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『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』~幼少期・王立学園編~  作者: 黎明の星
王立学園編

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本物の地面

二限続きの《戦闘実践》が始まる前、クロードたち18人は学園の外周に近い一角へ集まっていた。

木立の間には開けた地面があり、少し離れたところには低い茂みも続いている。

前の授業で窓から見た時より、地面の傾きや木の枝がはっきり見えた。

3人の教師の前には、大きな布や支柱、縄、杭、木槌、敷物が並べられている。

ガレスがそれらを見渡した。

「結構あるな」

「これを全部使うの?」

ピアが布の大きさを確かめるように覗き込む。

グレインは18人が揃ったことを確認してから口を開いた。

「今日は、実際に休む場所を作る」

ザナトスが楽しそうに道具へ目を向ける。

「魔法も使っていいんですか?」

「今日は使うな」

グレインはすぐに答えた。

ノーゼスが地面を見る。

「土魔法で平らにするのも駄目ですか?」

「駄目だ」

「魔力が残っている時しか作れない場所では、基本にならない」

グレインは並べられた道具を指した。

「まずは、誰でも使えるやり方を覚えろ」

ノーゼスは少し残念そうにしながらも頷いた。

ラディスが大きな布を持ち上げ、グレインと反対側を持つ。

セリアナは支柱と縄を運び、二人の横へ並べた。

「最初に、私たちが一度作ります」

18人が見やすいように少し広がる。

グレインたちは地面の傾きを確かめ、布を広げる向きを決めた。

支柱を立てる前に、布を置いた場所から外へ出る道も見る。

ラディスが支柱を支えている間に、グレインが布の片側を持ち上げた。

セリアナは縄を支柱へ掛け、外側へ伸ばしていく。

「縄を張るところまでが、使う場所です」

セリアナが縄の先を示した。

「布の下だけを見て決めると、通り道を塞ぐことがあります」

杭が地面へ打ち込まれ、縄が少しずつ張られていく。

ラディスが布の端を引き、緩みを確かめた。

「片方だけ引けば、反対が崩れる」

「支柱を見ながら、少しずつ合わせろ」

グレインは出入りする側へ立ち、縄と杭の位置を見た。

「暗くても、ここを通れるか考えろ」

短い時間で、地面の上に斜めの屋根のような雨よけが出来上がった。

布の下には敷物が広げられ、外には縄と杭が残っている。

ガレスが感心したように声を漏らした。

「もう出来た」

「先生たちは慣れてるからでしょ」

エクリアが言う。

グレインは完成した雨よけを見せたあと、すぐに縄を緩め始めた。

「今見たものを、そのまま作れとは言わない」

「地面を見て、自分たちの場所に合わせろ」

ラディスとセリアナも支柱や布を元の状態へ戻していく。

やがて3つの固定班へ、同じ種類の道具が一組ずつ渡された。

グレイン班の前にも、布と支柱をまとめた束、縄と杭の入った袋、敷物、木槌が置かれる。

ガレスが布の束へ手を伸ばした。

「俺、これ持つぞ」

「じゃあ、俺は支柱を持つ」

ノーゼスが束の横へ回る。

クロードは縄と杭の袋を持ち上げた。

思っていたより重く、中で杭が触れ合う音がする。

「片方持とうか?」

ベンが袋の反対側を掴む。

「うん、お願い」

エクリアとピアは敷物と木槌を分けて持った。

6人は道具を運びながら、グレインに指定された区画へ向かう。

少し進んだところで、ガレスが布の束を持ち直した。

「これ、見た目より持ちにくいな」

「端が下がってる」

エクリアが言う。

ノーゼスが支柱を片側へ寄せ、空いた手で布の端を持った。

「これでどうだ?」

「さっきより楽だ」

道具を置く前から、何人かで持つ方が運びやすいことが分かった。

指定された区画へ着くと、6人は一度道具をまとめて置いた。

目の前には木が数本あり、その間に開けた地面が広がっている。

ガレスが一番近い場所へ歩いていく。

「ここ、広そうだぞ」

クロードたちもその場所へ集まった。

遠くからは平らに見えたが、立ってみると片側が少し低い。

ピアが足元を見ながら数歩進む。

「こっちへ下がってる」

「寝たら分かりそうなくらいか?」

ノーゼスも同じ方向へ歩いた。

「少しだけど、6人並ぶと端と端で違うかも」

ベンが木のそばへ寄り、上を見上げる。

「この枝、思ったより低いよ」

布を張れば触れそうな高さまで枝が伸びていた。

エクリアが木から離れ、別の地面を踏む。

「こっちは平らそうだけど、根が出てるわね」

土の上に太い根が浮き、通り道を横切っている。

クロードは区画の反対側まで歩いた。

木の間から外へ抜けられそうな場所があったが、6人で並ぶと想像より狭い。

「ここを道にするなら、雨よけはもう少し向こうかな」

「向こうは石が多いぞ」

ガレスが足元の小石を見た。

「全部どけるのも時間がかかりそうだな」

6人は最初の場所から少しずつ位置を変えながら、地面と枝と周りの道を見比べた。

前の授業で地形図へ印をつけた時よりも、確かめるものが多い。

最後に選んだのは、最初の候補から少し木立の外側へずれた場所だった。

大きな傾きはなく、低い枝からも離れている。

左右へ動ける空間も残っていた。

「ここなら作れそうね」

エクリアが周囲を見渡す。

「じゃあ、道具持ってくるか」

ガレスとノーゼスが先に戻り、ほかの4人も道具を運び直した。

6人は教師の実演を思い出しながら、大きな布を地面へ広げる。

風が吹くと布の端が持ち上がった。

「そっち押さえて!」

ピアが片側へ膝をつく。

クロードとベンも反対側の端を押さえた。

ノーゼスとガレスが支柱を持ち上げる。

「これくらい離せばいいか?」

「広すぎない?」

エクリアが教師たちの雨よけを思い出しながら言った。

ガレスが支柱を少し内側へ動かす。

その間にノーゼスの支柱が傾いた。

「待て、まだ縄を引くな!」

クロードは手にしていた縄を止めた。

「ごめん」

「先に両方立てよう」

2本の支柱が立つまで、エクリアとピアも加わって支える。

ベンは縄を伸ばし、杭を打てそうな場所を探した。

「ここだと根に当たりそうだ」

木槌を下ろす前に、杭の先で地面を確かめる。

少し横へずらすと、今度は硬い石に触れた。

「もう少しこっちなら?」

ピアが土の柔らかそうな場所を指す。

ベンが杭を移し、木槌で打ち始めた。

乾いた音が何度か続き、杭が少しずつ地面へ入っていく。

反対側では、クロードとエクリアが縄を引いていた。

「そっちだけ強く引かないで」

「布が斜めになってる」

「少し戻すね」

クロードが力を緩めると、ノーゼスが支柱の傾きを直した。

ガレスは布の端を見ながら、もう一方の縄を引く。

「今はどうだ?」

「さっきより揃ってる」

ベンが少し離れたところから全体を見る。

「でも、こっちの端が下がってるよ」

全員が一度手を止め、布の高さを見比べた。

縄を張り直し、杭の位置も少し動かす。

一度打った杭を抜くと、土に小さな穴が残った。

クロードはそれを見たが、今は設営を続けるため、抜いた杭を新しい場所へ運んだ。

何度かやり直すうちに、布の両端がようやく大きく傾かなくなった。

エクリアが布の下へ入り、内側から支柱を見る。

「ここ、まだ少し緩んでる」

「じゃあ、そっち引くぞ」

ノーゼスが縄を少しだけ張る。

「止めて、それ以上だと反対が上がる」

ガレスが別の端を見ながら言った。

6人は少しずつ縄を調整し、最後に敷物を布の下へ広げた。

外から見ると、教師たちが作ったものほど整ってはいない。

それでも、斜めの布は支柱に支えられ、縄も杭へ留められていた。

「出来た!」

ガレスが雨よけを見上げる。

ノーゼスも一歩離れ、全体を見た。

「最初よりはちゃんと立ってるな」

「最初は立ってなかったでしょ」

エクリアが笑う。

クロードも布の下を覗き込んだ。

自分たちで運び、自分たちで立てたものが形になっている。

紙の上へ丸や線を描いた時とは違う手応えがあった。

そこへグレインが歩いてきた。

雨よけの周りを一周し、支柱と縄、杭の位置を見る。

「立ったな」

「はい!」

ガレスがすぐに答える。

グレインは布の下を覗いた。

「じゃあ、6人とも入れ」

「全員ですか?」

ベンが雨よけと仲間を見比べる。

「全員だ」

「敷物も広げて、残った道具も中へ置け」

6人は顔を見合わせた。

まずクロードとピアが中へ入り、続いてノーゼスとエクリアが入る。

ガレスとベンまで加わると、布の下は急に狭くなった。

支柱のそばには、使い終えた木槌と道具袋も置かれている。

「入れたけど、動きにくいな」

ガレスが身体の向きを変えようとして、隣のノーゼスへ肩を当てた。

「ちょっと待て、こっちも狭い」

ノーゼスが敷物の端へ寄る。

ピアは横になれる長さを確かめようとしたが、荷物があるため足を伸ばしきれない。

「6人で寝たら、もっと狭いよ」

「荷物を外へ出す?」

ベンが道具袋を見る。

セリアナが少し離れたところから声を掛けた。

「雨が降った時、その荷物はどこへ置きますか?」

ベンは袋を持ち上げかけた手を止めた。

「中です」

「それなら、置いた状態で考えてください」

エクリアが入口の方へ身体を向ける。

「一度、外へ出てみましょう」

ガレスが先に立ち上がり、布の外へ出ようとした。

しかし、入口の近くには斜めに張られた縄がある。

足を上げて跨ごうとすると、後ろのノーゼスが動けない。

「待て、今出たら俺が立てない」

「じゃあ、先にお前が出るか?」

「そっちも縄あるぞ」

反対側にも、布を支える縄と杭が伸びていた。

クロードは中から両方の出口を見る。

昼間なら縄の位置が分かる。

けれど、暗い中で急いで外へ出ようとすれば、足を引っ掛けるかもしれない。

「道を2つ残したつもりだったけど、縄が横切ってる」

クロードが言うと、ピアも入口の外を見た。

「杭も近いね」

「ここへ荷物を置いたら、もっと通れないわ」

エクリアが道具袋を少し動かす。

袋を支柱の反対側へ寄せると、今度は横になる場所が狭くなった。

「外から見た時は、もっと広く見えたんだけどな」

ガレスが布の下を見回す。

「縄の場所まで入れてなかった」

ノーゼスが入口の方へ手を伸ばす。

「布の下だけで考えてたな」

6人は一人ずつ順番に外へ出た。

雨よけは立っている。

縄も緩んでおらず、布も大きく傾いていない。

それでも、6人と荷物が中へ入り、安全に出入りするには足りていなかった。

グレインが雨よけの前へ立つ。

「このまま使えるか?」

「使えません」

クロードが答える。

「何が悪い?」

「中が狭いのと、縄と杭が通る場所にあります」

ベンが続ける。

「荷物を置くと、もっと動けなくなります」

グレインは雨よけと、その周りへ伸びる縄を見た。

「作り直すなら、どこを変える?」

6人はすぐに答えず、もう一度周囲へ目を向けた。

雨よけ全体を動かすのか。

布の向きを変えるのか。

縄と杭の位置を変えるのか。

荷物を置く場所だけで足りるのか。

一限目の終わりを告げる鐘が、校舎の方から聞こえてきた。

「休憩だ」

グレインが言う。

「次の時間に直せ」

ガレスが完成したはずの雨よけを見上げる。

「また最初からかな」

「全部壊す前に、どこを変えるか考えましょう」

エクリアが縄の向きを確かめる。

ノーゼスは杭の位置を見ながら、雨よけの外を一周し始めた。

ベンとピアも、6人が通れそうな幅を足元で確かめている。

クロードは布の下と、その外側に広がる地面を見比べた。

雨よけを立てることはできた。

けれど、6人で使える場所には、まだなっていない。

紙の上では見えなかった縄と杭が、本物の地面の上には残っていた。

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