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『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』~幼少期・王立学園編~  作者: 黎明の星
王立学園編

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同じ雷なのに

初めての野外実習を終えたあとも、学園での日々は変わらず続いていった。

朝には木剣を振り、教室では魔法基礎や算術、世界史の授業を受ける。

魔法実習では中級魔法を練習し、戦闘実践ではいつもの6人で動いた。

ノーゼスも自分の土魔法を続け、エクリアも水と風の教本を交互に開いている。

クロードも《サンダーランス》の練習を止めなかった。

魔法演習場の区画に立ち、正面にある地面から離れた的を見る。

周囲を確認したジャルダンの許可を待ち、右手で《印》を組む。

魔力を流しながら、雷を細長くまとめていく。

急がずに先端まで形を作る。

「《サンダーランス》!」

青白い雷が手元を離れた。

槍状の雷は正面へ伸び、そのまま的へ届く。

鋭い音が響き、クロードは雷の消えた場所を見つめた。

「届いた」

少し離れたところからリセナが手元の記録を見る。

「今のは最後まで形が残っていました」

「はい」

クロードは嬉しくなって、もう一度右手を見る。

次も同じように出来るとは限らない。

実際、そのあとの一回では先端が途中で崩れた。

それでも前期に初めて飛ばした頃より、的まで届く回は増えていた。

クロードは成功と失敗の両方をノートに書いた。

出来ることは少しずつ増えている。

そう思っていた。


◇


それからしばらくして、次の野外実習の日が来た。

18人は教師たちと王都近郊を歩いていた。

クロードは水筒の入った荷物を背負い、グレインの少し後ろを歩く。

初めて外へ出た時ほど、目に入るもの全部へ肩が強張ることはなかった。

それでも茂みが揺れれば、自然とそちらを見る。

足元も見る。

木々の間にも視線を向ける。

「今日は朝からずっと見てるな」

ノーゼスが言った。

「前も見てたよ」

「前よりだよ」

「そうかな」

クロードは答えながら道の脇を見る。

エクリアもその先へ視線を向けた。

「少なくとも、昼ご飯ばっかり気にしてた時よりは見てるわね」

「まだ昼じゃないから」

「そこは否定しないのね」

クロードが少し笑う。

その時、前を歩くグレインが足を止めた。

6人の声が途切れる。

クロードも止まり、グレインの視線を追った。

少し先の草が動いている。

ラディスとセリアナも足を止め、それぞれ周囲を確認した。

草の向こうから四本の足が見える。

クロードは息を吸った。

《グラスウルフ》だった。

前に見たものと同じ種類だ。

以前に見た個体と同じ動きをするとは限らない。

クロードの目は足と身体の向きへ向いている。

グレインが6人を見る。

「相手をさせる」

ガレスが小さく息を吐いた。

ピアは《グラスウルフ》が見える位置へ少し身体をずらす。

ベンも前を見たまま頷いた。

「前と同じだ」

グレインが続ける。

「俺が前に入ったら止めろ」

「はい」

返事が重なる。

クロードは右手を開いてから、もう一度握った。

怖くないわけではない。

前に足が動かなかった時の感覚も覚えている。

《グラスウルフ》がこちらを向く。

クロードの胸が強く鳴った。

その身体が少し低くなる。

前足が土を掻いた。

(来る)

クロードは自分から一歩下がった。

足は動いた。

それを確かめる暇もなく、《グラスウルフ》が地面を蹴る。

「来る!」

ピアの声が飛ぶ。

ノーゼスが右へずれながら《印》を組む。

クロードも右手を上げた。

《サンダーボール》なら、何度も使っている。

魔力を流し、青白い雷を丸くまとめる。

《グラスウルフ》が走る。

最初に狙っていた場所からずれていく。

クロードは右手の向きを変えた。

「雷いく!」

《サンダーボール》を放つ。

青白い雷が《グラスウルフ》へ伸びる。

途中で雷の先が下へ曲がった。

「え?」

雷は魔物へ届く前に地面へ落ち、土の上で弾けた。

《グラスウルフ》はその横を走り抜ける。

「左!」

エクリアの声がした。

クロードはすぐに顔を向ける。

ガレスが右手を上げている。

その前には誰もいない。

火の球が飛び、《グラスウルフ》が横へ跳ねた。

ノーゼスの《ロックボール》もその先へ飛ぶ。

土の球は外れたが、《グラスウルフ》の進む向きが変わった。

クロードはまた右手を上げる。

さっきは地面へ落ちた。

けれど、今考えている時間はない。

魔物が向きを変える。

エクリアが横へ動く。

ノーゼスもクロードの少し前を横切って位置を変えた。

クロードは急いで《印》を組んだ。

魔力を流す。

青白い光が手元へ集まる。

まだ輪郭が揺れている。

《グラスウルフ》がまた動いた。

(今なら)

クロードは形を整えきる前に放とうとした。

その瞬間、まとまりかけていた雷がほどけた。

青白い光が何本もの細い雷へ分かれる。

ほとんどは手元の少し先で弾けて消えた。

そのうちの一本だけが横へ伸びた。

「痛っ!」

クロードの顔がそちらへ向く。

細い雷がノーゼスの腕へ触れていた。

ノーゼスが反射的に腕を引く。

「ノーゼス!」

「下がれ!」

グレインの声が飛んだ。

6人はすぐに後ろへ下がる。

クロードも右手を下ろして距離を取った。

グレインが《グラスウルフ》との間へ入る。

誰も魔法を撃たない。

クロードはノーゼスの腕と、グレインの背中を交互に見た。

少しして、《グラスウルフ》の動きが止まった。

グレインが周囲を確認してから6人のところへ戻ってくる。

「ノーゼス、腕は?」

ノーゼスが触れた場所を自分で擦る。

腕も指も普通に動かしてから頷いた。

「大丈夫です」

「痛みは?」

「ちょっと痛かったですけど、それだけです」

クロードはノーゼスの腕を見つめた。

「ごめん」

「いや、俺も近かったからな」

ノーゼスはもう一度腕を振ってからクロードを見る。

「でも次は魔物に当ててくれよ」

「……うん」

「俺、的じゃないからな」

ノーゼスが笑った。

クロードも少しだけ笑った。

エクリアが息を吐く。

「笑ってるなら大丈夫そうね」

「ちょっと痛かっただけだって」

「それでも当たってるでしょ」

「それはそうだけど」

ノーゼスはまた笑う。

クロードも今度は少し笑えた。

それでも、ほどけた雷が横へ伸びた瞬間は頭に残っていた。

最初の雷は飛んだ。

けれど地面へ落ちた。

次の雷は飛ばす前に崩れた。

しかも、その一部がノーゼスへ当たった。

「クロード」

グレインに呼ばれ、クロードは顔を上げる。

「はい」

「今の魔法、どうなった?」

「丸くなる前に放とうとしました」

クロードは右手を見る。

「それで、ほどけました」

「ノーゼスに飛んだのは?」

「狙ってません」

「分かってる」

グレインは短く答えた。

クロードはもう一度考える。

「ほどけた一つが、横に行きました」

グレインが頷く。

「覚えておけ」

「はい」

クロードは地面を見る。

さっき雷が落ちた場所がある。

そこからノーゼスへ視線を戻した。

「……的だと飛ぶのに」

ノーゼスが首を傾げる。

「雷?」

「うん」

エクリアもクロードの方を見る。

「さっきの2回とも、的を狙ってる時とは違ったわね」

「最初のは飛んだ」

クロードは《グラスウルフ》がいた場所を見る。

「でも途中で地面に落ちた」

「2回目は俺に来たな」

ノーゼスが笑いながら言った。

「ごめんって」

「分かってるって」

クロードは少し息を吐く。

魔法実習なら、横にノーゼスはいない。

的も動かない。

自分も止まっている。

魔法を作る時間もある。

それに的は地面から離れている。

「先生」

クロードはグレインを見る。

「魔法実習の時は、ちゃんと的まで飛ぶんです」

グレインは少し待った。

「今日と同じ条件か?」

クロードは口を閉じる。

「……違います」

「何が違う?」

クロードは一つずつ思い出す。

「相手が動いてます」

グレインは黙って聞いている。

「作る時間も短かったです」

「ほかは?」

クロードは《グラスウルフ》が倒れている場所を見る。

「的より、ずっと地面に近いです」

言ってから、自分で少し引っ掛かった。

地面がある場所で魔法を使ったことなら、今までにも何度もある。

金属を使った実験でも、雷が毎回同じところへ走ったわけではなかった。

「でも、地面があるだけなら前から同じです」

グレインが頷く。

「じゃあ、まだ決められないな」

「はい」

クロードはノーゼスを見る。

「それに、横にも飛びました」

「それもだな」

グレインが答える。

「確かめたいなら、魔法実習で相談してみろ」

「そうします」

クロードはもう一度右手を見た。

今度は、当てることだけを考えるわけにはいかなかった。


◇


次の魔法実習の日、クロードはいつもの区画でジャルダンを待った。

リセナも手元の資料を持って近くにいる。

クロードは野外実習で起きたことを最初から話した。

《サンダーボール》を放ったこと。

魔物へ向かった雷が途中で地面へ落ちたこと。

もう一度急いで作った時は形がほどけ、その一本が近くにいたノーゼスへ当たったこと。

「怪我はなかったのか?」

ジャルダンが聞く。

「はい」

クロードは頷く。

「ちょっと痛かっただけだって言ってました」

それでもクロードの声は少し小さくなった。

ジャルダンはクロードの様子を見てから言う。

「それで、何を確かめたい?」

「違ったところを一つずつ変えてみたいです」

クロードが答える。

「地面に近かったことと、作る時間が短かったことです」

「相手が動いたことは?」

「それも気になります」

クロードは頷く。

「でも、一緒に変えたらどれなのか分からなくなるので」

ジャルダンが少し笑った。

「じゃあ、今日は一つずつだな」

リセナがクロードを見る。

「それと、ほどけた雷が横へ飛んだことも見ます」

クロードはすぐに頷いた。

「はい」

「一度の結果だけで原因に決めないでください」

「分かりました」

左右を土壁で隔てた区画には、クロードたち以外はいない。

ジャルダンが周囲を確かめてからクロードの後ろへ下がる。

最初は、いつも使っている位置の的だった。

地面から離れた場所にある固定された的。

クロード自身も止まっている。

右手を上げ、《サンダーボール》の《印》を組む。

魔力を流す。

急がず、丸い形へまとめる。

輪郭を見る。

狙いを決める。

「《サンダーボール》!」

雷の球が飛ぶ。

そのまま的へ届き、青白い光が弾けた。

クロードはすぐにノートへ目を落とす。

「届いた」

リセナが頷いた。

「魔力量も大きくは変わっていないように見えました」

クロードは結果を書く。

次は、的を地面に近い位置へ置いてもらった。

距離は大きく変えない。

自分の立つ場所も同じだ。

変えるのは的の高さだけ。

クロードは低くなった的を見る。

右手を上げた。

《印》を組み、さっきと同じくらいの魔力を流す。

丸い形を作る。

急がない。

「《サンダーボール》!」

雷が手元を離れる。

低い的へ向かって伸びた。

クロードは雷の先を見る。

途中で、青白い光がわずかに下へ伸びる。

次の瞬間、雷は的より手前の地面へ走った。

光が地面で弾ける。

クロードは目を見開いた。

「落ちた」

ジャルダンも地面を見る。

「今のはな」

クロードはその言葉を聞いて頷いた。

まだ一回だけだ。

「もう一回やっていいですか?」

「ああ」

同じ場所に立つ。

同じ低い的を見る。

《印》を組む。

魔力を流す。

形を作る。

さっきと同じように狙う。

「《サンダーボール》!」

青白い雷が走る。

今度は下へ落ちなかった。

雷の球は低い的へ届き、表面で弾ける。

「……当たった」

クロードは的を見たまま言った。

リセナが記録へ目を落とす。

「低いから必ず地面へ行く、とは言えませんね」

「はい」

クロードはノートに二つの結果を書く。

『低い的、一回目、地面』

『低い的、二回目、的』

書き終わってから、昔のノートを思い出した。

普通の鉄球を使って雷を調べていた頃。

表面を長く走る時もあった。

すぐ外へ出る時もあった。

通る場所も長さも揃わなかった。

『毎回同じではない』

あの時も、そう書いた。

金属があるからといって、いつも同じところへ雷が走ったわけではない。

地面も同じなのかもしれない。

けれど、それもまだ分からない。

クロードはノートへ新しい行を作った。

『地面に近いと、落ちることがある?』

最後に疑問符を付ける。

「次は?」

ジャルダンが聞いた。

クロードは低い的から目を離す。

「作る時間です」

的を元の位置へ戻してもらう。

今度は地面から離れている。

自分も止まったままだ。

クロードは右手を上げる。

「いつもより早く放してみます」

「無理に崩れたものを撃つな」

ジャルダンが言った。

「危ないと思ったら止めろ」

「はい」

クロードは《印》を組む。

魔力を流す。

青白い雷が集まる。

いつもなら、ここから輪郭を見て形を整える。

今日はそこまで待たない。

丸くなり始めたところで、右手を前へ向ける。

「《サンダーボール》!」

放とうとした瞬間、雷の輪郭が崩れた。

青白い光が細かく枝分かれする。

クロードはすぐに魔力を止めた。

雷は前へ伸びきらず、その場で弾けて消える。

「野外の2回目に近いです」

リセナがクロードの右手を見る。

「横へほどけた雷もありました」

クロードも頷く。

「はい」

野外では、その先にノーゼスがいた。

今は誰もいない。

クロードは少し黙ってから言った。

「これが当たったんだ」

ジャルダンはクロードを急かさなかった。

「もう一度やるか?」

「はい」

少し休んでから同じことを試す。

今度も普段より早く放つ。

雷は手元を離れた。

けれど丸い輪郭はすぐに崩れ、途中で青白い光が散った。

的までは届かない。

クロードはその場所を見た。

「今度は飛んだけど、途中で崩れた」

「さっきとは違いますね」

リセナが言う。

クロードは頷く。

同じように急いだつもりでも、結果は同じではない。

「普通に時間を取って、もう一回やります」

ジャルダンが周囲を確認する。

「いいぞ」

クロードは右手を上げた。

《印》を組む。

魔力を流す。

今度は急がない。

雷の輪郭が丸くまとまるまで待つ。

狙いを決める。

「《サンダーボール》!」

雷は正面へ飛び、的へ届いた。

クロードは少し息を吐く。

嬉しい。

けれど、さっきまでとは違って的へ当たったことだけを見てはいなかった。

「時間を取った時は届いた」

ノートへ書く。

その下には、地面へ落ちた結果も残っている。

急いで崩れた結果も残っている。

そして野外の頁には、ノーゼスへ細い雷が飛んだことも残っている。

ジャルダンがクロードのノートを見る。

「何が分かった?」

クロードはすぐには答えなかった。

高い的。

低い的。

時間を取った時。

急いだ時。

野外では、そのうえ相手が動いていた。

自分も動いていた。

味方も動いていた。

「実戦だと、違うことが多すぎます」

「そうだな」

「地面に近いだけじゃない」

クロードはノートを見る。

「急いだからだけでもないと思います」

リセナが頷いた。

「今の段階で一つの原因に決める必要はありません」

「はい」

クロードはペンを持ち直した。

「まだ、相手が動くのと、自分が動くのもあります」

一度止まってから、もう一つ付け加える。

「あと、近くに誰かいる時です」

ジャルダンが頷いた。

「そこは原因だけじゃなく、使う時に見ることでもあるな」

クロードはノーゼスの「俺、的じゃないからな」という言葉を思い出した。

少しだけ笑う。

「はい」

鐘が鳴るまで、クロードは今までと同じ条件でもう何度か《サンダーボール》を試した。

低い的へ届く回もあった。

途中で地面へ走る回もあった。

時間を短くした時も、毎回まったく同じ崩れ方にはならなかった。

結果が増えるほど、簡単な答えからは遠ざかっていく。

それでもクロードは、ノートの行が増えるたびに何度も見返した。


◇


夜。

男子寮の机に、今日のノートを広げる。

クロードは野外実習の頁と魔法実習の頁を並べて見た。

《グラスウルフ》を狙った時。

一発目は、飛んだあと地面へ落ちた。

二発目は、急いで作っている途中でほどけた。

細く分かれた雷の一本がノーゼスへ当たった。

クロードはその行で一度ペンを止める。

ノーゼスは笑っていた。

『次は魔物に当ててくれよ』

『俺、的じゃないからな』

思い出すと少しだけ笑える。

けれど、当たったこと自体は消えない。

クロードはその横へ小さく書き足した。

『味方へ飛ぶこともある』

魔法演習場では、地面から離れた固定された的へ届いた。

低い的では、地面へ落ちた回と的へ届いた回があった。

急いだ時には、形が崩れやすかった。

クロードは新しい頁を開く。

一番上へ四つ書いた。

『地面に近い』

『作る時間が短い』

『相手が動く』

『自分も動く』

少し考えてから、その下へもう一つ加える。

『味方も動く』

戦闘実践でも、味方が射線へ入れば魔法を止めてきた。

野外では、真っ直ぐ飛ばなかった雷そのものが味方へ向くこともあった。

クロードはペンを止めた。

的へ飛んだ雷も、地面へ落ちた雷も、ノーゼスへ飛んだ細い雷も、自分が出した雷だ。

鉄球の表面を走った雷も、毎回同じではなかった。

同じ雷なのに、条件が変われば結果も変わる。

「どれから確かめよう」

小さく呟く。

まだ答えはない。

クロードはノートの端に置いた右手を見る。

飛ばした雷を魔物へ当てることばかり考えていた。

けれど、それだけが雷の使い方ではない。

戦闘実践では、雷を見せて先生の足を変えさせたことで、仲間が動けたこともある。

当てなくても使える時はあった。

クロードは少し考え、ノートへ新しい行を書いた。

『飛ばさないなら?』

書いた文字を見て、昔のことを思い出す。

学園へ入る前、剣が相手へ当たる直前に雷を使う練習をしていた。

剣に雷を留めることは出来なかった。

それでも、剣と雷を一緒に使うことまでなくなったわけではない。

今なら《サンダーショック》もある。

相手へ触れなければ使えない魔法だが、最初から雷を遠くへ飛ばす必要はない。

クロードはその下へ書き足す。

『近づいて使う』

さらに少し考える。

近づけば、今度は相手の攻撃も届く。

剣なら何でも解決するわけでもない。

《サンダーショック》を魔物へ使ったこともない。

飛ばす雷より安全だとも、まだ分からない。

クロードは書いた文字を消さず、その横に疑問符を付けた。

『近づいて使う?』

その上には、もう一つある。

『当てなくても動かせる?』

そして最初から続けてきた使い方も残っている。

『飛ばして当てる』

三つを見比べる。

どれか一つが正しいとは思わなかった。

相手や場所が変われば、使えるものも変わるかもしれない。

クロードは一番下へ、今日まで何度も書いてきた言葉をもう一度記した。

『条件を一つずつ変える』

少し空けて、その横へもう一つ書く。

『使い方も?』

クロードはしばらく二つの疑問符を見てから、ノートを閉じた。

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