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『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』~幼少期・王立学園編~  作者: 黎明の星
幼少期編

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流れる感覚

 枝の先に光った雷は、すぐに消えた。

 僕は枝を握ったまま、今の感覚を思い返す。

 雷は出た。

 でも、それよりも気になることがあった。

 さっきまでと少し違った。

 今までは枝へ魔力を送ると、手から何かが抜けていくような感じがしていた。

 初めて枝へ魔力を送れたときもそうだった。

 でも、今は違う。

 自分の中で動かした魔力が手から抜けたんじゃなくて、そのまま枝へ流れていったような感じがした。

 忘れないうちに書いておきたい。

「父上、少し待ってください」

「ああ」

 僕は持ってきたノートを開いた。

 さっきまで書いていたところに、今感じたことを書き足す。

『魔力が手から抜ける感じじゃなかった。そのまま枝に流れた気がする。雷が出た。』

 書いたものを見ながら、もう一度さっきの感覚を思い出す。

「流れる……」

 今までは、枝に魔力を送ることばかり考えていた。

 自分の中で動かした魔力を、手から枝へ送る。

 でもさっきは、手から送ったというより、自分の中から枝までそのまま流れていったように感じた。

 そのとき、前にアルト兄様と話したことを思い出した。

『持ってるものに流すときは、そのまま流してるけど』

『手のところで止めないで、その先までって感じかな』

 あのときの僕には、その「そのまま」が分からなかった。

 自分の中の魔力を動かすことはできても、それを持っているものへどうやって流せばいいのか分からなかった。

 でも、もしかしたら。

 アルト兄様が言っていたのは、今の感覚なんだろうか。

 もう一度やってみたい。

 同じように魔力を動かしたら、また同じように流れるんだろうか。

「父上」

「何だ」

「もう一度やってみてもいいですか?」

「なぜだ」

「今、前と少し違う感じがしたんです」

「どう違った」

「今までは魔力が手から抜ける感じだったんです。でも、さっきは抜けるんじゃなくて、そのまま枝に流れていく感じがして」

 父上が僕を見る。

「もう一度、同じようにできるか確かめたいです」

「体調は」

 体の重さや腕の感じを確かめる。

「大丈夫です」

「ならやってみろ」

「はい」

 ノートを置いて、もう一度枝を握る。

 さっきと同じ感覚を思い出す。

 手から魔力を出そうとするんじゃない。

 自分の中で魔力を動かして、そのまま枝まで流す。

 雷を出すつもりで魔力を動かす。

 そのまま。

 手のところで終わらせず、枝まで。

 魔力が動いていく。

 さっきと同じだ。

 手から何かが抜けていく感じじゃない。

 自分の中から枝まで、魔力がそのまま流れていく。

 パチッ。

 枝の先で、小さな雷が光った。

「出た……」

 雷が消えたあとも、僕は枝を見ていた。

 さっきと同じように流れた。

 そして、雷も出た。

 二回とも同じだった。

 でも、前にも続けて雷が出たことはある。

 それでも、そのあとには出ないことがあった。

 だから、これだけで分かったとは言えない。

 僕はもう一度ノートを開いた。

『さっきと同じように流れた。雷も出た。』

 一つ前に書いた記録と見比べる。

 二回とも、魔力がそのまま枝へ流れたように感じた。

 二回とも、雷が出た。

 今まで書けなかったことを、今は二つ書くことができた。

 でも、本当にこれが雷が出たことと関係しているのかは、まだ分からない。

 もう一度同じようにできるか。

 同じように流れたとき、また雷が出るのか。

 確かめてみたいことが、また一つ増えた。

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