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『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』~幼少期・王立学園編~  作者: 黎明の星
王立学園編

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分かったこと

 午後の身体鍛錬が終わる頃には、思っていた以上に身体が重くなっていた。

 学校へ来てから授業で座っている時間が長かったせいか、久しぶりにあれだけ動くとさすがに疲れる。

 部屋へ戻り、着替えてから椅子へ座る。

 机の上には、休日に図書館から借りてきた本が四冊置いたままになっていた。

 その横へ今日使った教本とノートを置く。

「……疲れた」

 思わず声が出た。

 今日はもう魔力を感じる練習をする気にはならなかった。

 代わりに、鞄から授業で使ったノートを取り出す。

 最初に開いたのは世界史だった。

 大きな地図。

 ラクレシア王国、その周りにあるいくつもの国。

 ザクラス、ファトルス、ザルバドス、ズザリア、ヴォルガ、ターシェリア。

 そして《迷いの森》の奥にあるというイーファ。

 クロードは授業中に書いた文字を目で追った。

『イーファ。《迷いの森》の奥。《精霊の国》と呼ばれている。詳しいことはまだ分からない』

 もう一度読んでから、少しだけ手を止める。

 名前を知った。

 場所も少し分かった。

 でも、どんな国なのかはほとんど知らない。

 マーサも、分かっていることは多くないと言っていた。

 昔、アルト兄様と地図を見た時より、知っている国は増えている。

 それでも今日、知らない場所がまた一つ増えた。

 クロードはページをめくった。

 次は魔法基礎だ。

 今日の授業で書いた言葉がいくつも並んでいる。

 魔力を感じる。

 動かさずに感じる。

 人によって感じ方は違う。

 それから、残っている魔力を知ること。

 そこでクロードの手が止まった。

 今までは疲れたり、身体が重くなったりした時に止めていた。

 父上も何度も体調を確認してくれた。

 けれど今日ナターシャが教えてくれたのは、その前だった。

 あとどれくらい使えるのか。

 それを自分で分かるようになれば、魔力を使い切ってしまう前に止められる。

 クロードは記録用のノートを開いた。

『魔力を感じるのは、魔法を使うためだけじゃない。

 残っている魔力を知るためにも必要。

 慣れれば、いつも使っている魔法ならあとどれくらい使えるか分かることがある』

 そこまで書いて、一度読み返す。

 数字で分かるわけではない。

 同じ魔法でも使い方によって違う。

 それも今日聞いた。

 少し考えてから、その下へ書き足した。

『正確な回数ではない』

 ペンを置きかけて、教室でのことを思い出した。

 ピアは魔力があることまでは分かると言っていた。

 ノーゼスも似たようなことを言っていた。

 マミヤは動かさないようにしているのに、自分で動かしている気がすると言っていた。

 エクリアは魔力を動かすことはできても、動かしていない時のことは考えたことがなかった。

 クロード自身は、僅かな流れを感じた。

 十六人が同じ説明を聞いて、同じことを試した。

 でも、出てきた言葉は違った。

 今までも何度も比べてきた。

 枝を変えた。

 石を変えた。

 魔力の量を変えた。

 時間を変えた。

 けれど、比べていたのはほとんど自分だった。

 今日はそこに、自分以外の人がいた。

 クロードは少し考えてから、ノートへ一行だけ書いた。

『同じことをしても、感じ方は同じとは限らない。』

 書いた文字を見る。

 これだけで何かが分かったわけではない。

 自分が感じている流れが何なのかも、どこへ向かっているのかも、まだ分からない。

 でも今日分かったことはある。

 知らない国があること。

 自分の魔力を知ることが、安全にもつながること。

 同じことを試しても、人によって感じ方が違うこと。

 クロードはペンを置いた。

 まだ書けそうなことはあったけれど、大きなあくびが出る。

「……もう寝よう」

 教本を閉じ、二冊のノートも重ねて机の端へ置いた。

 今日はいつもより身体が重い。

 ベッドへ入ると、さっきまで考えていたことが少しずつ遠くなっていく。

 明日になれば、また知らないことが増えるかもしれない。

 そんなことを考えたところで、クロードはいつもより早く眠りについた。

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