第68話 エルフ 来訪
エリューは帝国の城のそばにある、森の中にいた。
エルフの住処を建設中の森の中はトントン、ガーガーと騒がしい。
「そうそう、こんな感じ!」
「この小屋と、あの広間を繋ぐ吊り橋が欲しいな、あと、ここにランタン置きたい〜」
帝国開拓局の担当者がメモをする。
「ほぼ、形になって来ましたよね」
「ほんと! 私の想像する光景を再現してくれて嬉しい〜ありがとう!」
城へ戻ると、城門付近に見慣れない馬車がいくつも到着している。
馬車の周りでエルフ達が荷解きをしている。
「あーーフィン! みんなーー!」
「エリュー様!」
「おぉ、お嬢ちゃん! 来たぞ!」
「よろしくお願いします」
30名近くのエルフ達が帝国へやってきた。
「長旅、お疲れ様でした!」
「これから、よろしくお願いします!」
「えーと、どうしようか、まずは荷解きでしょ、それからみんなの森も行きたいし、戦線の人達にも紹介したいし……」
「ではまず、戦線を見に行きたいです」
「そのために我々は来ましたから」
「軽く、腕試しだな!」
「分かった。荷物置いたら、陛下がいる第二戦線に行こう!」
第二戦線のみんなはエルフの集団が到着すると、驚き、歓迎した。
「なんと……頼もしい……!」
「とても心強いです!」
「よろしくお願いします」
エルフの耽美な姿に思わず見惚れる者もいる。
「こちら、皇帝陛下です」
エリューがシェイドを紹介する。
「皇帝陛下、我々に新たな活躍の場を与えてくださり、ありがとうございます」
「遠き地より馳せ参じ、我が国のため力を貸してくれること、心より感謝する。これよりともに戦う仲間として、良き関係を築けることを願っている」
エルフ達はまっすぐシェイドを見つめ、深い礼を返した。
「早速、小手調べしてくれるんだって! みんなは後方支援、お願いしまーす!」
エルフ達は丘を降り、荒れ地に構える。
ちょうど向こうから魔物達がやってくる。
弓隊は弓を構え、ひと足先に攻撃を始める。
続いて槍隊が空に向かって槍を放つ。
斧隊は腕を回し、剣隊はレイピアを引く。
また、全員が武器の合間に魔術で追撃をかける。
「す、すごい……」
「こんな戦い方もあるんだ……」
「強い……」
あっという間に魔物を一掃すると、丘の上から拍手が湧き起こる。
「凄いっすーー!」
「めちゃくちゃ強いんですねー!」
「きゃーーー、も〜握手してください!」
予想外の反応にエルフ達は顔を見合わせる。
「……戦線で戦って、こんな感謝されたことないぜ」
「なんか照れるな」
「ここだと、私たち "エルフ" なんだね」
『今日は絶対みんなで食べたい』という
エリューの強い要望により、大広間にてエルフの歓迎パーティが開催された。
「ほら〜お待ちかねの帝国ワイン!」
「おぉ! お嬢ちゃんありがとう!」
「カンパーイ!」
「さっきの剣術なんですが、あれは――」
「あぁ、手首からこう回して……」
「帝国開拓局の者です」
「お住まいでご要望あればいつでも仰ってください」
「これは、なぁに?」
エルフの女性騎士が隊員に話しかける。
「こ、これはトゥーキヴのスープです! 良かったら、お取りしましょうかっ」
「武器から魔法を出せたら、いちいち手元を切り替えんで済むな」
「……そんなことが可能なんですか」
「剣の柄に小さな魔法陣を描いてみるか」
ゴルとノームとエルフの騎士が話している。
「待ってもう一回ね! シェロウ、イフニス、アランキア、メド、メルレーン、スーフレア、えーー……」
「……ウォーリエン!」
エリューは今日中に全員名前を覚えるチャレンジをしている。
「イフニスとメドが逆です」
「ああぁぁぁー惜しい!」
一同は初めての交流を心ゆくまで楽しんだ。




