↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界転生した製鉄所主任、雷魔法と鉱物生成で成り上がる ~未知の世界は面白いことだらけでした~』~幼少期・王立学園編~  作者: 黎明の星
王立学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
132/244

見ていたのに

「始め!」

ワズカーの声と同時に、両組が中央へ走り出した。

先に球へ触れたのはGIFT組だった。

レオナスが球を取ると、その右をアルディナが走る。

クロードはコートの外から、その2人を見る。

さっきも見た動きだった。

けれど見ていたのはクロードだけではない。

アルディナの前へヤンナが早めに入った。

レオナスが投げようとした球を止め、別の方を見る。

「右!」

ノーゼスの声が飛ぶ。

ザナトスがそちらへ寄った。

球は後ろへ戻される。

その間にエクリアが中央へ入った。

GIFT組の球が横へ渡った瞬間、エクリアが手を伸ばす。

球がこぼれた。

ミナが拾う。

そのまま前へ出て、少し離れたエクリアへ投げた。

受け取ったエクリアの前には、空いた門がある。

球が門を抜けた。

「1点!」

魔法組から声が上がった。

クロードも思わず手を握る。

やっぱり見ていたことは役に立つ。

第1試合で何度も使っていた動きだった。

GIFT組がどこへ球を運びやすいのか、少しだけ先に分かった。

球が中央へ戻される。

再びGIFT組が動いた。

またレオナスが球を持つ。

アルディナが右へ走る。

ヤンナもさっきと同じように前へ出た。

けれど今度は、レオナスがアルディナを見ただけで球を投げなかった。

身体を右へ向けたまま、反対側へ球を送る。

セルディオスが受け取った。

魔法組の視線が一瞬遅れる。

セルディオスの前には別の門が空いていた。

「1点!」

今度はGIFT組から歓声が上がる。

「変えた」

クロードが呟く。

隣にいたリーゼも頷いた。

「見られてたって分かったのかな」

「たぶん」

さっきと同じ始まりだった。

けれど同じ終わりにはならなかった。

試合はその後も点を取り合った。

魔法組が先に動きを読めば、GIFT組は次に変える。

GIFT組が同じ側へ寄せれば、エクリアたちも空いた方へ球を回す。

2対2。

そこから3対3になった。

クロードは球だけでなく、球を持っていない選手を見る。

レオナスが球を持った時、アルディナだけを見るのでは遅い。

セルディオスがどこにいるのか。

その後ろから誰が走り始めるのか。

守る側の味方がどちらへ動いたのか。

全部を追おうとすると、やっぱり間に合わなくなる。

だから、その時に変わりそうなところを見る。

得点が入ったところで、魔法組側から交代が伝えられた。

ワズカーが手を上げる。

「魔法組、交代!」

クロードの身体に力が入った。

「タンガ、出ろ! クロード、入れ!」

「はい!」

クロードはコートへ走った。

タンガが外へ向かってくる。

すれ違う時、タンガが軽く手を上げた。

クロードも同じように手を上げ、そのまま中へ入る。

外から見えていたものが、少しずつ近くなった。

レオナス。

アルディナ。

セルディオス。

同じ相手なのに、立っている場所が変わるだけで距離が違って見える。

球が動き始めた。

レオナスが受け取る。

右を見る。

アルディナが走り始めた。

クロードは先に動いた。

さっきまで何度も見ていた場所へ入る。

レオナスからアルディナへ球が飛ぶ。

クロードが手を伸ばした。

指先に球が当たる。

勢いが変わった球をノーゼスが拾った。

「前!」

エクリアの声が飛ぶ。

クロードも走る。

ノーゼスからミナへ球が渡り、ミナが中央へ寄る。

ザナトスが右へ走った。

GIFT組の守りがそちらへ動く。

ミナは逆側へ球を投げた。

待っていたヤンナが受け取る。

門を抜けた。

「1点!」

4対3になった。

クロードは振り返る。

今のは見ていたから入れた。

レオナスがどこを見るのか。

アルディナがいつ走るのか。

外から見たものが、そのまま消えたわけではない。

次の球もGIFT組へ渡る。

レオナスが受け取った。

右を見る。

アルディナが動く。

クロードもそちらへ身体を向けた。

今度も同じなら、その間へ入れる。

一歩出る。

その瞬間、レオナスの球は右へ来なかった。

反対側へ飛ぶ。

「えっ」

ノイエルが受け取っていた。

クロードが向きを変えた時には、もう遅い。

ノイエルからセルディオスへ球が渡る。

セルディオスが門へ投げた。

「1点!」

4対4。

クロードは足を止めかける。

同じように見えた。

でも違った。

さっきクロードが入ったから、今度は別へ投げた。

見たものが間違っていたわけではない。

相手が変えた。

「クロード、戻れ!」

ノーゼスの声が聞こえた。

「うん!」

考えるのをやめ、クロードはすぐに戻った。

次を見る。

球を持っている人。

走り始めた人。

味方が今いる場所。

そこからまた試合は動いた。

魔法組が5点目を取る。

GIFT組もすぐに取り返した。

5対5。

次の1点で終わる。

コートの外から聞こえていた声も、さっきまでより近く感じる。

中央へ戻った球をザナトスが取った。

「左!」

ミナが声を上げる。

ザナトスはすぐには投げない。

クロードは右の門を見る。

その近くにレオナスがいる。

少し中央寄りには、もう1人いる。

クロードは右へ走った。

レオナスがこちらを見る。

もう1人も少しだけ右へ寄った。

「クロード!」

ザナトスの声が飛ぶ。

クロードは球が来ると思って手を上げた。

けれどザナトスは投げなかった。

クロードへ2人が寄ったのを見て、中央へ球を戻す。

受け取ったのはミナだった。

その左をヤンナが走っている。

さっきまでそこにいたGIFT組の1人は、クロードの方へ寄っていた。

「ヤンナ!」

ミナが投げる。

ヤンナが受け取る。

門の前には誰もいない。

そのまま球を投げた。

球が門を抜ける。

一瞬遅れて、大きな声が上がった。

「1点!」

ワズカーが腕を上げる。

「そこまで!」

クロードはその場で足を止めた。

「6対5! 魔法組!」

魔法組の皆から歓声が上がる。

クロードも息を吐きながら笑った。

最後の球は自分のところへ来なかった。

それでも、自分が右へ走ったことで相手が動いた。

その先をミナが見た。

ヤンナも見ていた。

見ていたものを使う。

変わったら、もう1度見る。

それは外にいても、中へ入っても同じだった。

コートを出ると、ノーゼスが指を折りながら得点を数えていた。

「GIFT組、さっき5点だったよな」

「うん」

「今も5点」

ノーゼスが少し首を傾げる。

「……2回負けたのに10点あるのか」

「総得点だからね」

エクリアが答える。

ラウディスもコートの外で得点を確認していた。

「2試合で10点ですか」

負けた直後だというのに、その声はそれほど沈んでいなかった。

セリーナが静かに答える。

「ですが次の試合で、どちらかは6点取ります」

ラウディスがそちらを見る。

セリーナは魔法組へ視線を移した。

「どちらも今は6点ですから、次に勝った方が12点ですね」

クロードも頭の中で足す。

魔法組は6点。

《持たざる者》組も6点。

次の試合で勝った方には、さらに6点が入る。

「じゃあ、次で決まるのか」

ノーゼスが言った。

「そうみたい」

マーサがセリーナの方を見る。

「いよいよ私たちですね」

「ええ」

セリーナは少しだけ笑った。

「今度は、私たちが先ほどの試合を見せてもらいましたから」

マーサも微笑む。

「そうでしたね」

クロードは《持たざる者》組の方を見た。

さっきまで、自分たちが相手を見ていた。

今度は逆だった。

見ていたのは、自分たちだけではない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。