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第50話 シーカント①

シーカントの大橋の先にデルガルドの鉱脈があり、その先にドワーフの国がある。


 バルクシア+セリクの遠征チームに、今回はレグルスが強制投入された。


「あーぁ! エルフのワイン、楽しみにしてたんだけどなー!」

 レグルスが大げさに残念がる。


「ごめんてー。囲われそうな空気をぶち壊して

"帰ります、あ、でもワインください"とか言えなかったんだよー」

「ははっ、厚かましいなそいつ」

「でしょー」


「いやーでもね、エルフのワイン、なんか薄かった」

「え……じゃーいいや」

「うん、いいよ」


エリューとレグルスは馬車の荷台の縁に腰掛け、揺られながら話す。


「今回の手土産は何にしたんだ?」

「ふふふ今回はねー」

「コレ! 熟成肉の干し肉!」


 エリューは荷台の積荷を叩いた。


「ほー、うまそう」

「宮廷料理長のアンゴルに相談して、3種類の風味をご用意しました」

「俺が食いたい」

「我々用も、もちろんございます」

 エリューは隣の積荷を叩く。


「てかてか、その前に……シーカントね」

「ん?」


 腕を組み、難しそうな顔をするエリュー。


「――有名なスイーツが沢山あるの。綿密に予定を組まないと、お腹に入り切らない」


 真剣な顔をレグルスに向ける。


「……バカだろ」

 レグルスが鼻から噴き出す。




 ——遠くにシーカントの街並みが見えてきた。

 街の奥に水平線が見え隠れする。


「そっか……海辺の王国なんだ! 地図見た時は、光景を想像しなかったなぁ!」

「綺麗ですねぇ〜!」



 シーカントは背の低い建物が多い。

 石や木でできた四角い建物が並び、太陽の光でキラキラしている。

 城は大きな柱が何本も立つ長四角の建造物で、周りの建物と雰囲気が合っている。


「ルト達が宿の手配、レグルスとセリクは買い出し」

「私たちは王宮にご挨拶してから、スイーツ巡り!」


「ほいじゃ、あとでね!」




「シーカントの王女様は――」

 リーサが呟く。


「ルミエル様ね。試験に受かった奴が訪問してきても、いい気しないかもだから……サラッといってこよ」


 エリューは門番に名乗り、中へ案内される。



「エリュー様、わざわざお越しくださりありがとうございます」

 貴賓室でルミエル王女が出迎える。


「お手紙をいただき、お越しをお待ちしておりました。ご婚約、改めておめでとうございます」


「お優しいお言葉、ありがとうございます。話題の大橋を拝見できること、嬉しく思います」


「あぁ、それが……大橋は今、閉鎖中なのです……」






 ——レグルスとセリクは市場を巡る。


「ほー、黒糖酒ねぇー」

 レグルスは片手で酒瓶を持ち上げ、ラベルを見ている。


「レグルスさん、お酒もう沢山ありますから……」

「だーいじょぶ! ルトもカーツもいけっから」

「そうじゃなくて食料の買い出し……」

「あ! 蜂蜜の酒だって、エリュー飲みそうだな」


「……僕、あっちの食料見てきますから!」

「まてまて、スネんな」

 サッと支払いを済ませ、セリクの頭をガシッと握る。


「で? 食料どこにあるって?」

「あっちの露店が保存食多そうで……」

「よし行こうぜ」


 露店には干し肉、干し野菜や果物などが並んでいる。


「干し肉はあるってエリューが言ってたから――」

「じゃあ、野菜と果物を買っておきましょうか」


「あとは?」

「はい、石鹸とタオルです」

「どこに売ってっかなー」


 二人はあちこち見回しながら歩く。


「あの辺、民芸品とか多そうですね」

「あー、シャレた石鹸 売ってそうだな」



「――この辺、すごい匂いだな」

「香水、香油石鹸……ここですね」

「どの香りがいいですかね」

「んーー」

 二人は並んだ石鹸を手に取り、香りを嗅ぐ。


「……これ、エリューっぽい」

「こっち、マルサ」

「これ、リーサ」

 レグルスがセリクに石鹸を渡す。


「…………あーー、なんとなく」

「だろ、これにしようぜ」

(レグルスさん、こういうとこ意外……)



 ——夕方、一行は宿に集まった。

 木で出来た2階建ての宿で、1階部分に食堂がある。


「買い出しありがとう!買えた?」

 食堂の椅子に腰掛けながらエリューが言う。


「はい、干し野菜と果物、石鹸とタオル補充しました」

「蜂蜜の酒も買っといたから、後で飲もうぜ」

「いいね!」


「とりあえず美味しそうなの、バーっと頼みますね」

 リーマルはメニューを眺めている。



「――シーカントの大橋、いま閉鎖中なんだって」

「えっ! なんで!?」

「危険な巨大魚が群がってて、通ると飛びかかってくるんだって」

「できたばっかなのに、災難だな」


「ルト、"ジュビナー"って巨大魚、知ってる?」

「おぉ。大人くらいある魚だな」

「それが群がってるみたい」

「あんなの飛びかかってきたら通れねえな」


「はいお待ちどう、炒め物だよ」

「ありがとうございまーす」


「別ルートで行きます?」

「旧ルートだと、かなり遠回りですね……」

 カーツとセリクは地図を広げる。


「とりあえず明日、橋がどんな様子なのか見に行ってみない?」

「そうだな」


「……ジュビナーって、食べられるのかなぁ」

「巨大魚も食べたいのかよ」

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