの?


ブルリと身を震わせるボクの身体を、ジルが引き寄せる。


「クリス。私から離れないように」


でも、ゲームでは特に事件は起こっていなかったような……


「えっと、ジルの方こそボクから離れないで下さいね。そっちの方が心配です」





いつもお読みくださってありがとうございます!

作者別作品「悪役令息の役どころからはサクッと離脱することにします。」が7月13日アルファポリス様より書籍化されます♡

なろう様にて公開中の該当作品は、規約により10日をもちまして公開停止とさせていただきますので、未読の方は今のうちにぜひ♡

書籍版は書下ろしエピソードもあり全体的に手を入れております。よろしければお手に取って頂けましたら嬉しいです!

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