第七話 ライネフと剣術訓練
木刀がぶつかる、乾いた音が訓練場にこだまする。
砂埃が舞い、昼の日差しが打ち合う二人を照らしている。
「よく鍛えられていますね!」
打ち合いながらライネフが声をかける。
「自分の身は自分で守れ、だそうで!」
ライネフの攻撃を交わしながら、エリューが答える。
エリューの木刀がライネフの首元を攫おうとする。
ライネフはバッと後ろへ飛んで回避する。
「はぁ……ふぅ……休憩しよ!」
その場にヘタンと座る。
ライネフもスッと腰を下ろした。
「ここまでとは思いませんでした。帝国騎士団に入団できますね」
「本当!? 皇妃試験落ちたら、受けてみようかな!」
「な何をおっしゃるんですか、縁起でもない……!」
「あはは」
二人はしばらく息を整える。
――ライネフがおもむろに問いかけた。
「剣術も武術も弓術も……自衛のために教え込まれたのですか?」
天井を見上げて息をしていたエリューがライネフの方を向く。
「んー、そうだね。何やってもダメだから全部やらせたんじゃないかな」
「国王陛下は厳しく教育なさったんですね」
「うん、厳しかった。朝食と寝る時間以外は全部何かの訓練してた」
「でもそれは」
「さ!そろそろ再開しよ!」
エリューはパッと立ち上がった。
再び木刀を打ち合う。
(何やってもダメなんて……)
エリューの木刀がライネフの足元をすくう。
(こんな立派な剣術をお持ちなのに……?)
攻撃を交わしながらエリューを見つめる。
身を翻すたび、一つにまとめた髪がキラキラ輝く。
(戦うというより、踊ってるみたいだ)
エリューが木刀を振りかざす。
宝石のついた腕輪が光線を飛ばす。
(こんな綺麗に戦う人がいるなんて)
(この方が皇妃になるのか)
『試験落ちたら受けてみようかな!』
(もし試験に落ちた時には……いや、この方が選ばれないなんてこと――)
バシッ!
「たっ……!」
「勝った!」
汗を輝かせてエリューが笑う。
「考え事してたでしょ〜! 気を抜いちゃダメだよ!」
「じゃ、また来週よろしくね!」
サッと手をあげ、くるりと背を向けると出口へ駆けて行った。
ライネフはその背中をボーッと見つめていた。




