第31話 セリクと離れのご飯
※ 【ナナラン】七並べによく似たゲーム
※【パピルキー】ババ抜きに似たゲーム
「……あーダメだ!」
エリューは手持ちのカードを全部出した。
「負けたーー。セリク強いね!」
エリュー、セリク、カーツ、マルサは丸いテーブルを囲み、カードゲームをしている。
カーツがカードをきる。
「セリク勝ったから次のゲーム決めていいよ。でも"ナナラン※"はセリクに勝てる気がしないから、"パピルキー※"がいいな」
「それ、セリクじゃなくてエリューが決めてるじゃんか」
ルトが調理場からツッコむ。
「あ、なんでもいいです……」
セリクはこの状況にまだついていけていない。
(なんで俺、いまカードゲームやってるの?)
(てか王女と家臣って、こんなにフラット? バルクシアはみんなこんな感じなのか?)
「リーサ、次やりなよ」
マルサとリーサは交代でルトの手伝いをしている。
「じゃ、パピルキーにしよ!」
カーツがカードを配り始める。
「――セリク今持ってる?」
エリューがじっとセリクの目を見つめて言う。
「……黙秘します」
「そう、じゃコレー!」
セリクのカードをスパッと引く。
「よし」
「セリク、辛いものいけるか?」
ルトが調理場からセリクに質問する。
「あ、大丈夫です」
「どのくらい?」
「えと……そこそこです」
「りょーかーい」
「セリク、バルクシア料理はじめて?」
リーサが手元カードをセリクに向けながら声をかける。
「多分そうだと思います」
リーサのカードを1枚抜きながらセリクが答える。
「……セリク今持ってる?」
「それ、毎回聞くんですか」
「駆け引きだよ」
「ワンパターン過ぎませんか」
エリューはスパッと1枚ひく。
「よし」
「終わりました」
カーツはカードを場に出すと両手を見せた。
「えっ早っ!」
「カーツ、パピルキーうまいよね」
リーサがセリクにカードを向けながら話す。
「……」
セリクはパピルキーをひいた。
「……セリク今持ってる?」
「毎回聞かないでください」
「んーー?」
スパッ……
「ブッ!!」
「ちょっと姫さま分かりやす過ぎ……ブッ」
リーサが口を押さえ、顔を背けながらカードを向ける。
「えっ二人とも早過ぎません……」
スパッ
パピルキーが勢いよくセリクの元へ帰還した。
「……ブッ」
堪えきれず3人で大笑いする。
「あははははは猛スピード!」
「次ひくのムリあはははは」
「姫さまひいてひいて」
エリューがカードをひく。
「きゃあぁぁぁぁ!」
テーブルに突っ伏するエリュー。
ますます笑うリーサとセリク。
「おいおいお前ら、全然終わらねぇじゃねえか!
メシ食えねーぞ!」
ルトが笑いながら声をかける。
その後パピルキーはみんなの元を2周したあと、エリューの元へ腰を据え、終了した。
「――あぁ〜面白かった」
涙をぬぐいながらエリューが呟く。
「最初パピルキー持ってたの誰?」
カーツが食器を片手に、手をあげた。
「序盤逃げ切りだったのねー」
リーサがカードをまとめながら言った。
「あ、セリクそこの引き出しからアレ出して。すくうやつ」
(すくうやつ!?)
セリクが引き出しをあけるとレードルが目に入った。
「……これですか」
「そそ、ありがとー!」
――食卓に様々な料理が並ぶ。
「はーい、じゃ、いただきまーす!」
「セリク何がいいー?」
「あ、全然わかりません」
「あははだよねー」
「これが魚と野菜を合わせて混ぜたやつな。これがちょっと辛くて――」
ルトが料理を指さしながら説明する。
「――セリクは木属性が得意なんだってさ!」
「へぇぇー穏やかな感じ、合ってますよね」
「――まさかバルクシアの方々は、みんな全ての属性が使えるんですか?」
セリクはスープを飲みながら質問する。
「いやいや、姫さまだけです」
「でも、わたし他の国にはそういう人もいるのかとちょっと思ってたなぁ」
リーマルが答える。
「やっぱり、姫さまだけなんですね」
「私はみんな全属性使えると思ってたから、試験のときびっくりしたよ。みんな1つか2つしか受けてないんだもん」
エリューが小皿に取り分けながら話す。
「魔術研究院で物凄い話題になってましたよ」
「えーそうなの?恥ずかしい」
「属性の相克理論であーだこーだやってました」
「私はみんな本当は使えると思うけどね」
「いやいや……」
「――それじゃセリク、また明日ね!」
エリューが玄関まで送る。
——離れの中から、まだ笑い声が聞こえてくる。
(なんか……楽しかったな)
——セリクは星を見ながらゆっくり歩いた。




