第二話 試験受付
エリューとリーサは試験受付のため、宮殿の廊下を歩いていた。
コーンコーンとエリューのパンプスの音が響く。
二人の前を歩く騎士が、扉の前で止まる。
「こちらです」
エリューが扉を叩くと内側から開かれ、中へ招かれる。
「おはようございます。お加減はいかが...」
エリューの顔を見て、そのドレス姿にギョッと目を見開いた。
昨日挨拶に来た、試験官のスウィフトだ。
「な、なんと……あなた様が王女殿下でしたか!? これは大変なご無礼を……!」
言うなり床に膝をつき、こうべを垂れる。
「あはは、ズボンを履いて作業してたら、誰も王女と思いませんよねー! 気にしないでください。」
床に膝がくっついているスウィフトをなんとか立たせ、机へ向かう。
「……試験は全員参加の項目と、希望者のみ受けていただく項目がございます。得意なことは人それぞれ違いますから……」
恐縮を引きずりながらエリューの前に紙を置く。
希望参加の項目がズラッと並んでいる。
「参加をご希望の項目に印をつけてください。試験までの練習に必要な場所や人員を手配いたします」
エリューは紙を上から下まで眺め、
「はい、えーと……コレ、コレ、コレと……」
大きな羽のペンがフワフワと動く。
スウィフトは顔を上げて笑顔で静止している。
フワフワ……フワフワ……
スウィフトの笑顔が少し曇る。
(なが……い……一体何を書いておられるのだ)
「はい! できました」
エリューは紙をスウィフトの前に置く。
スウィフトは紙に目線を落とさず、エリューを見たまま話す。
「ご丁寧に、ありがとうございます。しかとお預かりいたします」
「あのー、今日はこれで終わりですか?」
「皇帝陛下は早朝から戦線に立たれているので、謁見はございません。ですが、夕方ごろ私が練習場所など調整結果をお知らせに伺います。それまではお寛ぎください。」
(皇帝陛下、城にいないんだ。忙しい方なのね)
「分かりました、ありがとうございます。ではまた!」
スウィフトはエリューとリーサを扉まで送る。
パタンと扉が閉まるとすぐテーブルへ戻り、参加票を確認する。
「なん……と……全部ではないか……!」
スウィフトは参加票を持ったまま椅子にペタンと座り込んだ。




