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【第一部完結】処刑された最強呪術師、魔法世界で異端となる 〜鬼使いと閃光の剣士〜(第二部連載中)   作者: 鬼喜怪快
5章 百花繚乱戦編(最終章)

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最終話 日常へ 【完結】


 


 「ロキ坊ーッ!」


 

 フランが駆け寄る。

 ロッキは慌てて走ってくるフランに笑顔を向けた。


  

 「怪我は!?」


 「大丈夫です」


 「本当に?」


 「えぇ、少し疲れたので……座ります」



 ロッキはその場に座り、一帯を見渡した。


 広がる一面の荒野――


 少し先に前鬼と後鬼が立ってロッキを見ていた。



 「カルタさんが黒幕だったの?」


 「黒幕……その言い方が正しいのかはわかりませんが、

 彼女は少なくとも首謀者でした……。

 この世界の王になって、新たに治めようとしていたようですね」


 「どうしてそんなこと……?」


 「彼女なりの正義のため……」


 「?」


 「王になって、弱き民を守ろうとした……

 ただ、その方法が多くの人を苦しめた――

 だから僕たちは戦わざるを得なかった」


 「……戦う以外――

 方法はなかったのかな?」


 「……あった……かもしれないし、

 なかったのかもしれない。

 彼女は何かの犠牲の上、守るべきものを守ろうとした。

 僕たちはいつも通り……

 手の届く人たちをなんとか守ろうとした」


 「誰かを思う気持ちは同じなんだし……

 仲良くできれば良かったのに……」


 「……本当に、思想は同じなのに方法の違いで揉める。

 我々はなんとも愚かな生き物です」


 

 フランが座るロッキを抱きしめた。

 あの日のように震えてはいない、力強い抱擁だ。



 「君は……ずっとロキ坊のままでいてくれる?」


 

 フランの問い。


 あの日、ロッキがロッキでなくなった日。

 同時に役小角が役小角でなくなった日。


 ずっとあやふやにしていた思い。


 抱きしめてくるフランの腕に、ロッキは片手を置いた。



 「もちろん。ずっと僕は僕のままですよ」



 その言葉を聞いてフランは最高の笑顔を見せた。



 ――――――



 この事件は一夜にして世界を駆け巡る。


 大都市シーアでのテロ事件。

 ギルド協会本部を襲った新勢力。

 本部所属のSランク冒険者の謀反。

 本部長ポンズの死。



 カルタの己の国を作る――

 その夢は途絶えたが、爪痕は確実に世界に残った。



 世界はギルド協会――

 冒険者のあり方を再認識せざるを得なくなった。


 当面は国が冒険者ギルドの管理に乗り出す。

 おそらく、このまま国の完全管理下に入り、

 国家所属の冒険者……なんて肩書きが誕生するのだろう。

 


 ロッキとフランは関係のない話だと、興味を示さなかった。

 彼らにとって、目の前の人を助けていくことに変わりはないのだから。



 ――――――



 シーアの復興。

 ギルド協会の修繕工事が始まる。



 人手が足りず、地方からの冒険者たちも依頼として参加していた。

 そこにはもちろん、ロッキ、フラン、ミラ、バーリの姿があった。


 瓦礫の運搬。

 修繕作業。

 作業する者への食事の準備。


 仕事は多岐にわたる。



 「力仕事は……性に合わないんだよね」


 「情けねぇなロッキ。これぞ男の仕事だろうが!

 見ろ、レンガ10個持ち!」



 バーリが勢いよく廃棄置き場に走っていく。

 彼は相変わらずだ。



 「随分と苦手そうじゃないか」



 その声にロッキが振り返る――

 そこにはベルゼとフィートが木材を運んでいた。


 その後ろでは、息を切らしながらサラがレンガを運んでいた。


 

 「もう大丈夫なの?」


 「当たり前だ。俺を誰だと思っている、最強の剣士ベルゼだぞ」



 ベルゼが笑う。

 フィートも笑った。



 「ふざけんなし! 首折れて死にかけてたのを助けたのはわたしだ! その恩を忘れてレンガ運びに使いやがって!」


 「お前は死刑でもおかしくないところを、アイナの温情で生かしてもらえているんだ。これくらい手伝え、馬鹿者」


 「チキショウ! あんたはエース以上に嫌な男だよ!」


 「ふん!」



 3人は喧嘩をしながら仕事へと戻っていった。

 エース戦以来、アイナ、ベルゼ、フィート、サラの4人は、

 なんだかんだで行動をともにすることが増えているようだった。



 ――カラン!カラン!カラン!



 ベルが鳴る。

 昼食の合図だ。



 「皆さーん! ランチの時間ですよーっ!」



 ミラの大きな声が聞こえる。

 作業する者のために食事を作り、配膳する――

 フランとアイナ、ミラはそちらの仕事に回っていた。

 

 男性陣からの異常な人気に恐怖を覚える3人であったが、

 閃光のフラン、協会本部リーダー・アイナ、Aランク冒険者・ミラ。

 その3人に容易に近づける男は、そうはいなかった。



 「しっかり食べないとダメだよ、ロキ坊」


 「……うん」


 「明後日にはパジャン村に帰るんだから頑張って!」



 復旧の手伝いは、明日で一旦終わり。

 ロッキたちにはパジャン村での、依頼が待っている。



 「しばらくあなた達と会えなくなると思うとさみしいものですね」


 アイナがポツリと呟く。

 

 「そんなに遠い訳でもないし……。

 会おうと思えばすぐ会えますよ。

 ベルゼなんて、僕らが帰った次の日くらいに遊びにきてるかも……」


 「確かに――」



 こうして、みんなが日常を取り戻していく。



 ――――――



 パジャン村。


 カルタ戦後も、シーアと協会本部の立て直しに

 行ったり来たりしていたため、

 この村での滞在時間は極めて少なかった。

 

 留守にできる要因としては、あれから大きな依頼もなく、

 村のギルドメンバーでも対応できるCランクやDランクの依頼が続いていたことがある。


 村に襲撃があった時の立て直しも落ち着いた。

 パジャン村は通常運転だ。


 

 閃光の剣士と鬼使いの呪術師――



 これは、ただ目の前の人を助けたい――

 そんな思いを、それぞれのやり方で抱えていた2人が――

 偶然にも同じ場所に立ち、同じ景色を見ることになった物語。


 これからもフランは村のために剣を握り、

 ロッキは呪術で彼女を支えながら、同じ道を歩いていく。



 剣も呪いも……使いよう。


 

 「フランさーん! ロッキくーん! マスターがお呼びでーす」


 受付嬢の声が響く。

 2人は言われるがままにマスタールームに向かい、カフザの前に立つ。



 「マスター、依頼?」


 「あぁ。Aランクの依頼だ」


 「内容は?」


 「これは、内容的にもお前たち向きだと思ってな……」



 村人が一夜にして行方不明。

 4人組の冒険者が調査に向かうも1名のみ帰還。

 その冒険者は、何度も同じことを言っているようだ。


 「みんな、家に調査に入ったきり帰って来ない。

 きっと家に飲み込まれてしまったんだ。

 叫び声を最後に、みんな消えてしまった。

 ――奴は……奴らは、家の中にいる」



 それを聞き終えたロッキが呟く。


 「確かに、僕向きかも……」


 「マヨヒガ、家鳴、付喪神……辺りでしょうか……そんなイタズラするのは」


 ロッキの影から前鬼と後鬼が現れる。


 「新生命体を造るのに、色々な妖を召喚しては野放しにしたのかもしれませんね……。

 今後は、少し風変わりな依頼が増えるかも……」


 「ふん……なんであろうが、殴り潰すだけだ」



 フランとロッキは目を合わし頷く。


 

 「ミラさんとバーリに声をかけて、明日早朝に出発します」


 「任せたぞ、フラン」



 ――フランとロッキ



 彼らの日常は、これからも続いていく。






 第1部完

 

 

 



 


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


物語は一区切りを迎えましたが――

この物語には、まだ語られていない“始まり”があります。


第2部は、

前鬼と後鬼が、どのようにして小角と出会ったのか――

その“原点”から始まります。


そして――

ある村で起こる怪奇事件をきっかけに、

ロッキやフランが再び動き出します。


そちらもお読みいただければ幸いです。


少しでも「続きが気になる」と思っていただけたなら、

ぜひブックマークをして追っていただけると嬉しいです。


また、感想もいただければ、とても励みになります。


――彼らの物語が、新しく始まります。

これからもよろしくお願いいたします。


【第二部】処刑された最強呪術師、魔法世界で異端となる 〜鬼使いと閃光の剣士〜

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