ジェシー3
これで話が終わった気でいたのですが、そうはうまくいきませんでした。
「で?ジェシーがジルの未来に関わってくるということは置いておいて。
ジェシーはクリスに何を言ったのかな?それで『ゆうくん』のことを話したところを見ると……ジェシーも、その……ゆうくんの夢の中に出て来る人物なのかい?ミノがあったことのある人物?」
かなり確信に近づいております。
ただでさえややこしいのに、ボクとリョウのことにまで巻き込んでしまっていいのでしょうか?
今の状況でいえば、ジェシーとアイク様、ジェシーとお兄様がこれ以上関わらなければ全て上手くいくのでは?
であれば、リョウのことは言わなくてもいいのでは?
いえ、それは無理があります。
だって向こうから積極的に関わってくる可能性が高いからです。
特に、今はジェシーの中身はあのリョウなのです。「悪い人の可能性がある」どころか、「ピンク頭=悪い人」確定です。
ゲームのピンク頭を恋しく思う日が来るとは思いもよりませんでした。リョウと比べたらあの彼のほうがどれだけマシなことでしょうか。
言いかけては口を閉じ、また開きかけては首を降ってやめるという怪しい行動を繰り返すボクに、お兄様が仰いました。
「私が当てよう。ジェシカはリョウなのだろう?夢の中でクリスをイジメていたという、許すまじき男が、なぜかジェシーとなっているのではないか?
……クソっ!私だけが夢の中で共に居られぬとは……何とも口惜しい!私がいたのならばクリスに決して苦しい想いなどさせなかったものを……!!」
お兄様、重要なのはそこではありません。
でも、でも……
ボロボロボロッ
勝手に涙がこぼれだしました。
「クリス?」
慌ててお兄様がその指先で涙をぬぐってくださいます。
止めようと思うのにとまりません。どうしたら良いのでしょうか?
ぬぐってもぬぐっても止まらない涙に、ついにお兄様はその胸にボクの顔を押し付けました。
「…………好きなだけ泣くといい。クリスにはそれが必要なのだろう」
アイク様はそっと目をそらし見ないふりをしてくださっております。
ありがとうございます。
ボクは遠慮なくそんぶんにわあわあ泣いてしまったのでした。
ジル様。どうしてあなたはそんなに僕のことが分かるの?
そう。僕はね、ジル様を見て思ったの。
あの時にジル様がいてくれたら、きっとリョウやみんなの冷たい眼差しなんてものともせずに、僕の横に立ってくれたんじゃないかって。
肩を並べて「やましいことがないのならば、前を向け」って背中を支えてくれたんじゃないかって。
それにね、僕も同じことを思ったの。
ジル様と共いいられないのが悔しいって。僕がいたならジル様に苦しい想いなんてさせないのに、って。
ああ。大好き。
ジルベスター様、お兄様、大好きです。
巻き込んでしまっても、いいですか?
甘えてしまってもいいですか?
リョウとジェシーと、共に戦ってくれますか?
沢山泣いて泣いて、お兄様の胸をびしょびしょにしてしまったけれど。
ボクはようやく心を決めました。
すう、と息を吐き、顔を上げます。
「…………お二人とも、聞いていただけますか?
お兄様の仰る通りです。アイク様もうすうす気づいていらっしゃいますよね。
そう。ジェシーは、ゆうくんを夢の中でイジメていた、リョウです。
彼はボクのことを『ゆう』と呼びました。彼もボクやアイク様と同じ『ゆうくんの夢』を見ています。
そして、あの『ボクのいないお兄様の夢』もみているようです」




