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【第一部完結】処刑された最強呪術師、魔法世界で異端となる 〜鬼使いと閃光の剣士〜(第二部連載中)   作者: 鬼喜怪快
5章 百花繚乱戦編(最終章)

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90話 神と鬼


 


 一言主神の力により、カルタの降霊術は封印された。


 100体を超えていた兵士たちは、

 音もなく崩れ、土へと還っていく。



「圧巻だね……わたしの兵隊たちが瞬殺だ……」


「降霊術も、藁人形の式神も……

 もう、使えませんよ」


「参ったねぇ」



 そう言いながらも、カルタは余裕の笑みを浮かべていた。


 イルジョン島の天馬と同じように、

 小角は周辺のすべての術を封じた――。

 

 呪術も、念術も、魔術も。

 彼女が積み上げてきたすべてを封じたのだ。

 


 ――なぜ、笑える?



 「わたしね、酔狂で国を作るだなんて言ってるわけじゃないのだよ……」



 そういうと彼女は2つの巻物を取り出した。



 「術で解印するものだけど、封じられたからねぇ」


 

 カルタは巻物を開くと同時に、小刀で裂いた――


 ――ブワッ!


 強い風が巻物から吹き荒れ、2体の異形が姿を現した。


 

 ――炎を纏った巨大な妖鳥。


 ――亀の甲羅と蛇の躯体を併せ持つ異形の妖。



 「彼らが君たちの相手をするよ」



 一目でわかる異質な生物。

 小角は身構える。


 

 「新生命ではないね……」


 「えぇ、そんな可愛らしい者ではありません。

 ……彼らは神獣、幻獣と呼ばれる類のものです」


 「……ってことは」


 「一言主神の力を持ってしても、すべて無効化されます」


 「……厄介だね」



 前鬼と後鬼が一歩前に出た。



 「そうでもない……

 力でねじ伏せればいいだけだ……」



 神獣と鬼の戦いが始まる。



 ――――――



 ギルド協会本部へ向かうフラン。


 街の至る所で新生命体と冒険者が戦っている。

 それを見かけては参戦したため、移動に時間を取られていた。



 「いったいあっちでは何が起こっているの……嫌な予感しかしない……」



 彼女は暗雲立ちこめる空を見上げた。


 

 ――――――



 神獣と鬼が向かい合う。



 「君の子飼いか、わたしの子飼い……

 どちらが強いのだろうね?」


 「……」



 沈黙の時間が流れる。

 聞こえるのは風の音だけ――。


 先に動いたのは前鬼だった。

 高速移動からの正拳突き――


 蛇妖は甲羅で防ぐ。

 


 ――ゴツッ!


 

 甲羅はヒビ割れすらしなかった。


 前鬼の攻撃が通らない相手など、

 小角は、これまで見たことがなかった。


 前鬼は連打を繰り出す。

 あらゆる角度から、拳と蹴りを乱れ打った。


 しかし――

 蛇妖はびくともせず、尾を一振りした。


 バシッ!


 前鬼の身体は吹き飛ばされた。



 ――――――



 一方、後鬼と妖鳥。


 炎を纏いし妖鳥に、後鬼の妖術が通じなかった。


 『竜流のりゅうりゅうのほむら

 『空圧のくうあつのじょう

 『業火のごうかのばく


 遠距離攻撃術がことごとく効かない。


 いや――

 

 炎の妖鳥に対し、火炎術は避けるべきなのだが――

 遠くの空に舞う敵に、決定打が無かった。

 

 何より、ダメージを与えても瞬く間に再生するため、手を焼いた。

 


 「厄介ですね……火竜を召喚しても相手は火の鳥……効果が弱い」


 ――『風乱のふうらんのかま


 かまいたち現象を起こし、風の刃が妖鳥へ襲いかかる。


 すべて直撃――


 妖鳥は跡形もなく散っていくように見えるが――

 瞬きの時間で、再生と回復が始まる。


 ダメージどころか、体力すら削られていない。

 


 反対に後鬼は、術の発動と妖鳥の火炎術のダメージにより大きく体力を削られていた。



 「!」


 

 気がつくと、後鬼の足元を炎が円を描いて回転している。



 「またこれですか……」



 刹那――

 火柱がうねるように立ち上がり、後鬼を飲み込んで噴き上がる。


 宙に舞った後鬼に、妖鳥は火炎玉を吐いた。


 ――ボンッ!


 大きな爆発が起こり、後鬼が落下してくる姿が見えた。



 「前鬼! 後鬼!」



 小角が取り乱した様子で名を叫んだ。



 「子飼いに……大きな差があったね」



 カルタは落ち着いた様子でロッキへ声をかけた。



 「人を守りたいと思う者……と言ったね。

 どうだろう、わたしをこれから守ってもらえないだろうか?」


 「……」


 「この世界は大きい……武力集団として冒険者ギルドが力を持っていたのは今日まで。

 今日からは代わりにわたしがその力を持つことになる」


 「……そんなにうまいこと行きますかね?」


 「国王や名だたる富豪の犬として自由に扱われる武力集団ではない……

 金や権威の下では動かない、独自の意思を持って動く集団だ。

 いわば、新国家だよ」



 前鬼と後鬼が懸命に戦っていた。


 しかし――

 分が悪いようだ。



 「君の力があれば……新しい国を纏めるのも早く済みそうなんだ」



 2人の鬼が吹き飛ばされて地面に叩きつけられた。

 ――起き上がってこない。



 「君を……殺したくないんだよ」



 前鬼と後鬼の妖力が顕現の限界値を下回っている。

 このままでは消滅の恐れがある。


 小角は呪力による顕現の援助を止めた。

 これで彼らは強制的に小角の影に戻るしかない。


 ――はずだった。



 「?」


 

 ――彼らが戻らない。



 慌てて前鬼と後鬼の方へ目をやる。

 


 「……来てはなりませんよ……小角様」


 「!」


 「あなたは、カルタを見ておかねばなりません……」



 立ち上がろうとする後鬼が、小角へ話しかけた。



 「後鬼、前鬼、戻れ!」


 「……」


 反応がない。



 「僕との呪力での繋がりを切ったね?

 ……どうして?」



 「……ふふっ。小角様、いえ、ロキ坊へ迷惑をかけないためです」


 「?」


 「このまま繋がっていれば……

 あなたの呪力を、吸い尽くしてしまいます……」


 「……何を言っているんだよ?」



 小角の顔色が変わった。

 後鬼の言っている意味を理解したのだ。


 カルタはそのやりとりを不思議そうに眺めていた。



 「前鬼……構いませんね」


 「……当然だ」



 小角は声を荒げて2人を止めようとした。



 「前鬼、だめだよ! 僕は許可しない!」



 前鬼は空を眺めながら答えた。



 「以前、言ったはずだ……

 鬼に負けるなどと言う概念は無い。

 たとえ殺されても勝つ、それが鬼だと……」


 

 「……わかってるよね? 僕との契約を反故すれば君たちがどうなるのか?」



 前鬼と後鬼が傷だらけの身体を起こした。



 「もちろん、承知しております……

 それでも……勝利への執着が勝ります……」


 「……」


 「この者達は神獣……神の部類……

 我々もそれ相応の力を出さねばなりません……」



 「……死ぬかもしれないんだよ」



 後鬼は微笑んで小角を見つめた。



 「どれくらいぶりでしょうか……鬼に戻るのは……」


 「!」



 カルタが前鬼と後鬼から感じる気の変化に気付いた。

 慌てて妖鳥と蛇妖に命令を下す。


 「お前達! 今すぐその2体を始末しなさい!」


 妖鳥と蛇妖は、前鬼と後鬼のもとへ襲いかかる。

 


 「フランがいなくて良かった……

 この姿……見られたくありませんから……」



 全身が波打つように動き、異音を響かせた。

 妖鳥と蛇妖は動きを止める。

 

 カルタは大気の揺れに違和感を覚えた。

 小角は、ただその景色を見つめることしかできなかった。



 ほんの数秒間のことだった。


 今まで前鬼と後鬼だったモノが――

 まったく別の生き物の姿となって、そこに立っていた。


 


 

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


物語はここから一気に駆け抜けます。


鬼の本来の姿。

神獣との戦いの結末。

そして――最終決戦。


次話から、全てが動きます。


「続きが気になる」と思っていただけた方は、

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