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『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』~幼少期・王立学園編~  作者: 黎明の星
幼少期編

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同じように比べる

翌朝、僕は『雷の記録』と二枚の金属を持って、いつもの場所へ向かった。

鉄とアルミ。

昨日、同じ大きさになるよう加工してもらったものだ。

鉛もあるけれど、今日は使わない。

三つを一度に並べるより、まずは二つで比べた方が分かりやすい。

いつもの場所には、父さまが先に来ていた。

そして、その少し後ろにもう一人いる。

「アルト兄さま?」

「よう」

アルト兄さまが片手を上げた。

どうしてここにいるんだろう。

そう思って父さまを見ると、父さまは僕ではなくアルト兄さまの方を見た。

「言っておくが、そこから先には来るな」

「分かってるって」

「雷がどこへ落ちるかは、まだ完全には分かっていない」

「それも聞いた」

「ならいい」

父さまはそれ以上何も言わなかった。

アルト兄さまは少し離れた場所に立ったまま、僕が持っている二枚の金属を見る。

「今日は金属なんだな」

「うん」

「この前、本まで探したもんな」

結局、金属について詳しく書かれた本は見つからなかった。

だから自分で確かめるしかない。

僕は鉄とアルミを持って、いつも雷を試している場所へ向かった。

「クロード」

父さまに呼ばれて振り返る。

「体は?」

「大丈夫」

「昨日は使っていないな?」

「うん」

「なら始めていい。ただし、いつも通り一回ごとに様子を見るぞ」

「分かった」

地面に鉄とアルミを置く。

形と大きさは昨日揃えてもらった。

一辺十二ミルス、厚さ六ナルミルス。

重さは違うけれど、金属の種類が違う以上、そこまで同じにはできない。

僕は少し離れて二枚を見る。

これまで木と石、木と鉄を比べたときと同じように、二つの間へ雷を落とす。

『雷の記録』を開き、鉄とアルミの位置を書いておく。

それから立ち上がった。

右がアルミ。

左が鉄。

息を整え、手を前へ出す。

何度も使ってきた低い出力で雷を放った。

乾いた音が響く。

光が走り、雷は右側へ逸れた。

アルミだ。

「……アルミ」

すぐに記録へ書き込む。

一回目、アルミ。

「そっちに落ちたのか?」

離れたところからアルト兄さまの声が聞こえた。

「うん」

「じゃあ、アルミの方が雷が落ちるってことか?」

「まだ分からないよ」

前にも、鉄へ落ちたあとで地面へ落ちた。

一回だけでは決められない。

アルト兄さまは僕と金属を交互に見た。

「一回じゃ駄目なのか」

「同じようにやっても違うところに落ちることがあるから」

「面倒だな」

「うん」

本当に面倒だ。

でも、それが分かったから繰り返している。

父さまのところへ戻り、少し休む。

身体に変なところがないことを確かめてから、もう一度同じ場所へ立った。

鉄とアルミの位置は変えない。

二枚の間へ向けて、同じように雷を放つ。

今度は金属へ向かわなかった。

二枚の手前の地面に雷が落ちる。

「地面……」

二回目、地面。

記録を書きながら、さっきの結果を見る。

アルミ。

地面。

やっぱり一回だけでは分からない。

休んでから三回目を試す。

雷は再び右へ走った。

アルミだった。

「またそっちだな」

アルト兄さまが言う。

僕も頷いた。

三回のうち二回がアルミ。

鉄には一度も落ちていない。

光哲だった頃に知っていた金属の性質を考えれば、気になる結果ではある。

アルミは鉄より電気を通しやすかった。

でも、この世界の雷が同じ性質に従うとは限らない。

それに、もう一つ気になることがあった。

僕は二枚の金属を見る。

アルミは右。

鉄は左。

一回目も三回目も、雷は右へ逸れた。

「……場所も変えよう」

鉄とアルミのところへ歩いていく。

「入れ替えるのか?」

父さまが聞いた。

「うん」

二枚を持ち上げ、左右を逆に置き直す。

今度は左がアルミで、右が鉄。

『雷の記録』にも位置を変えたことを書いた。

少し離れて眺める。

これなら、またアルミへ落ちても同じ方向ではない。

父さまのところへ戻り、休んでから四回目の準備をする。

二枚の間を見る。

雷を放った。

光が走る。

一瞬だけ右へ向かったように見えた雷は途中で曲がり、左側の金属へ落ちた。

「アルミ……」

思わず声が出た。

場所を変えてもアルミだった。

後ろからアルト兄さまの声がする。

「今度は左だよな?」

「うん」

「でも、そっちがアルミなんだろ?」

「うん」

記録へ書き込む。

四回目、アルミ。

三回。

アルミへ落ちた。

鉄にはまだ一度も落ちていない。

胸の奥が少しだけ騒がしくなる。

何かあるのかもしれない。

でも、まだ決めるには早い。

僕は父さまを見る。

「もう一回やりたい」

父さまはすぐには答えず、僕の顔を見る。

「疲れは?」

「ない」

「手は?」

握ったり開いたりしてみる。

いつもと変わらない。

「大丈夫」

「なら最後に一回だ」

「うん」

少し長めに休んでから、もう一度同じ位置へ立った。

左にアルミ。

右に鉄。

二枚の間へ向ける。

五回目。

雷が走った。

けれど今度は左右どちらにも向かわず、二枚の間より少し手前の地面へ落ちた。

「……地面」

アルト兄さまが言った。

僕は頷いた。

『雷の記録』を開く。

一回目、アルミ。

二回目、地面。

三回目、アルミ。

左右を交換。

四回目、アルミ。

五回目、地面。

鉄はゼロ。

アルミは三回。

地面は二回。

結果だけを見れば、鉄よりアルミの方へ落ちている。

場所を入れ替えても同じだった。

でも、アルミへ必ず落ちたわけじゃない。

「どうだった?」

父さまが聞く。

「アルミの方に落ちやすいのかもしれない」

「かもしれない?」

「まだ五回だけだから」

それに、比べていない金属がもう一つある。

僕は少し離れたところに置いてある鉛を見る。

アルミと鉄では違いが出たように見えた。

なら、次は別の組み合わせで確かめたい。

「明日は鉛も使ってみたい」

「今日の結果を見てから決めるんじゃないのか?」

アルト兄さまが聞く。

「だから使うんだよ」

「ん?」

「アルミと鉄だけじゃ、本当に金属の違いなのかまだ分からないから」

アルト兄さまは少し黙ってから笑った。

「やっぱり飽きないんだな、お前」

どこかで聞いたことのある言い方だった。

僕も少し笑う。

「まだ分からないことがいっぱいあるから」

「それも前に聞いた気がする」

「言ったかも」

父さまが僕たちを見て、小さく息を吐いた。

「続きは明日だ。今日はもう雷を使うな」

「うん」

僕は素直に頷いた。

もう五回使った。

それに、今日知りたかったことは少しだけ見えてきた。

鉄とアルミでは、同じようにはならなかった。

けれど、どうして違ったのかはまだ分からない。

アルミだからなのか。

鉄だからなのか。

それとも、まだ僕が気づいていない何かがあるのか。

『雷の記録』に今日の結果をもう一度書き残す。

最後に、明日確かめたいことをその下へ加えた。

アルミと鉛。

そこまで書いて、僕は手を止める。

一つ分かったと思うと、その先にまた分からないものが出てくる。

でも、それでいい。

明日になれば、また一つ確かめられる。

僕は『雷の記録』を閉じた。

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