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『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』~幼少期・王立学園編~  作者: 黎明の星
王立学園編

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眠る前に

火のそばで過ごしているうちに、グレインが六人へ近づいてきた。

「そろそろ休む準備に入れ」

クロードは火を見る。

まだ小さな炎が残っている。

ガレスも炎へ目を向けた。

「先にこれですね」

「ああ」

グレインはそれだけ答えた。

六人は新しい燃やす物を加えるのをやめた。

火が少しずつ弱くなるのを待つ。

ノーゼスが水の位置を確かめ、ベンとピアが燃え残りを扱う道具を手元へ寄せた。

炎が小さくなったところで、用意していた水を使う。

じゅっと音がして、火の明るさが一段落ちた。

「消えた?」

ガレスが覗き込む。

「まだ見よう」

クロードが答える。

六人は燃え残りを分け、重なっていたところを確かめていく。

黒くなった中から、細い煙が上がった。

「あった」

ベンが言う。

エクリアが水を持ってくる。

「こっちもね」

残っていた熱へもう一度水を使う。

ピアは少し離れたところから地面の周りも見た。

「外には広がってないよ」

ノーゼスが道具の先で燃え残りを動かす。

今度は煙が上がらない。

それでも、すぐには終わりにしなかった。

六人で少し待ち、もう一度中まで確かめる。

グレインも最後に火を使っていた場所へ目を向けた。

「いい」

その一言で、六人の肩から少し力が抜けた。

クロードは火のあった場所から顔を上げた。

「……暗い」

さっきまで火の明かりで見えていたガレスの顔が、一気に見えにくくなっている。

「火がなくなったからな」

ノーゼスの声が近くから返ってきた。

ガレスが少し離れた雨よけを見る。

「見えてはいるけど、さっきより全然違うな」

しばらくして目が慣れてくると、近くにいる仲間の形は少し分かるようになった。

それでも、木々の向こうまでは見えない。

ラディス班とセリアナ班の方でも、休む準備が始まっていた。

残っていた火の明かりが一つずつ消えていく。

野営地全体が、さっきより静かで暗くなった。

グレインが六人を集める。

「寝る前に、もう一つある」

ガレスが雨よけへ向けかけた身体を戻した。

「まだあるんですか?」

「全員で同時に寝るわけじゃない」

六人の顔がグレインへ向く。

「班ごとに二人は起きて、周りを見ろ」

「二人ずつ?」

ピアが聞いた。

「ああ」

「残りの四人は休む」

「順番に交代して、全員一度は起きる側をやれ」

クロードは暗い周囲を見た。

さっきまでは六人とも同じところを見ていた。

今度は、そのうち二人が起きたまま夜を見ることになる。

ガレスが少し眉を寄せる。

「二人だけで見張るんですか?」

「お前らだけで守らせるわけじゃない」

グレインが答えた。

「俺たちも交代で周囲を見る」

「お前らだけになる時間はない」

少し離れたところでは、ラディスとセリアナもそれぞれの班へ話している。

「お前たちがやるのは、見ることと聞くことだ」

グレインは暗い方へ目を向けた。

「何か変だと思ったら、勝手に確かめに行くな」

「声を出して、俺たちと班の奴を起こせ」

クロードは頷いた。

「魔物が見えた時もですか?」

「まず知らせろ」

グレインの答えは短かった。

「暗い中で一人で追うな」

「はい」

六人が答える。

ノーゼスが周囲へ耳を向ける。

風で葉が揺れる音がする。

昼なら気にしなかったような音でも、今は少し大きく聞こえた。

「じゃあ、二人ずつ決めるか」

ガレスが六人を見る。

「僕、最初やるよ」

クロードが言った。

ノーゼスがすぐに続ける。

「じゃあ俺も」

エクリアが二人を見る。

「大丈夫?」

「今はまだ眠くないよ」

クロードが答える。

ノーゼスも肩を回した。

「俺も平気」

ガレスが少し考える。

「じゃあ最初は二人でいいか」

六人は残りの順番も決めた。

誰が先に休み、誰があとで起きるのかだけを確認する。

グレインはそのやり取りを聞いたあと、口を挟まなかった。

「寝る方も準備しよう」

ベンが雨よけへ向かう。

四人だけでなく、クロードとノーゼスも一緒に入口まで戻った。

昼間に動かした縄は、暗くなった今でも通り道を横切っていない。

荷物も入口には出ていなかった。

ピアが中へ入り、足元を確かめる。

「ここは大丈夫」

エクリアも続く。

「荷物もそのままでいけそうね」

ガレスは自分の実剣へ手を触れた。

「これも邪魔にならないようにしないとな」

ベンも鞘に納まったままの自分の剣を確認する。

誰かが通る場所へ出ていないか。

暗い中で足を引っ掛ける場所にないか。

六人はそれぞれ、自分の実剣がどこにあるか確かめた。

クロードも腰の辺りへ手をやる。

今すぐ抜くわけではない。

見張りに出る時も、休む時も、どこにあるか分からなくならないようにする。

ノーゼスが入口から中を見る。

「六人で入った時よりは広いな」

「今は四人だからね」

ピアが答える。

ガレスも中を覗いた。

「見張りが二人出てる間は、このくらいか」

「荷物があるから、広いってほどでもないけど」

エクリアが入口の外を見る。

「寝ぼけて縄に引っかからないでよ」

ガレスがすぐに返す。

「俺だけに言うなよ」

「一番言いそうだから」

ベンが小さく笑った。

クロードもつられて笑う。

昼間からずっと続いていた緊張が、少しだけほどけた。

四人は雨よけの中へ入っていく。

クロードとノーゼスは入口の外に残った。

「じゃあ、先に休むね」

ピアが中から言う。

「うん」

「何かあったら起こして」

ベンの声も続いた。

「そのための見張りだろ」

ノーゼスが返す。

ガレスが奥から言う。

「寝てる間にプレーリーベア来たら絶対起こせよ」

「起こす前にお前が声で起きそうだけど」

ノーゼスが言った。

「なんでだよ」

エクリアの笑う声が聞こえる。

「静かにしないと寝られないわよ」

「まだ寝てないだろ」

「これから寝るの」

声が少しずつ小さくなっていく。

クロードは雨よけの入口から離れ、ノーゼスと並んだ。

火はもうない。

さっきまで炎があった場所には、暗い地面があるだけだ。

「本当に暗いな」

ノーゼスが言う。

「うん」

クロードは目を凝らす。

近くの地面。

雨よけの形。

少し離れた木々。

見えるものと、見えないものの境目が昼よりずっと近い。

クロードは耳にも意識を向けた。

葉の擦れる音。

どこかで草が揺れる音。

雨よけの中から聞こえる小さな物音。

それだけで、今のところ変わったものはない。

少し離れたところでは、グレインも周囲を見ていた。

完全に二人だけというわけではない。

それでも、雨よけの中へ入った四人とは違う。

今は自分たちが起きている側だ。

ノーゼスが暗い先へ顔を向ける。

「何も見えないと、逆に見るな」

「うん」

「音も気になる」

「僕も」

二人はそれ以上話さず、周囲へ目と耳を向けた。

雨よけの中から聞こえていた声も、いつの間にかほとんど聞こえなくなっている。

クロードは暗い地面の先を見る。

何かがいるわけではない。

何かが起きたわけでもない。

それでも眠らず、変わったことがないかを確かめ続ける。

初めての夜の見張りが、静かに始まった。

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