第75話 腕輪盾
エリューはゴルの工房に来ている。
「エリューちゃん、出来たぞい」
ゴルが金属で出来た編み物のような物を渡す。
「わ、すごいっ! 想像通り!」
エリューは腕輪盾をかざして眺める。
金属の布のような、不思議な素材だ。
色は黒に近い。
筒型でペラペラしているが、少し力を込めると固まる。
「これなら、刃も牙も通らん」
「腕に着ける "盾" として使えるな」
「うんうん、軽くて邪魔にならないし、見た目が目立たないのもいい! とっても陛下っぽいよ。ゴル、ありがとう!」
「礼には及ばんよ。おかげで新しい作品の案が色々浮かんできたんじゃ。隊員用の画期的な防具が出来そうだぞい!」
ゴルはガハハと笑った。
――エリューとシェイドは夕食のあと、中庭を散歩した。
「だいぶ暖かくなったね」
「戦線の夜番も、前ほど頻繁に交代せずに済むようになった」
「寒い時の見張り、大変だもんね」
「シェイドは、星を眺めたりする?」
「……あぁ。夜番の時はよく見ている」
中庭の椅子に腰掛け、二人で夜空を眺める。
「シェイドに、プレゼントがありまーす。じゃん。前に言ってた腕輪盾、完成しました。着けてみて〜!」
シェイドが身に着けると、隙間なくピッタリと腕に収まった。
「さすが天才職人! ピッタリだねー。これで、剣も牙も受け止められるよ。どうかな、邪魔にはならなそう?」
シェイドが手を握って開いたり、手首を回して確かめる。
「あぁ、問題ない」
「シェイドは牙を受ける前に倒しちゃうかもだけど」
エリューがヘラッと笑う。
「ありがとう」
シェイドはエリューに笑いかけた。
「もうすぐ結婚式だね」
「あぁ」
「式で、セントールのみんなが剣をかざして立ってくれるんだって! エルフのみんなも馬に乗って隊列組んでくれるんだって。想像しただけでかっこいい〜楽しみ!」
「そうか」
「ゴルが、魔道装置で何か演出考えてるみたい。"当日のお楽しみじゃ!"って。何するつもりなんだろ〜気になるね!」
「そうだな」
「明日、ドレスの試着するよ。リーマルと一緒に選んだんだ。どんな仕上がりかなー」
「当日、楽しみにしている」
ふふふ、と笑いながらエリューはシェイドの肩に頭をもたれる。
シェイドは盾のついた腕で、その頭を包んだ。




