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キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!  作者: をち。
幼年期

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違う意味で黒でした2

ボクは学校に行けなくなって、部屋に引きこもるようになった。

何にもやる気になれなくって、お布団の中でごろごろ。

でも何かしなきゃって気持ちはあって、オンラインの塾に入って、勉強だけは続けていた。


そんなとき、たまたまネットで見かけた人気のゲーム「ラブ☆レボ」。

イラストレーターさんがボクの好きな人だったからやってみたんだけど……。


これにドはまりした。


悪役令息ジルベスター様。

そのビジュアルが完璧に好みだったのもあるけれど。

ピンク頭に婚約者を奪われ、婚約者にも誰にも信じて貰えず、邪険にされ、そんなジル様の状況が学校で孤立させられたボクの姿みたいに見えたから。


ジル様がピンク頭に嫌がらせをしたっていうけど、それって本当なのかな?

ボクには、ジル様がそんなことをするように見えなかった。

ジル様は無口だしめったに笑わないけれど、それは彼の生い立ちのせいであって、ジル様のせいではないでしょう?

アイク様やウエイン様、イクシス様が楽しそうに話をしているとき、ちょっと寂しそうに見えるよ?

ジル様だって言わないだけで三人のことを大切に思っているはず。

だって、いつも一歩下がった位置にいるけれど、その足の先には、視線の先には、いつもアイク様たちがいるんだもの。


だからね、意地悪や嫌がらせをしたなんて嘘だと思うの。

ジル様もきっと、リョウがボクにしたみたいにして、ピンク頭に冤罪を着せられたんじゃないかな?

その証拠に、断罪されたときのジル様、一瞬驚いたように目を見開いて口を開きかけたでしょう?

それで婚約者や幼馴染たちの表情を見て、諦めたようにまた口を閉じた。

あれって「そんなことはしていない」って言おうとしたんじゃないのかな?

でも婚約者や幼馴染たちまでもが全員ピンク頭の味方でジル様を疑っていると分かって、諦めたんじゃないの?

「もう言っても無駄だ」って思ったんだよ、きっと。

ボクもおんなじような気持ちだったからよくわかる。

信じてくれる人がいないっていうのは、心が折れるものなのだ。


でも、逃げて引きこもりになったボクとは違い、ジル様はしっかりと顔を上げ続けた。

誰に理解されなくても、やけになることも、みっともなく泣き喚くこともなく。

一人背を伸ばして立ち続けた。

折れなかった。




その姿に、ボクは光をみたんだ。




ボクはジル様推しになった。ジル様を思うだけで幸せで、元気が出た。

彼だってがんばったんだからボクも頑張ろう、そう思えた。


そして、ネットを通じて同じジル様推しのミノくんと出会う。


最初はオンラインで、次に電話で話をするようになって。

またボクに「親友」ができた。

彼は引きこもっているボクをまた世界に連れ出してくれた。

「ゲームのイベントに行こう」「ジル様グッズを買いに行こう」って、誘ってくれて。

「どうしてジル様グッズが少ないの?!」「ジル様が悪役っておかしいよね?実は、ってスピンオフが出るんじゃない?」なんて軽口をたたき合って。

お勧めのカフェで「このケーキ美味しいね」「一口あげようか」なんて言いあって。

ボクはまた笑えるようになった。




残念ながら、「イベントに行こう」ってミノくんと待ち合わせて、その集合場所の近くで事故にあって死んじゃったんだけど。

最後としては、悪くなかったと思う。これは本当に。

ボクはミノくんに見せるために持ってきた「ジル様の新しいビジュアルボード」を胸に抱いて、「ミノくん、これ見せたらどんな顔するかなー」ってにこにこしたまま、たぶん死んだ。最後の瞬間はほとんど覚えていないから、たぶん即死だったんだと思う。




リョウがどうなったのかは知らない。

電話もメールもラインもブロックしたから。


両親にもボクの状況を打ち明け、絶対に会いたくないって伝えた。

そうしたらお母さんがリョウくんのお母さんに「ゆうはリョウくんに酷いことを言われてショックを受けて心を壊してしまった。リョウくんを近づけないでください」って言ってくれたみたい。

「ゆうに会わせて」「こんなはずじゃなかった!」と泣き喚くリョウの様子に、さすがにリョウの両親も危険を感じたのかも。お隣のお家から引っ越して行って、そのまんま。






※※※※※※※※






その「リョウ」と同じ表情で、ジェシーがボクを「ゆう」と呼んだのです。





「……あ………」



膨大な記憶が蘇り、頭がガンガン痛みます。

まるで大きな手で揺さぶられているよう。



苦しい。

哀しい。

辛い。


当時のリョウとの記憶に、心が塗りつぶされそうです。



「「「「クリス!!」」」



お兄様やアイク様の声が聞こえる気がします。

ああ、


「おに…さま……」


ボクの光。ボクの推し。

ボクを抱き留めてくれたお兄様のぬくもりを感じながら、ボクはそのまま意識を失ったのでした。


「クリス!

私はこのまま保健室へ戻る!アイク、クライスの主治医と馬車を呼んでくれ!早く!」





気を失う直前、「ゆうっ……!」という悲鳴のような声が聞こえたような気がしました。



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