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『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』~幼少期・王立学園編~  作者: 黎明の星
幼少期編

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できたこと

 少し休んでいるうちに、腕に入っていた力も抜けてきた。

 枝を持っていた手を開いたり閉じたりしてみる。さっきまでより楽になっている。

「父上」

「何だ」

「もう一度やってもいいですか?」

 父上はすぐには答えず、僕の様子を見た。

「疲れていないか」

「はい。大丈夫です」

「ならやってみろ」

「はい」

 もう一度、枝を持つ。

 さっき雷が出たときのことを思い出す。

 枝に魔力を送ってから雷を出すのではなく、最初から雷を出すつもりで魔力を動かして、そのまま枝へ送る。

 枝の先を見る。

 魔力を動かして、手から枝へ流す。

 パチッ。

「あっ」

 小さな音と一緒に、枝の先で雷が光った。

 さっきと同じだ。

 もう一度やってみる。

 今度は何も出ない。

「……出ない」

 同じようにやったつもりだった。

 もう一度。

 魔力を動かして、枝へ流す。

 何も起きない。

 さっきできたときと、今のできなかったときは何が違ったんだろう。

 枝の持ち方は変えていない。出そうとしている場所も同じだ。

 もう一度、最初からやってみる。

 パチッ。

「出た」

 今度は見逃さなかった。

 小さいけれど、枝の先から雷が出ている。

 できるときと、できないときがある。

 でも、さっきよりは同じことができている気がする。

 もう一度試そうと魔力を意識したところで、父上の声がした。

「クロード」

「はい」

「今日はここまでだ」

「でも、まだ――」

 言いかけて、自分の手を見る。

 さっき休んだばかりだから、まだできると思っていた。でも何度も魔力を動かしたせいか、少しだけ体が重い。

 父上はそれ以上何も言わず、僕を見ている。

「……はい」

 枝を下ろした。

 もっと試してみたかった。

 できるときとできないときの違いも、まだ分からない。

 それでも、今日はもう終わりだ。

「ありがとうございました、父上」

 枝を握ったまま父上に頭を下げる。

 まだ分からないことはあるし、もっと試してみたい。

 でも、枝から雷は出た。

 できた。

 そう思ったら、さっきまで考えていたこととは別のことが頭に浮かんだ。

 アルト兄様に言いたい。

 この枝を一緒に見つけてくれたのもアルト兄様だった。昨日も魔力を流すときのことを教えてくれた。

「アルト兄様に言ってきます!」

 返事を待つより先に走り出す。

「クロード、慌てるな」

「はい!」

 返事をして少しだけ足を緩めた。

 でも、すぐにまた速くなってしまう。

 アルト兄様はどこにいるだろう。

 部屋かもしれないし、外にいるかもしれない。

 早く言いたい。

 廊下を歩きながら探していると、向こうからアルト兄様が歩いてくるのが見えた。

「アルト兄様!」

 考えるより先に声が出た。

 アルト兄様が僕を見る。

「クロード?」

 僕はそのままアルト兄様のところまで駆け寄った。

「できました!」

「何が?」

「これです!」

 持っていた枝を見せる。

「枝から雷が出たんです!」

 アルト兄様が枝と僕を交互に見た。

「本当に?」

「はい! 最初は出なかったんですけど、何回かやったら出ました」

「すごいじゃないか」

「小さかったです。それに、まだ出ないときもあります」

「でも出たんだろ?」

「はい!」

 答えると、アルト兄様が笑った。

「よかったな、クロード」

「はい」

 僕も笑う。

 昨日、アルト兄様に聞いたときは、「そのまま」がどういうことなのか分からなかった。

 今も全部分かったわけじゃない。

「アルト兄様」

「ん?」

「昨日言ってた『そのまま』っていうの、少し分かったかもしれません」

「本当か?」

「たぶんです」

「たぶんなのか」

「まだ出ないときもあるので」

 アルト兄様が少し笑った。

「じゃあ、もうちょっとだな」

「はい」

 もう少し試せば、もっと分かるかもしれない。

 でも、それはまた今度だ。

 今日は父上に終わりだと言われた。

 それより今は、アルト兄様に言えたことが嬉しかった。

「見てみたいな」

「え?」

「その枝から雷が出るところ」

 僕は枝を見る。

 見せたい。

 すぐにそう思ったけれど、今日はもう終わりだ。

「今日は駄目です」

「駄目なのか?」

「父上に、今日はここまでって言われました」

「ああ。じゃあ駄目だな」

「はい」

「今度見せてくれよ」

「はい!」

 次にうまくできたら、アルト兄様にも見てもらいたい。

 そのときは一回で出せるだろうか。

 まだ分からない。

 でも、できるようになったことが一つ増えた。

 僕は枝を持ったまま、アルト兄様と並んで歩き出した。

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