第55話 帝国新戦団 審査
「はい、みなさん。帝国新戦団 採用審査について確認します!」
エリューは円卓の間で関係者に向けて説明する。
「応募は約300名、採用は140名予定です。審査は各分野に分かれて行います」
「即戦力と、伸びる戦力をみてください。実力が及ばない、伸びる見込みがない場合は、その人を守るため不採用に。決断に迷った場合は保留にして、後ほどみんなで相談しましょう」
魔術師会場にはセリク、騎士会場にはライネフ
拳士会場にはレグルス、弓術会場にはエリューが
審査に入ることになった。
「じゃ、各会場に移動しまーす!」
「うーーっし、骨のあるやつ探すか」
廊下を歩きながらレグルスが言う。
「……審査員、なんで僕なんですか」
セリクが不安そうに言う。
「セリクが一番見える気がしたんだよねー」
(……何が見えるって?)
「……忠誠心より、能力でいいんですね」
ライネフが不本意そうに言う。
「うん、後回し。後からニョキニョキしてくるよ」
「じゃ、みんなよろしくね! 後で色々聞かせて!」
4人はそれぞれの会場に分かれていった。
——レグルスは机に頬杖をつき、受験者を見ていた。
「幼い頃から拳法を習ってきました!」
「あ、やった事ないけど、応募してみました……」
「力仕事が得意です!」
(んーー、思った以上に微妙なもんだな……さて、どこに線引きするか……)
次の受験者がやってきた。
汚れた服を着た小さな男の子だ。
「トーマです! おねがいします!」
レグルスは目を見開いた――
——全員の審査が終わり、再び円卓の間へ集合した。
「みんなお疲れ様ー! どうだった?」
「いやぁ……思った以上に、悩みました」
「僕も……貴族は腐っても幼い頃から剣術訓練を受けてるんだと実感しました……」
「そだね、みんな訓練が必要だよね」
「はい……でも、少数ですがすぐ戦地に立てると思われる人もいたし、訓練すればいけると感じる人もいました」
「うんうん」
レグルスはみんなの感想を黙って聞いている。
「じゃあ次は説明会だね、またよろしくね!」
審査会は解散し、みんなが退出したが、レグルスだけ座ったままだった。
「レグルス……どした?」
エリューはレグルスの隣へ座る。
「……あのさ」
「うん」
「トーマっていう、受験者が来たんだよ」
「うん」
「7歳」
「わぁ、まだ小さいね」
「合格でもいいか?」
「…………うん。どうして?」
「トーマは孤児だ。今のあいつ、自分が死んでも困るやつがいないんだと思う」
「……うん」
「なんつーか、昔の俺と似てんだよ」
「俺も もともと孤児でさ、ケンカとか賭け事ばっかして育ったんだよ。で、ケンカがすげぇ強かったから、子爵家に拾われて拳法教え込まれて武術団入って……でも、特に目的もねぇし、戦地で死んだら死んだでいいかーと思って生きてた。ついこないだまで」
「……そうだったんだ」
「トーマってやつ、ちょっと似てる気がする。ちゃんと力をつけさせて、目的をつけてやりたい。ただ、まだ戦場は無理だから、しばらく訓練生みたいな扱いになっちまうけど……」
「全然いいよ。いいと思う。みんなで見守ってあげよ」
「……おう。気に掛かってたのはそれだけ。後は問題なく審査できたぜ」
エリューに書類を渡し、席を立つ。
「レグルス」
「……ん?」
「わたしはレグルスが、一番気を許せる友達だよ」
「……おぉ。あーりがと。じゃな」
レグルスは振り返らず、手を振って円卓の間を出て行った。




