第78話 結婚式
城の正門前、凱旋広場に人が集まってきた。
広場の中央に高壇が設置されている。
赤い絨毯が正門から高壇を通り、その先まで続いている。
高壇の周りには椅子が設置され、人々は着席し始めた。
来賓側の最前列にはレーラとアステナが、
騎士側の最前列にはレグルスとライネフの姿がある。
「……式も、外で行うんですね」
騎士の1人が着席し、ポツリと言った。
「私たちのため、なんですって」
隣に座っている女性騎士が答える。
「聖堂だと全員入れないから。陛下の式を、私達に見守ってほしいって」
「式が3日間行われるのも、戦線にいる隊員が交代で参加できるように。式の隊列は近衛隊がやるから、隊員は参列して欲しいって」
「そうだったんですね……」
「心して、見守ります」
「えぇ」
参列者が揃うと、正門が開いた。
中から、馬に跨ったエルフ達が列を組み進み出る。
エルフに続き、セントールの列が現れる。
参列者から声が上がった。
エルフは高壇の側面を進み、向こう側まで行くと、道を挟んで向かい合う。
セントールは高壇の手前で向かい合うと、剣を胸元に構える。
正門から馬車が進み出る。
道の中ほどで止まり、シェイドが馬車から降りる。
繊細な模様が彫られた細身のサークレットを額につけ、剣帯から剣を下げている。
シェイドはゆっくりと高壇の手前まで進み、振り返る。
再び正門が開き、二台目の馬車がゆっくりと進み出た。
馬車からバルクシア王とエリューが降りてくる。
エリューは裾の広がった真っ白なドレスに身を包んでいる。
二人は向かい合い、エリューが腰を落とす。
王はエリューの頭にヴェールを被せる。
二人が正面に向き直ると、
脇からルト、カーツ、リーサ、マルサが登場した。
エリューは右手をカーツ、左手をルトと繋ぎ、絨毯を進み始めた。
リーサ・マルサは後ろのヴェールを持ち、進む。
シェイドの元まで進むと、カーツは手を離した。
ルトはシェイドが差し出した手に、エリューの手を委ねた。
二人は歩み出す。
セントール達が構えた剣を一斉に掲げ、日の光を反射して輝く。
高壇を登り、司祭が待つ祭壇まで進む。
司祭が祝福の口上を述べ、
白金の刺繍が施された帯で二人の繋いだ手を包む。
帯が外されると二人は向かい合い、エリューが腰を落とす。
シェイドはエリューのヴェールをあげ、その両手を取り……止まる。
(陛下……頑張れ)
意を決して動き出し、エリューに口づける。
司祭が口上を述べ、場内から拍手が起こる。
二人は高壇の向こう側へ降り、儀礼馬車に乗る。
馬車の御者はセリクが務めている。
エルフ達の馬が一斉に嘶き――進み始める。
二人を乗せた馬車がエルフの後に続き、その後ろにセントール、近衛隊が続く。
ドンッ!
両端に設置された筒から真っ白な花びらが打ち上がり、辺り一面に舞い散る。
ワァァァ!!
厳かだった会場から一気に歓声が上がる。
歓声はそのまま途切れることなく、祝いの歓声へと変わる。
隊列が進むたび、等間隔に設置された筒から花びらが舞い散る。
白の次は青、その次はピンクと、打ち上がる度に彩りが変わり、その都度大きく歓声が上がった。
「シェイド!」
歓声が大きいため、エリューはすぐ隣のシェイドに大きな声で話しかける。
「こんなに沢山のおめでとうを、一気に受けたことない!」
「あぁ!」
「すっごく、幸せ!」
「……俺もだ!」
「私、ずーっとここにいたい!」
「ずっとここにいてくれ!」
二人が笑顔で会話を交わす様子を見ながら、アーカーは目頭を抑える。
街道を群衆が取り囲み、祝福の道が延々と続いていた。
――第二部 完――




