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キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!  作者: をち。
幼年期

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アイク様のお見舞い

そうして決意を新たに、今の状況をノートに書き出してみました。



「ゲームスタート時の状況」

◎お兄様の無表情→改善。輝かしい笑顔が浮かぶようになった

◎お父様の無表情→改善。ジル様との家族仲も良好に

◎ピンク頭に味方しジル様を断罪するアイウ三人組(攻略対象)→仲良しになった

◎同じく赤髪ケイオスくん(攻略対象)→良好な関係

◎ジル様の悪評ばら撒きに加担しするホーネット家(ジル様の叔父一家)→出入り禁止&ケイオスくんが阻止

◎学園の悪評→払拭。

×ジェシーとの出会い回避→ぶつかってしまった。しかも中身はリョウ

△新たに出会った人たちのジル様への好意→答辞ができず、お兄様の素晴らしさをアピールしそこねた


こんなところでしょうか。

……あれ?

こう書き出してみると、八割は成功しているような気が………。

学園の生徒さえ味方にしてしまえば、リョウがどういう行動に出ようと問題なくないですか?


よし!ボクのすべきことは決まりました!

「周囲を固める」大作戦です!

初等部、中等部と同じように、お兄様の素晴らしさ、可愛らしさをみなさんにアピールするのです!

今回は同学年、しかも同クラスらしいのでこれまでよりも簡単です!

初等部はアウェイからのスタートでしたが、今はクラスメートの大半が既に知り合い。お兄様の味方です。

あとは残る一部の人、高等部から参加組を味方にすればよいだけなのですから!



リョウと会ったショックでちょっと悲観的だった気持ちが一気に上向きになりました。

これならいけます!

自信満々です!


リョウとはこちらからは関わりません。無視でいきましょう!

向こうが近づいたら全力回避!どうしてもの場合は即座に反撃です!

「殺られる前に殺れ」を実践致しましょう。字で見ると不穏ですが、要するに「先手必勝」だということです。



そうと決まれば……




今度は違いページに大きくこう書きます。


「お兄様の素晴らしいところ」


えっと……たくさんありすぎてなにから書けばいいのか迷いますね。


●お優しいところ

●笑顔が素敵

●夜空の月のように輝かしい銀髪

●闇夜に光る星のように美しい濃紺の瞳

●美しい所作

●ベルベッドのように滑らかで甘いロートーンボイス

●踊るように美しい剣術

●学年首席の優秀な頭脳

●自らの素晴らしさを引け開かさない謙虚な姿勢

●困った人に手を差し伸べる慈悲深さ

●嫌いなものを食べるときに、分からないようにほんの少しだけ眉の端っこが上がるところ

●何もないところで躓いた後、恥ずかしそうにきょろきょろする可愛らしさ

●眠る前に「おやすみ」と頬や額にキスして下さるところ

●美味しいものを食べるときに、必ずボクに分け与えようとしてくださるところ

●相手がだれであれ、言うべきことをいう凛としたところ

●ご自分の正義を持たれているところ

●初等部のとき、学園でこっそり猫に餌付けをしていたところ。しかも引っかかれてしょんぼりしていたところ

●あ…


「はあ?ジルがしょんぼり?想像できないな」

「お兄様は可愛いものがお好きなのです。隠していらっしゃいますけれ……ええ?」


今、アイク様の声がしませんでしたか?!

慌てて後ろを振り返れば、いつの間にかアイク様とお兄様が!

並んでボクのノートを覗き込んでいらっしゃいました。

うそでしょお?!もしかして……全部見られた?!


「おい、ジル。本当か?」


人が悪い笑みを浮べるアイク様に、困ったような表情で頬を赤らめるお兄様。


「まさかあれをクリスに見られていただなんて……」


「にしても……これがクリスから見たジルなのか……。興味深いな。私の知るジルとは別人のようだぞ?」


ひょいっとアイク様にノートを奪われてしまいました。


「……クリスはジルのことが大好きなのだな……」


文字を目で追いながら、何故かしんみりとした声で呟くアイク様。


「返してくださいっ!それ、秘密のノートなのにっ!!」

「アイク。返せ」


お兄様にジロリと睨まれたアイク様。慌ててノートを返してくださいました。


「ごめん、クリス。そこまで嫌がるとは……。

それにしても、どうしてノートでジルを褒めたたえていたんだ?」


不思議そうに首を傾げます。

これは「ゲームスタート時の状況」は見られていない?


「えっと……ごらんになったのはそれですか?」

「他にも何か書いてあったのか?」

「!!ないです!それだけです!

えっと、高等部に上がったので、これから新しくお知り合いになる皆様に、お兄様の素晴らしさをお伝えできればと思いまして……」


これは本当のことなのでちょっと照れながら言えばお兄様がお顔を隠して「ぐう」と変な音を出しました。

手からはみ出しているお耳が、赤くなっております。


「大丈夫ですか?」

「あ、ああ。大丈夫だ。あー……少暑くはないだろうか?喉が渇いた。何か飲み物を持ってこさせよう。クリスはここでアイクと待っていてくれ」


お兄様が使用人さんに伝えに出て行かれると、アイク様が呆れたように苦笑した。


「……クリスは本当にブレないなあ。そんなところも好きだったんだけど……これは仕方ない。最推しだからな……」


ん?最後の声は小さくてよく聞こえませんでしたが、「最推し」とか聞こえた気が……


「アイク様?今なんておっしゃいました?」

「ああ、なんでもない。クリスはジルが大好きなのだな、という話だ」

「はい!ボクはお兄様が大好きです!」


思わず言ってしまって、慌ててこう付け足した。


「あ、あの、ボクはお兄様の弟ですので。大切な家族だと思っております……」


一寸不自然になってしまったけれど、アイク様はそこには何も言わずただこう言ってボクの頭を撫でた。


「うん。………クリス、無事で良かった。本当に。また会えて嬉しいよ」

「?はい。ボクも嬉しいです」

「ふふふ。クリスが思う以上に私は嬉しく思っているのだぞ?……本当に、またこうして出会えて嬉しい。クリス。何かあれば言ってくれ。私が必ず力になろう。……親友だからな」


とてもとても情感のこもったお声です。どうされたのでしょう?

嬉しそうなのに泣きそう?不思議な表情をされております。

それだけ心配してくださったのでしょう。ありがたいことです。

お兄様だけでなくボクのことまで親友だなんて。やっぱり今のアイク様はとても良い方です。


「あ!そういえば、色々フォローしていただいたんですよね?ありがとうございます!

あの、お礼に今度ケーキセットとクッキーセットをご馳走致しますので、楽しみにしていてくださいね?」

「ああ。そうだな。また元気になったらともに出かけよう。ジルも一緒に、な?」

「はい!」






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