第67話 魔術学校の設計図
ノーム達の大嵐がやってきてから、数日が経過した。
魔術研究院の大会議室の床で、エリューは設計図を広げる。
ドワーフとノームが周りを囲み、覗き込む。
その周りを帝国開拓局の人間が囲んでいる。
「これが、新しい魔術学校の設計図」
「帝国の開拓局とドワーフで練りました」
「ノームの皆さん、ご意見あればくださいな」
エリューとセリクはノーム達の様子を見ている。
「ふーむ」
「このマークは、なに?」
「転送装置です」
「ここから、ここに物を転送するような……」
ゴルの弟子の1人が設計図に指を滑らす。
「できたらいいな、で、装置はまだ未定です」
「転送となると、風か、重力か……」
「炎で吹き飛ばすとかな」
ゴルが口を挟む。
(ゴルさん、よっぽど炎やりたいんだな)
セリクはドワーフの国での事を思い出す。
「炎の力を利用するならバリアが必要だ」
「水蒸気爆発はどう?」
「上がったところを風魔法で方向をつけて……」
「ならばトンネル式にしたら――」
(まさか、採用の可能性があるのか……!?)
(意外すぎる)
「これはなんだ?」
「地上から最上階まで浮かぶ箱です」
「各階に共鳴する魔法陣を置いたらいい」
「そしたら、好きな位置で止まれるわね」
様々なアイデアが溢れ出してくる。
「――はじめに想像した学校とは全く違う、すごい学校ができそうで、びっくりだよ!」
散らばった資料を集め、トントンとまとめながらエリューが言う。
「みんな、ありがとう! 学校建設、楽しみです。みんなで観に行こうね」
エリューはセリクを連れて部屋を出た。
「――なんていうの? 叡智の結集?」
エリューは手を後ろに組んで廊下を歩く。
「まさに、叡智の結集でしたね」
セリクは設計図と資料を抱え、エリューの隣を歩く。
「ワクワクするね。学校」
「はい」
「ねぇ、セリク」
「なんですか?」
「学校ができたら、先生やってくれる?」
「……え?」
「セリクは全属性のイメージもちゃんとできてるし、説明も上手だから、いい先生になると思うの」
「……いや、やりませんよ」
「え、なんで?」
「僕は皇妃補佐官ですから」
「そうなんだけど……」
「今、この仕事に世界中で一番向いてるの、僕だと思うんです。エリュー様の扱いに慣れて、とんでもない事にも動じなくなってきたし」
「教師は他の人でもできますが、これは僕にしかできませんから」
エリューは口を開けてセリクを見る。
「……そっか、そっか!」
「うん、そうだね! セリクにしか出来ない!
やっぱ、引き続き面倒みてもらう!」
「もちろん魔術学校の手伝いもしますよ」
「さすがです! よろしくお願いします!」
エリューは跳ねるような足取りでセリクの隣を歩いた。




