第86話 それぞれの決意②
魔術研究院はノームと研究員がひしめいている。
「全ての精霊を召喚するぞ」
「召喚の魔法陣を描くぞ」
「属性ごとに描き分けろ」
「精霊を召喚など……出来るのか?」
研究員がノームに問う。
「魔法陣は精霊への手紙だ」
「要望を示し、魔力を注いで発動させる」
「だから魔法陣に精霊を呼ぶ印を描くのだ」
「魔道装置と同じ。回路を間違えたら届かない」
「印の綴り方に注意を払わねば」
「あらゆる印を集めろ」
「……分かった、印を集めてくる!」
研究員達は文献をあさり、印をかき集め、ノーム達はそれを綴っていく。
——ゴルは街道の広場で、大掛かりな装置を組み立てている。
「みんなの魔力を1箇所に集め、それを6つに分割して一気に送り込む装置を作るぞい!」
「そんなの……聞いたことないです」
「無いから作るんじゃろうが」
「魔力を分割って……どうやって」
「考えるんじゃ。あらゆる方法を。そして試すんじゃ」
「いいか、今、お前たちの人生で忘れられん局面が来とるぞ。後悔せんように全力で取り組め!」
「はい!」
——セリクはアーカーの執務室にいる。
「――魔術研究院とノームは協力しながら召喚魔法を編み出しています。全ての属性の精霊を呼び出すためには6つの魔法陣が必要です。魔法陣を描くのに必要な印を揃え、綴りの順番を念入りに調べています」
「ドワーフ達は街道の広場にて、6つの魔法陣を同時に発動させる装置を開発しています。本番の発動場所は第二戦線を想定しています。仕組みが見えてきたら魔術団とエルフと連携し、魔力を注ぐ試験を開始します」
「セリク補佐官、指揮を取ってくれてありがとうございます」
「いえ、国を止めるわけにはいきませんから。
僕がみんなをまとめます。
アーカー様は政務を進めてください」
「……頼もしく成長しましたね」
「――僕は皇妃補佐官です。彼女が幸せな人生を歩めるよう導くのが僕の仕事です」
セリクは執務室を出ると、真っ直ぐ前を見据え、歩き出した。




