第42話 帝国新戦団 始動
エリューは図書館の机に座り、本をめくっている。
向かいに座っていたセリクが壁の時計を見る。
「エリュー様、間も無く時間です」
「ありがとう。ちょっと持つの、手伝ってくれる?」
エリューはセリクに本をニ冊渡す。
自分も二冊抱えて席を立つ。
「――ほんと、色々考えつきますね」
廊下を歩きながら、セリクが言う。
「そうかな、みんな思ってるけど、言わないだけなんじゃない?」
円卓の間へ着くと、アーカーや関係者が待っていた。
アーカーは、エリューを見るなり立ち上がり、傍へ来て本を引き受ける。
「お掛けください。本は、こちらに置きますね」
エリューの席のすぐ横に置く。
セリクはその上に本を重ねて置き、部屋の端へ立つ。
「さて、お集まりのみなさま。本日はエリュー様ご提案の【帝国新戦団】について話し合いたいと思います」
「まずエリュー様、概要をお願いします」
「はい。帝国は、騎士団、武術団、弓術団、魔術団、この4つの戦団で、戦線を守っています」
「しかし、隊員の稼働状況を見ると、人手が全く足りていないのが分かります。いずれ疲弊して、大きな被害が出ると思います。なので――」
「貴族以外の戦える人を募集し、新しい戦団を作ろうと思っています」
——アーカーが受け取る。
「ありがとうございます。では、その新しい人員は"誰"を想定していますか?」
「まず、一般国民。そして、他国の希望者。それから――」
「異種族です」
「――異種族!?」
「ドワーフ、セントール、エルフ、ノームの方々に声を掛けてみようと思います」
円卓の間にざわめきが広がる――
「みなさん、お静かにどうぞ……エリュー様、理由をお願いします」
「恐らく、即戦力になるからです。一般国民、他国民は、採用試験と訓練期間が必要です。異種族の方々は……文献を見る限り、得意分野がハッキリしています」
エリューは持ってきた本を見せながら話す。
「ドワーフの皆さんは斧を使います。鍛治が得意で、戦線の補強や武器の確保にも役立ちます」
「セントールの皆さんは力強い剣技や槍技。逞しくて、頼もしい存在です」
「エルフの皆さんは弓術と魔法。帝国に足りていない魔術師を補えます」
「ノームの皆さんは魔術研究の専門家です。魔術学校に良い助言をいただけるでしょう」
「し、しかし、はるか古から交流のない者たちです」
「人間に好意的とは、とても思えません……」
「ダメだったら、仕方ないですが……声を掛けてみるくらい、いいかな〜と。だって、戦線が破られれば彼らも困るわけですし……」
「エリュー様は、どうやって説得なさるおつもりですか?」
「……色々本を見てみたんですが、交流の仕方は載っていませんでした。でも、彼らの暮らしや食事などは、なんとなく掴めました。本の情報がどこまで合っているかも分かりませんが、とりあえず……」
「美味しい食べ物を持って、挨拶に行ってみようかと……!」




