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第26話 怪文書〜後編〜

西の展望台へ行くと、低い台座に木箱が置かれている。


 「開けてみようぜ」


 蓋を開けると、中にはマルモルが3個入っていた。

 蓋の内側に紙が貼ってある。


【パジュマロフはリンゴを射ろ】

【それ以外は馬小屋へ行け】


「えっパジュマロフだこれ」

「まじか」

「ここに弓矢が落ちています」

「どうする……」

「やるしかねぇよな」

「じゃ、せーので食べよ」


 それぞれマルモルを手に取る。


「いくよ、せーの!」

 一斉にかぶりつく。


「……ん! やばい!」

 エリューが齧ったマルモルにパジュマロが詰まっている。

「わたしパジュマロフだーー……」

「じゃ、エリューがりんごを射るんだな」

「りんごはどこにあるんでしょう」


 ライネフはマルモルを齧りながら、展望台の隅々を見渡す。


「……あ、りんごあった!……遠っ!!」


 展望台から見える木々の、少し離れたところにりんごの木がある。

 一つだけ実がなっている。

 

「あれ打ち落とすのは無理だろ」

「弓術団のやつ呼んでくるか」

「でも時間がもう、あまり無いです」

「んー、やってみる」


 エリューは弓を構えた。

 しばらく静止し、放つ。


 ピシュッ


 リンゴが落ちる。

 

「うぉ! すげーなエリュー」

「良かった当たった」

「じゃ、エリューはリンゴ取ってきて、俺らは馬小屋だな」

「あ、そっか。わかった行ってくる!」



  ――エリューは息を切らしてリンゴにたどり着いた。

 リンゴを拾い、調べる。

 

「……馬小屋へいけ?」

「えー何なの結局わたしも馬小屋行くの?」


 短くため息をつき、走り出す。




 馬小屋へ到着すると、

 レグルスとライネフが馬を準備していた。

 

「あれ、エリューも来たのか」

「馬小屋行けって書いてあったの」

「そうか、この紙があったぞ」

 

【第二戦線の"中"へ全速力で向かえ】


「第二戦線の"中"……?」

「帝国の防衛線は第三まであって、前線の内側に"中"と呼んでる予防線があります」

 

「結構遠いな……正午に間に合うか?」

「全速力なら確かに間に合いますが……エリュー様、いけますか?」


「うん、大丈夫。ちゃんと二人についていくね」


3人は馬に乗り、一斉に駆け出した。



 ――第二戦線の"中"には、沢山の隊員が集まっていた。


「まだか……そろそろだぞ」

「あ、陛下がおいでになったぞ!」


 前線の方角から、馬に乗った皇帝がやってくる。


「皇帝陛下、お帰りなさいませ!」

「ご無事のご帰還、何よりです!」

「あぁ」


 ――いつもより "中"の人員が多い。

 

「……何かあったか」

 

 

「陛下、ご帰城をここで少しお待ちいただけますか」

「エリュー様がこちらに向かっていらっしゃいます」


 皇帝の顔に驚きが浮かぶ。



 城の方角から、三騎の馬が全速力で駆けてくる。

 

「あ、いらっしゃいました!」

「すげぇ……あの速さで乗れるのか」


 騎士たちがざわめき始める。

 皇帝は真剣な顔で駆けてくる馬を見つめている。


「――あ、みんないるよ! あそこ!」

「おぉ! 間に合いそうだな!」

「見て! 陛下もいる!」


 近づくにつれ、馬の速度を落とす。

 

「どう、どう……頑張ったね」

「ふぅー……」



 

「せーの!」


 騎士達が掛け声に合わせ、一斉に両手をあげた。


 辺り一面に色とりどりの花びらが舞い散る——


 エリューと皇帝は顔を上げて舞い上がった花びらを見る。


「ご婚約、おめでとうございます!!」


 歓声と共に盛大な拍手が巻き起こる。


「…………!」


 二人ともポカンと口を開けている。



 ――つむじ風が花びらを舞いあげ、再び二人を祝福した。

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