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『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』~幼少期・王立学園編~  作者: 黎明の星
王立学園編

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152/240

2対5

次に戦闘実践の授業があった日、クロードたちが第2運動場へ着くと、また中の様子が変わっていた。

広い運動場には、これまで使っていたものより大きな結界が2つ並んでいる。

それぞれの端には小さなセーフティーゾーンがあり、少し離れた場所にはもう1つ別の区画が作られていた。

その近くには見慣れない防具がいくつも並び、養護教諭も待っている。

「また違うね」

クロードが言うと、ノーゼスが2つの結界を見る。

「先生たち、もう中にいるぞ」

片方にはトルシアとダルガン、もう片方にはネノマとオルディクがいた。

4人とも授業が始まるのを待っているだけではなく、それぞれ身体を動かしている。

木剣を何度か振る先生もいれば、足を動かして向きを変えている先生もいる。

ネノマは軽く風を出したあと、腕を回していた。

「準備運動してるのね」

エクリアが言う。

「先生もするんだ」

「そりゃするだろ」

ノーゼスが答える。

「戦うんだから」

結界の外にはフィオネだけが残り、並べられた防具や救護用の区画を確認していた。

授業開始の魔導の鐘が鳴る。

18人が集まると、フィオネが全員を見渡した。

「今日は、また人数とやり方を変えます」

何人かが2つの結界を見る。

「1つのコートに先生2人、生徒5人です」

「5人?」

ノーゼスが言った。

以前、先生2人を相手に5人で戦ったことはある。

けれど今日は2つのコートがあり、それぞれに先生が2人ずつ入っている。

「2コート同時に行います」

フィオネが続ける。

「1試合は25分です」

「この1限で2試合行います」

クロードは頭の中で時間を数えた。

25分を2回。

「試合と試合の間には10分休憩を入れます」

フィオネが結界の中へ目を向ける。

そこでトルシアが木剣を振り終え、軽く肩を回していた。

「生徒だけでなく、先生たちも休憩します」

何人かが笑った。

ノーゼスも小さく笑う。

「そりゃ先生も疲れるよな」

「25分を2回だからね」

クロードも頷いた。

フィオネは並んでいる防具を指した。

「今日は全員、こちらの防具を着けてもらいます」

クロードたちは防具へ目を向ける。

前に生徒同士で木剣を使った時のものより、厚く作られているように見えた。

「剣だけでなく、魔法にも耐えられるよう作られた防具です」

「授業で扱う範囲であれば、よほどのことがない限り大きな怪我にはなりません」

フィオネの説明を聞きながら、クロードは防具を見る。

魔法を使う授業で、実際に当てるところまでやるためのものらしい。

「ですが、防具があるから何をしてもいいわけではありません」

フィオネが続ける。

「授業で扱っている範囲を守ってください」

「はい」

返事が重なる。

フィオネは次に、養護教諭のいる区画へ手を向けた。

「あちらが救護ゾーンです」

「剣でも魔法でも、防具へ明確に攻撃を受けた人は一度コートを出て、救護ゾーンへ移動してください」

「養護教諭の確認と回復を受けます」

クロードは救護ゾーンを見る。

当たったところで試合そのものが止まるわけではない。

攻撃を受けた人だけが戦場から抜ける。

「確認が終わり、戻ってよいと言われたら試合へ戻って構いません」

少し声が上がった。

ザナトスが結界の中にいる先生たちを見る。

「先生にも当てていいんですか?」

フィオネが頷いた。

「もちろんです」

ザナトスの口元が上がった。

「絶対当てる」

「始まる前からそれ言うのね」

近くにいたエクリアが笑った。

次に説明されたのはセーフティーゾーンだった。

各コートで、生徒が休めるのは一度に1人だけ。

誰かが入っている間は、ほかの生徒は入れない。

戻る時期は自分で判断する。

クロードは5人で始まる戦場を思い浮かべた。

1人が救護へ行く。

別の1人がセーフティーゾーンへ入る。

それだけで外に残る生徒は3人になる。

最初に聞いた5対2のままとは限らない。

フィオネは今度は、戦闘へ入らない生徒たちについて説明する。

「1試合で戦闘へ入る生徒は10人です」

「残る8人にも順番を決めてあります」

運動場の脇には、木剣を使える場所も用意されていた。

「最初の10分は4人が木剣で対峙し、残る4人は戦闘を見ます」

「10分で交代します」

「後半の10分は、最初に見ていた4人が木剣へ入り、最初に木剣を使っていた4人が戦闘を見ます」

「残りの5分は8人全員で戦闘を見てください」

これなら、ずっと木剣だけを使う人も、ずっと外から見ているだけの人もいない。

「木剣側も、誰と対峙するかはこちらで決めています」

フィオネが続ける。

「その場で相手を探す必要はありません」

さらに2試合目では、1試合目に外側だった8人全員が戦闘へ入り、1試合目に戦った生徒のうち2人がもう一度戦闘へ入る。

残る8人が今度は木剣と見学へ回る。

フィオネが順番と組み合わせを読み上げていった。

クロードは1試合目に戦闘へ入る。

2試合目は外側だった。

ノーゼスとエクリアの名前も別の順番で呼ばれていく。

最初から最後まで同じ組で動く授業ではない。

「では、防具を着けてください」

18人が並んでいる防具へ向かった。

その間に、結界の中で準備運動をしていた先生たちも動きを止める。

トルシアとダルガンは片方のコートへ残り、ネノマとオルディクももう一方で位置についた。

クロードも自分に合う防具を受け取り、順番に身につけていく。

前に着けた防具より少し重い。

腕を動かすと抵抗もある。

「結構重いな」

近くでザナトスが肩を回した。

「前のよりね」

クロードも腕を曲げる。

魔法まで受けられるように作られているのなら、このくらい違っていてもおかしくなかった。

準備が終わり、最初の10人が2つのコートへ分かれていく。

クロードが入ったコートには、ザナトス、ピア、ミナ、リーゼがいた。

向かいにはトルシアとダルガンが立っている。

別のコートにはノーゼスとエクリアたちが入っていた。

クロードは右手で木剣を握った。

左手を一度開く。

ここしばらく繰り返している《印》の動きが、指に少し残っている。

けれど、止まって練習する時とは違う。

目の前には先生が2人いる。

横には4人の仲間もいる。

結界の外からフィオネの声が掛かった。

「始めてください!」

25分の最初の試合が始まった。

ザナトスがすぐ前へ出る。

「行く!」

「早い!」

リーゼの声が飛ぶ。

トルシアがザナトスへ向きを変える。

その反対からダルガンが動いた。

クロードは木剣を持ったまま横へ出る。

ピアの手が上がる。

「水行く!」

クロードが止まる。

《ウォーターボール》がトルシアへ飛んだ。

トルシアが避ける。

その先へザナトスが木剣を持って入ろうとした。

けれどダルガンがその前へ回る。

「先生変わった!」

クロードが声を出した。

ザナトスが足を止める。

リーゼの風が横から飛ぶ。

ダルガンが避ける。

クロードも前へ出ようとした。

今度はトルシアがこちらを向いている。

先生2人が別々に動くだけで、誰の前にどちらがいるのかがすぐ変わった。

クロードは木剣を構えたまま少し下がる。

トルシアが追う。

その間にダルガンはリーゼの方へ向かった。

「リーゼ、後ろ!」

ミナが声を上げる。

リーゼが向きを変える。

ダルガンの木剣が伸びる。

リーゼが自分の木剣で受けた。

乾いた音が鳴る。

そのすぐあと、トルシアが右手を上げた。

《ウォーターボール》が作られる。

「来る!」

クロードが声を出した。

水球が飛ぶ。

クロードは横へ避けた。

後ろにいたピアも動く。

けれど水球は途中で少し向きを変え、ピアの胸元へ当たった。

鈍い音がする。

「っ!」

ピアが一歩下がった。

防具が水を受け止めている。

トルシアはすぐ手を下ろした。

「ピアさん、救護へ」

「はい」

ピアは胸元を一度押さえ、そのままコートの外へ向かった。

試合は止まらない。

クロードがピアを見送っている間にも、ダルガンが前へ動く。

「クロード!」

ザナトスの声で顔を戻す。

目の前に土の球が来ていた。

クロードは横へ飛ぶように避けた。

《ロックボール》が防具のすぐ横を通っていく。

「危なっ」

「見てろよ!」

ザナトスが叫ぶ。

「うん!」

5人で始まったはずなのに、もう4人しかいない。

その4人も同じ場所にはいなかった。

リーゼが前へ出る。

ミナが少し後ろへ下がる。

ザナトスはトルシアを追っている。

クロードは右手の木剣を握ったままダルガンを見る。

少し距離がある。

今なら魔法を使えるかもしれない。

いつもなら木剣を左手へ持ち替える。

クロードは持ち替えず、左手を上げた。

《印》へ入る。

最初の指は動いた。

次も進む。

けれど右手の時より遅い。

ダルガンがこちらへ向きを変えた。

「……間に合わない」

クロードは途中で《印》を解いた。

木剣を両手で構え直す。

ダルガンが近づく。

木剣がぶつかる。

クロードは受けたまま横へ動いた。

その後ろからリーゼの《ウィンドボール》が飛ぶ。

ダルガンがそちらを避けた。

「今!」

リーゼの声。

クロードは追おうとして、すぐには前へ出なかった。

左手で出来なかったことに気を取られていた。

トルシアがどこにいるのか見えていない。

周囲を見る。

トルシアはザナトスとミナの方にいる。

「こっちは大丈夫!」

ザナトスの声が届く。

クロードはダルガンへ向き直った。

少しずつ時間が過ぎる。

ピアが抜けたままでも4人は動き続けていた。

やがてミナの息が上がってくる。

「私、少し休む」

ミナがセーフティーゾーンへ向かった。

中へ入る。

これで戦場にいる生徒は3人になった。

クロード、ザナトス、リーゼ。

先生は2人とも残っている。

「3人か」

クロードが周囲を見る。

ザナトスも息を吐きながら笑った。

「まだ多い!」

「そういう問題?」

リーゼが言いながら風を放つ。

トルシアが避ける。

その間にダルガンがザナトスへ向かう。

クロードは一歩下がって距離を取った。

右手には木剣がある。

左手を上げる。

今度は先生2人の位置を先に見る。

ダルガンはザナトスの方。

トルシアはリーゼを見ている。

少しだけ時間がある。

左手で《印》を組む。

途中で指が止まりかける。

それでもやり直さず続けた。

雷が集まる。

丸くなる。

「《サンダーボール》!」

左手から雷球が飛んだ。

トルシアがこちらを見る。

すぐ横へ動いた。

雷球はトルシアのいた場所を通り、そのまま結界の内側で消えた。

「出た」

当たってはいない。

けれど、動いている相手がいる中で左手から放つところまでは出来た。

クロードが雷の消えた方を見る。

その瞬間だった。

「クロード、横!」

リーゼの声が飛ぶ。

振り向く。

ダルガンが近い。

ザナトスの方にいたはずなのに、もうこちらへ向きを変えていた。

クロードは木剣を上げる。

間に合わない。

ダルガンの木剣が脇腹側の防具へはっきり当たった。

重い衝撃が入る。

「っ!」

クロードが一歩よろけた。

ダルガンはそれ以上振らず、木剣を下げる。

「救護へ」

「はい」

クロードは脇腹を押さえた。

痛みはある。

けれど防具の上から受けたため、動けないほどではない。

コートを出て救護ゾーンへ向かう。

中ではもう戦闘が続いていた。

クロードが抜けたことで、残っているのはザナトスとリーゼだけだ。

ちょうどその時、救護ゾーンからピアが出てきた。

養護教諭が何か声を掛け、ピアが頷く。

「戻るね!」

ピアはそのままコートへ戻っていった。

入れ替わるようにクロードが救護ゾーンへ入る。

養護教諭が脇腹の防具を確認した。

「痛む?」

「少しだけです」

防具を外すほどではないらしく、その上から状態を確かめられる。

怪我はしていない。

それでも当たった衝撃は残っていた。

回復を受けると、重かった感覚が少しずつ薄れていく。

クロードはその間もコートを見る。

戻ったピアが水を放っている。

ミナはまだセーフティーゾーンにいる。

ザナトスとリーゼは前に残ったままだ。

自分が左手を見ていた間にも、ダルガンは動いていた。

左手で魔法を出せたことばかり考えていた。

もう1人の先生を見るのが遅れた。

「戻って大丈夫ですよ」

養護教諭に言われ、クロードは立ち上がった。

「ありがとうございます」

救護ゾーンを出て、もう一度コートへ入る。

右手には木剣を持ったままだ。

今度は左手をすぐ上げなかった。

まず先生2人を見る。

次に仲間を見る。

ミナがセーフティーゾーンから戻ろうとしている。

ピアは後ろ。

リーゼが中央。

ザナトスはダルガンに近い。

「僕、トルシア先生見る!」

「分かった!」

ピアが返す。

クロードは前へ出た。

トルシアがこちらへ向きを変える。

木剣を使う。

離れる。

今度は右手の木剣を左へ持ち替えた。

右手で《印》を組む。

さっきよりずっと速い。

《サンダーボール》が飛ぶ。

トルシアが避ける。

その先へリーゼの風が入った。

同じ魔法を使うにも、今は右手の方が早かった。

左手で使えたことと、左手を使った方がいいことは同じではない。

そのあとも、救護へ抜ける人と戻ってくる人、セーフティーゾーンへ入る人が何度か変わった。

最初の5人が揃ったまま戦っている時間の方が少ないくらいだった。

やがて25分の終了が告げられる。

結界の外からフィオネの声が響いた。

「そこまでです!」

クロードは動きを止めた。

隣ではザナトスがその場で大きく息を吐いている。

「先生、当てられなかった……」

悔しそうだった。

「まだ2試合目あるぞ」

近くからノーゼスの声が聞こえる。

別のコートから戻ってきたところだった。

「俺、次も戦闘だからな」

「また入るの?」

「そう」

ノーゼスもかなり息が上がっている。

エクリアが横から言った。

「その前に10分休みなさいよ」

「休む」

返事だけは早かった。


◇


1試合目が終わると、先生も生徒も水分を取りながら休憩に入った。

トルシアたち4人も結界の外へ出ている。

ザナトスがそれを見た。

「先生もちゃんと休んでる」

「25分ずっと5人相手にしてたんだから当たり前でしょ」

エクリアが答える。

ノーゼスは水を飲みながら頷いた。

「次すぐだったら先生の方が先に倒れるだろ」

近くにいたネノマが聞こえたらしく、振り向いた。

「倒れませんよ」

「聞こえてた」

ノーゼスが少し驚く。

「でも休みます」

ネノマはそう言ってまた水を飲んだ。

10分の間に救護を受けた生徒の確認も終わり、2試合目の配置へ移っていく。

1試合目に外側だった8人は全員、今度は戦闘側だった。

そこへ1試合目から続けて入る2人が加わる。

クロードは今度は外側へ回る。

エクリアも外側だった。

最初の10分、クロードとエクリアは戦闘を見る順番になっている。

少し離れた木剣用の場所では、ザナトスたち4人が決められた相手と向かい合った。

先生4人も休憩を終え、それぞれのコートへ戻った。

結界の外に残ったフィオネが全体を確認する。

「始めてください!」

2試合目が始まる。

同時に木剣側も動き始めた。

クロードは結界の外から、今度は2つのコートを見る。

中にいる時とは違い、5人全員の位置が一度に見える。

片方のコートにはノーゼスがいた。

開始してすぐ、木剣を持たずに少し後ろへ動く。

前へ出た生徒の横から《ロックボール》を放った。

先生が避ける。

そこへ別の生徒が入ろうとする。

「さっき中だと、あそこまで見えなかったな」

クロードが言う。

エクリアも同じコートを見ている。

「誰が空いたところへ入ろうとしてるか、外だと分かるわね」

少しすると、別の生徒が魔法を受けて救護へ抜けた。

5人が4人になる。

その直後、1人がセーフティーゾーンへ入った。

戦場に残ったのは3人だった。

「一気に減った」

クロードが言う。

「でも中にいる3人は止まれないわ」

エクリアの言葉どおり、残った3人はすぐ位置を変えている。

ノーゼスもさっきまでいた場所を離れ、中央寄りへ動いた。

5人いた時には誰かがいた場所が空いたからなのかもしれない。

外からなら変わったことは見える。

けれど、ノーゼスが何を見てあそこへ動いたのかまでは分からなかった。

10分が過ぎる。

フィオネから交代の声が掛かった。

「木剣と見学、交代してください!」

クロードたちは木剣側へ向かう。

次の相手はエクリアだった。

「よろしく」

クロードが木剣を持って構える。

「よろしく」

エクリアも構えた。

ここでは魔法は使わない。

2人の間に距離を取る。

フィオネから合図が掛かる。

クロードが一歩前へ出る。

エクリアが少し下がる。

さらに進もうとすると、今度はエクリアから前へ出た。

クロードは木剣を上げる。

木剣同士がぶつかる。

乾いた音が鳴った。

すぐに離れる。

前に同級生と打ち合った時にも、相手によって動きは違った。

エクリアもザナトスともランとも違う。

クロードが横へ動けば、エクリアも向きを変える。

今度はエクリアから踏み込んできた。

クロードは受けてから横へ動く。

そのまま振ろうとしたが、エクリアもすぐ離れた。

「届かない」

「簡単には当たらないわよ」

エクリアが少し笑う。

クロードも笑って構え直した。

10分の対峙は、短くはなかった。

一度動いて終わりではなく、何度も距離を取り直し、近づき、離れる。

途中で息も上がってくる。

それでも戦闘実践とは違い、今見なければならない相手は目の前の1人だけだった。

「そこまでです!」

フィオネの声で2人が木剣を下ろした。

「長いね」

クロードが息を吐く。

「5分よりちゃんと相手を見られるわね」

「うん」

木剣を戻し、最後の5分は外側の8人全員で戦闘を見る。

クロードは再びノーゼスのいるコートへ目を向けた。

最初に見た時とは、戦場にいる人も位置も変わっていた。

救護へ行っていた生徒が戻っている。

今度は別の生徒がセーフティーゾーンへ入っていた。

ノーゼスも最初より前へ出ている。

《ロックウォール》が立つ。

その横を別の生徒が通る。

先生が反対へ回る。

ノーゼスは壁の後ろに残らず、すぐ位置を変えた。

「あ、動いた」

クロードが呟く。

エクリアも見る。

「横から回られるからじゃない?」

「かもしれない」

それが本当の理由かは外からでは分からない。

今度は先生の魔法が飛ぶ。

ノーゼスが避ける。

別の生徒が前へ出る。

そのさらに後ろでは、救護から戻ってきた生徒がどこへ入るか迷っているように見えた。

最初に5人いた時の形は、もうほとんど残っていなかった。

やがて25分が終わる。

フィオネの終了の声が2つのコートへ響いた。

戦っていた生徒たちが動きを止める。

先生たちも手を下ろした。

クロードは息を吐いた。

自分が中にいた25分と、外から見た25分。

同じ2対5で始まっても、中で起きていたことはずっと同じではなかった。

救護へ行けば減る。

休めば減る。

戻れば増える。

そのたびに、残った人の位置も動き方も変わる。

最後の片づけが始まった。

防具を外し、木剣を戻し、使った場所を整えていく。

クロードも防具を外しながら左手を見る。

戦っている中でも、左手から《サンダーボール》を放つところまでは出来た。

けれど、その直後にもう1人の先生を見るのが遅れた。

使えたことだけでは足りない。

授業終了の魔導の鐘が鳴る。

フィオネが18人を見る。

「このあと短い休憩を挟みます」

クロードたちは顔を上げた。

「次の限は、条件を変えます」

ノーゼスが小さく声を出す。

「また変わるのか」

エクリアが笑った。

クロードは片づけ終えた2つのコートを見る。

今度は何が変わるのか。

まだ分からないまま、1限目が終わった。

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