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【第一部完結】処刑された最強呪術師、魔法世界で異端となる 〜鬼使いと閃光の剣士〜(第二部連載中)   作者: 鬼喜怪快
5章 百花繚乱戦編(最終章)

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79話 裏切り者の本性と能力




 流転の式により、

 役小角はふたつの新生命体を本来の姿へと戻していく。


 人、妖、モンスター――3種への分離が始まった。



 媒介として使われていた2つの人間の身体から、

 妖とモンスターが1体ずつ姿を現す。


 一方からは女の上半身と蜘蛛の下半身を持つモンスター。

 そして、もう一方からは巨大な獣のモンスターが姿を見せた。


 それを見た冒険者たちが声を上げる。


 

 「おいおい……あれ、魔蜘蛛アラクネじゃないのか!?

  それに、あっちは――」


 「巨獣犬ガルムだ! 街中で出るなんて聞いたことがない!」



 どちらも、遭遇すれば即座にSランク案件となるモンスターだった。


 続いて現れたのは2体の妖。

 一方からは巨大な蜘蛛の妖と、

 もう一方からは、山伏の装束を纏った人型の狼が姿を見せた。



 「土蜘蛛に、白狼天狗か……」


 

 小角は感心したように呟いた。


 「呪術と黒魔術の底は、やはり深いな。

 こんな連中を1つにまとめ上げるなんて」


 その言葉をよそに、前鬼と後鬼が歩み出る。

 前鬼は蜘蛛の系譜へ。

 後鬼は獣の系譜へ。



 鬼と新生命体の戦いが、始まろうとしていた。



 ――――――

 


 ギルド協会本部。


 アイナの魔力に包まれた斧と、ペアルトの魔槍が激しく打ち合う音が響いていた。



 「閃光? 何それ?」


 「知らないことが、あなたの敗因です。ペアルト」


 

 斧と槍がぶつかるたび、空気が震える。


 戦いを見ながら、カルタはペアルトが呪術使いであることに気づいていた。

 だが、念話で伝える余裕はない。


 彼女自身、回復を最優先せねばならないほどの重傷を負っていた。


 本来なら即死。

 生きていたとしても、半身不随になっておかしくない傷だ。


 そして自力では印を切ることもできなかった。

 それでも彼女が生きているのは、光の手による回復があるからだった。


 ペアルトの魔槍は、狙った獲物を確実に貫く。

 カルタの急所は、正確に突かれていた。


 「残念です、ペアルト。

  あなたは、ずっと可愛い後輩だと思っていましたから」


 「それはどうも。

  俺は、単純で扱いやすい短気なお嬢さんだと思ってましたよ」


 「……良い気になるな!」


 「ほら、すぐ怒る」


 協会の序列では、ペアルトはSランク冒険者の中で3番手。

 カルタ、ジーラブールに次ぐ位置づけだった。


 ジーラブールの強さに黒魔術の噂があったように、

 ペアルトにも、確証のない噂があった。



 ――魔眼を持っている。


 

 誰も実際に見たことはない。

 なぜなら、それを口にした冒険者は、

 いつしか姿を消していたからだ。


 今、その噂を思い出し、カルタは不安を覚える。



 「!」



 カルタは何かに気が付いた。


  

 激突の衝撃で、ペアルトとアイナの身体が吹き飛んだ。


 体勢を崩したアイナは、斧をブーメランのように投げ放つ。

 激しく回転する刃を、ペアルトは間一髪で躱した。



 「あなたの目的は何です、ペアルト!」


 「知ってるでしょ?

 協会を潰して、俺たちが牛耳る。それだけですよ」


 魔力のオーラで繋がれた斧。

 アイナが腕を引くと、斧は軌道を変え、背後からペアルトへ迫った。


 それを見たカルタが叫ぶ。



 「アイナ! それを当ててはダメ!」


 

 声は届いた。

 だが、間に合わなかった。


 魔力を纏った斧が、ペアルトの背中を深く切り裂く。

 大きく目を見開き、槍を取り落とすペアルト。


 カルタは顔を伏せた。


 そのあと、視界に映ったのは――

 口から血を吐き、背中から血を噴き出すアイナだった。

 

 彼女は、そのまま地面に倒れ込んだ。



 「……くっ、なんてことを」


 

 血だまりが広がる。

 アイナの身体は小刻みに痙攣を起こした。



 そして――


 斧が刺さっているペアルトの身体は、

 ボロボロと砂山のように崩れ落ちていった。

 そこに残ったのは、


 ――人型に切り抜かれた1枚の紙だった。



 次の瞬間、土の中からペアルトが姿を現した。



 『身代わりの式』


 

 本来は、降りかかる厄災を紙へと流す呪術。

 その転用により、紙に受けた斬撃がアイナへと返されたのだ。



 「はぁ……服が汚れた。

 土の中になんて潜るもんじゃないね」


 

 ペアルトは槍を拾い上げ、虫の息のアイナを見下ろす。


 「ね?

 単純で扱いやすい短気なお嬢さんだったでしょ」


 「……」


 「魔力量が多くて、攻撃も回復も感知もできる。

 それでも、呪術の前じゃこの有様だ……」



 カルタは光の手をアイナのもとへ飛ばした。


 

 「わたしとしたことが……

 まったく、情けないよ……」


 「器用だな……その手。これが念術ってやつか?」



 ――――――

 


 東地区の検問所。


 右腕を切り落とされたジーラブールと、

 刀を構えるフランが向かい合っていた。



 「見事な早業だ。

 気づいた時には、腕がなかった」


 「ごめんなさい。

 隙だらけだったので」


 「構わない。すぐに治る」


 そう言うと、ジーラブールの腕は自然に再生を始めた。


  「フラン……聞き覚えがある。

  Aランクの天才剣士、閃光のフラン」


 「知っていただけて光栄です」


 「これがAランク?

 Sランクでもやっていける強さだ」


 ジーラブールは復元した腕を確かめる。

 フランは油断なく、抜刀の構えを取った。


 「驚いただろ?

 俺はもう人間じゃない。気にせず殺してくれ」


 意味は理解できなかった。

 だが、フランは迷わず答える。


 「言われなくても」


 冒険者界の頂点に立つ剣士同士の戦いが、始まった。





 

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