第65話 ノーム 来訪
エリューとセリクは魔術研究院にいた。
大会議室へ研究員を集め、報告する。
「我々がノームの国を訪れたところ、この国の魔術理論を根底から覆す事実が判明しました」
「魔力の属性の有無」
「詠唱を捧げるべき相手の相違」
「魔法の発動元」
「大きく分けて、この3つが変わります」
大会議室がざわめく。
「詳しくは、エリュー様からお願いします」
「はい」
「私、全属性の魔法が扱えます。 でも、それは私が特別なのではなく、みんなもできることです」
「私と皆さんの違いは、イメージの違い」
エリューは得意の "大きい精霊は中間管理職説" を説明する。
「なので、身近にいる小さな精霊に、自分の魔力をエネルギー源として渡し、魔法を発動してもらう。このようにイメージして詠唱すれば――」
エリューはトンッとロウソクをセリクの前に置く。
……ポッ
セリクが詠唱し、ロウソクに火が灯る。
「……木属性と思われてたセリクでも、火を灯すことができます」
おぉぉぉ…………歓声とざわめきが起こる。
「信じられない……」
「魔術の革命が起こる……!」
「これは、大変だぞ!」
「まぁ、とりあえず皆さん、試しにやってみてください!」
エリューは机に大量のロウソクとゴブレットを置く。
「間も無く、ノームの国から勇士達が到着します。彼らと連携し、この国の魔術を強化していきましょう〜!」
そう言うと、エリューとセリクは会議室を後にした。
「……ノーム達が来る前に、心の準備しておいてもらわないとね」
「はい、衝撃が大き過ぎますもんね」
2人は廊下を歩きながら頷き合った。
——数日後。
帝国に、小柄な馬車が何台も到着した。
中からノーム達がたくさん跳ね出てくる。
「大きな都だな!」
「魔術研究院はどこだ」
「荷下ろしが先だろう」
「本棚が欲しい」
「はーいみなさーん、長旅お疲れ様でしたー! とりあえず、この建物2つに住んでもらいます。荷物はこちらに運んでくださいねー」
離れ二棟を指しながらエリューが説明する。
「準備ができたら、魔術研究院に案内しまーす!」
ノーム達が到着したと聞いた研究員達が、魔術研究院に集まりつつある。
そこへ、荷下ろしを終えたノーム達がやって来た。
「ここか! 広いな」
「魔法書が沢山あるぞ!」
「なんだこの魔法陣、綴りが違うぞ」
わらわらと院内にバラけ、魔法書を読み漁る。
「こりゃ違う、全然違う」
「これもダメだな」
「古い本は読みどころがあるぞ」
「まずは要らない本の選別からだな」
ノーム達は "要らない本" と判断した本を、どんどん部屋の隅に集め始める。
ノーム達を見に来ていた研究員らは、おろおろと様子を伺っている。
「落ち着くまで、しばらく時間かかりそうですね……」
セリクは腰に手を当てた。
「発展的な話は、片付けが済んでからだね」
エリューは机に頬杖をついて眺めた。




