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第103話 帝国魔術学校 開校〜前編〜

「ね、明日、お母様たち召喚してもいい?」


 エリューはリュシアの元を訪れている。


「明日は魔術学校の入学式なの。魔術を志す人たちにとって精霊は特別な存在だと思うから、姿が見られたら嬉しいんじゃないかなって」


「うん、私は平気よ。あの子達も、その時間に災害とか無ければ行けるはず。とりあえず呼んでみて」


「分かった。じゃあ、明日の12時に召喚するね」


「あの子達に伝えておくわ」





 ——その夜、宮殿の中央庭園で食事会が開かれた。

 ドワーフとノーム、帝国開拓局や建築作業員などが招かれている。

 庭園はドワーフが設置した灯りの魔道装置でキラキラ照らされている。


「魔術学校 開校おめでとう!」

「カンパーイ!」


 アーカーはグラスを片手に、エリューに話しかけた。


「いよいよ明日は入学式ですね。エリュー様が最終試験でご提案されたものが、こうして形になるのは感慨深いです」


「本当だね。ゴル達やノームのみんなのおかげで、はじめに考えてた頃は想像もつかない、凄い学校になったよね」


「魔術理論が覆ったこともあり、世界中から沢山の入学希望者が来ました。魔術師の人数が大幅に増えますね」


「うん、頼もしいね!」



 スウィフトとドールキンが来る。


「エリュー様、改めて……魔術学校を創設してくださり、ありがとうございます」


「あ、スウィフト校長先生!」


「ははは、まだその呼ばれ方は慣れませんな」


(スウィフトさん嬉しそう)

「優しい魔術師のお手本ですね」


「新しい魔術理論など、ノームの方々に教わりながらですから、私も生徒です」


 ドールキンがスウィフトの肩に手を置いて話す。

「この年になって新しい属性と出会う。こんな革命が起こるなんて、思いもよらなかったですなぁ!」


「お二人には、まだまだ活躍してもらわないと!」


「はっはっは! お任せください。帝国のため、我々もまだ出来ることがありそうですからな」


「後進のため、惜しみなくこの身を捧げましょう」





 エリューはドワーフ達の元へ行く。


「お疲れ様でした! ゴルが "魔術学校らしい見た目にしたんじゃ" って言ってた。どんな仕上がりになってるか楽しみだよー」


「はい、かなり派手な感じです!」

「どーん! としています」

「明日、楽しみにしていてください!」

「えぇー魔術学校なのに派手なの? 気になる〜楽しみ!」


「そうだ、これ召喚の魔法陣です」


エリューは長い筒に収められた魔法陣を受け取る。


「ありがとう。明日はみんな喜んでくれるといいな」



 レグルスが庭園を歩きながら人を探している。


「あれ、レグルスどしたの」

「アーカー様 見なかったか?」

「そこにいるよ。用事終わったら一緒に食べない?」

「お、いいのか? ラッキーちょっと行ってくる」



 レグルスはアーカーと話すと、すぐに戻ってきた。

 テーブルにはエリュー、シェイド、セリクがいる。


「お、早いね、おかえり」

「なんだ、今日の食事やけにシャレてんな」


 ——皿には肉や魚がバランス良く盛られ、色とりどりのジュレが添えられている。


「魔術学校 開校記念の特別メニューだって! 属性魔法をイメージしたんだって〜綺麗だよね!」


「アンゴル料理長、ヒゲのオッサンの割に繊細な料理作るよな」


 レグルスは魚に緑のジュレを乗せて食べる。


「最近は戦線メニューを考えるのが楽しいそうですよ」


 セリクがワインを注いでレグルスの横に置く。


「確かに。変わったメニューが多いと思ってたんだよな」




「明日の入学式でお母様達を召喚しようと思って」


 エリューは筒の魔法陣を見せる。


「私、式で挨拶することになったんだけど、よく知らない皇妃からなんだかんだ言われるより、昔から本で知ってる精霊の姿を一目見たほうが嬉しいんじゃないかと思って」


「そりゃー間違いねぇけど……精霊祭以外にも対応してくれるんだな。こないだ一触即発の空気出してたとは思えないな」


「分かり合えて良かったよね」

「軽いな」


「校内の広場で式をして、その両側にある回廊の屋根に魔法陣を貼り付けて召喚するの」


 エリューは手で広場や回廊を示し、説明する。


「その準備でゴルは今夜現地に泊まってる、明日の朝シェイドは私と一緒に学校へ行くよ」


「陛下まさかの魔法陣貼り付け要員か。たまには文句言っていいんすよ」


「屋根によじ登られるより、自分で登る方がいいだろう」


「……ごもっとも」





 ——翌朝。

  エリューとシェイド、セリクは馬に乗り、学校に向けて出発した。


「丘のある海の方向だから、こないだ行ったばかりだね」

「そうだな」


「地図通りに進めば大丈夫ですか?」


 セリクは地図を広げてシェイドを見る。


「あぁ、まずは東に向かって真っ直ぐ進む」


「はい」



 三人は東の方角へ馬を進めた。

 初夏の日差しが照りつけるが、涼しい風が抜けていく。


 行く手に深い森が現れる。

 三人は南に進路を切り替える。

 高台を進むと、蔦が奥の方までびっしりと生い茂り道を塞いでいる。


「あれ……こないだはここ、通れたよね」

「蔦が塞いでいるな……」

「回り道しますか」


 三人は高台を降りて更に南下し、東へ進んでから北上する。


「……あ、あそこに見えるの、学校じゃない?」


 木々の向こうにキラキラ輝く建物が見える。

 馬の速度を速め、建物へ向かう。


 5つの建物からなる、大きな学校だ。

 真ん中の建物は上の方が塔のようにそびえ立ち、てっぺんには金色の巨大な輪と、巨大な魔法陣がゆっくりゆっくり回っている。


「……なにこれー凄い!」

「本当だ、魔術学校なのに、ド派手ですね……」


 門をくぐり、建物の中へ進む。


「来たか、エリューちゃん」

「あ、ゴルお疲れ様! 大きな魔法陣だね! 魔道装置なの?」


 廊下を進みながら話す。


「そうじゃ。太陽の光で発動して、太陽の方を向くように設計された魔道装置じゃ。入学した時は謎の魔法陣に見えるが、卒業する頃には解読できるようなるじゃろうな!」


「あはは、解読してみたら、ただのお日様好き魔法陣なのね。そういうの、好き!」


 控え室に着く。


 エリューは荷物を置くと、ある事に気が付いた——

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