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第25話 怪文書〜前編〜

レグルスとライネフが離れの扉を叩く。


「あれ、どしたの」

 エリューが扉を開けた。


「おはようございます、朝からすみません」

 ライネフがエリューに挨拶する。


「今朝、陛下の部屋の机にこの手紙があったらしい」

 レグルスがエリューに手紙を渡す。



【正午までに謎を解け。さもないと……】


 

「……なにこれ、不気味だね」

 

「陛下は午後にならないとお戻りにならないので、とりあえず我々で動くことにしたんです」

 

「エリュー、良かったら手伝ってくれないか」


 手紙から顔を上げ、2人を見る。

 

「うん、もちろん。でも何をしたらいいんだろ」

「手紙の裏に挿絵があるんだよ」


 手紙を裏返して見る。

 瓶詰めの菓子の絵が描いてある。


「……あ、これ"ルビーの雫"だ」

「なんですかそれ」

「お菓子だよ。城下町にも売ってる。とりあえず街に行こうか」



 ――3人は城下町へやってきた。

 

「すみません、ルビーの雫、ありますか」

「いらっしゃいませ、はい、ございます」

「1ついただけますか」

「お待ちください」


「――お待たせ致しました、こちらです」

「ありがとうございます」



「ルビーの雫、買えたけど……」

 歩きながらエリューは瓶を見つめる。

 

「……ん?1つ、白いのが入ってる!」


 瓶を開け、取り出す。

 筒状に丸められた細長い紙だ。

 エリューは紙を広げる。


 

「なんだこれ」

「……楽譜?ですね」

「……弾いて、みる?」


 3人は城へ戻る。

 

 大広間のエフォルテの前にやってきた。

 鍵盤の蓋を開けると、いくつかの鍵盤に文字が書いてある。

 

「なんだこれ」

「ち、き、ば……読めませんね」

 

「……あ、この楽譜の音符と同じ鍵盤に文字があるかも。ちょっと順番に音を鳴らすから、読んでみて」


 ポーン 「い」 ポーン 「ち」 ポーン「ば……」


 ――い・ち・ば・ん・す・き・な・きょ・く


「一番好きな曲……」

「陛下が好きな曲、知ってるか?」

「ううん」

「好きそうな曲は?」

「えぇーーまだ陛下のこと全然知らないからなぁー」

「じゃあ……陛下っぽい曲は?」


 陛下っぽい曲。

 

「――英雄?」

「お、それっぽい名前」

「弾いてみてください」

「わかった」


 エリューはエフォルテの前に座る。

 ライネフとレグルスは近くに椅子を置き、座る。


(……こないだの試験では弾かなかったけど)

(選曲も全力にしたら、多分これを弾いた)


 深呼吸して鍵盤に手を置く。

 

 スッと真剣な表情になり、最初の音を力強く鳴らす——





 ——演奏が終わると拍手が起こる。


 レグルス、ライネフの横に、いつの間にかアーカーがいた。

 

「いやぁー英雄、いいですね」

「え、びっくりした! いつの間に」


 まだゆっくり拍手を続けながらアーカーが言う。

 

「エフォルテの音色がしたので、まさかと思って急いで来ました」


「あの日は拍手を忘れてしまい、すみません。今日も素晴らしかった。これから沢山聴かせていただけると思うと、楽しみでなりません」


 

「……で、エフォルテ弾いたけど、どうしたもんかな」

「エフォルテを調べてみましょう」

「おや、あなた方は一体何してるんですか」

「これがルビーの雫に入ってて――」


 ライネフはエフォルテの中に紙を見つけた。

「あった!」

 

【日が落ちる展望台】

 

「この城の展望台って……」

「7箇所ありますね」

「一番西の展望台、行ってみるか」


「私は政務があるので参加できませんが、健闘を祈ります」

 

「ありがとうございます。あとで報告しますね!」



 アーカーと別れ、エリュー達は西の展望台へ向かった。

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