第37話 魔術学校 設立計画 始動
エリューは"円卓の間"へ招かれた。
扉を開けると、アーカー、スウィフト、ドールキン、その他数名の者が円卓を囲んでいた。
エリューを見るなり一斉に席を立つ。
「あ、どうぞどうぞ、お構いなく」
エリューは肩の高さにあげた両手をパタパタ動かす。
エリューが座り、皆も座り直す。
「お越しいただき、ありがとうございます」
アーカーがエリューに笑いかける。
「ただいまからエリュー様ご提案の、魔術学校設立についてお話して参ります」
アーカーはエリューに会議の参加者を紹介した。
「エリューです。お話を聞いてくださり、ありがとうございます。よろしくお願いします」
「さて……まずはこの新しい魔術学校に"誰が通うのか"。エリュー様はどうお考えでしょうか」
「えーと、いま帝国の貴族のお子さまはみんな、家庭教師から学んでいるのが一般的ですか?」
「左様でございます」
「そしたら、希望する貴族のみなさんと――」
「はい」
「一般国民のみなさん」
「はい」
「あと、他国の希望する方を想定してます」
「他国?」
「他国にも同じように、才能を持て余してる人がいるのかなぁと」
「留学してもらうわけですね」
「はい。世界中に募集をかけて、世界中で才能が開花したら、素敵ですよね」
「ふむ、他国にも小さな防衛線を持っている国がありますから……」
「卒業後に自国で活躍も出来そうですな」
書記官がサラサラと記している。
「――では、"誰が教えるか"は、どうですか?」
「これは、試験で言ったように、まず引退されてる魔術師のみなさん。それに、魔術研究院のみなさん。更に教師も世界から募集したらどうかなと」
「どのくらいの人数が集まるかはまだ想定がつきませんな」
「属性の偏りもあるかも知れない」
「教え方の統一も必要で――」
「魔術研究院の資料から教科書を作成し――」
スウィフトとドールキンが盛り上がり始める。
「細かい話はとりあえず置いておいて……」
アーカーが仕切り直す。
「では次、"どこに作るか"です」
「はい、今のところ"丘のある海"の近くが良さそうだなと思ってます」
「海の近くに小さな森がありました。全ての属性が傍にあるので、学びやすいかなと。ただ、私があまり帝国の土地に詳しくないので、他に良いところがあればそれでも」
「ドノヴァン地政官、いかがですか」
アーカーに振られ、帝国開拓局のドノヴァンが答える。
「なるほど、魔術学校にはそういう環境が適しているのですね。私からもいくつか候補を用意しておりましたが、後ほどご相談させてください」
「では設備面ですが――」
「教師以外の職員の確保は――」
様々な事柄を話し合う。
「――では、本日はここまでといたしましょう」
「……見えてきましたな」
「あぁ、見えてきた」
スウィフトとドールキンは目を合わせて笑う。
「みなさん、ありがとうございました。次回会議もよろしくお願いします」
関係者が席を立ち、アーカーとエリューが残った。
「……ねぇ、スウィフトさんも魔術研究院の方なの?」
「はい、試験期間中は試験官を兼任しておりました」
「凄い楽しそうだったね」
「魔法に関わる施設ですからね」
「ふふっ」
「確かに、なんか、ワクワクするよね」
アーカーが頷く。
「素敵な学校になる予感がします」




