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【第一部完結】処刑された最強呪術師、魔法世界で異端となる 〜鬼使いと閃光の剣士〜(第二部連載中)   作者: 鬼喜怪快
5章 百花繚乱戦編(最終章)

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77話 英雄は裏切る

ここから一気に展開が動きます。

物語の大きな転換点です。





 役小角、フラン、ミラは、

 すでに1週間シーアに滞在していた。


 ポンズの指示により、代わりに3人の本部冒険者が

 パジャン村へ派遣されている。


 1週間、何事も起きなければ、

 さすがに緊張も緩み始める。


 それはポンズもカルタも承知していた。

 だからこそ警備は総動員体制、交代制を徹底していた。


 感知術を扱える術師は2時間交代。

 中でも際立っていたのは、やはりカルタだった。

 彼女は大都市シーア全域を覆う感知術を展開し、

 外部からの侵入を完全に管理していた。


 そして、もうひとつ重要な役割を果たしていたのが鬼門遁甲盤だ。

 小角がいなくとも術を掛けておけば自動で動き続け、

 他の者でも監視していれば凶兆を確認できた。



 そして、

 それは――先日の襲撃から8日目のことだった。


 本部のBランク冒険者が遁甲盤を管理していると、盤がいびつに動き始めた。

 最初は穏やかな揺れだったが、

 突如、痙攣するような激しい動きに変わり、凶兆を示し始める。



 「こ、これって……!

 ロッキが言っていた“良くない兆し”のことだよな!」


 

 Bランク冒険者は慌てて本部中央の塔へ駆け上がり、警鐘を鳴らした。

 警鐘を聞いた各地点の冒険者たちも次々と警鐘を鳴らし、

 危険の接近が町全体に伝えられていく。


 冒険者たちは即座に動き出し、

 外出していた人々を避難させて家に戻るよう声を張り上げた。


 その頃、シーア全域に感知結界を張っていたカルタは、

 西から2つの気配を察知していた。


 彼女は念話で小角に呼びかける。



 『ロッキ、聞こえるかい?

 西から2つの気配を感じる』


 『すぐに向かいます』


 『わたしも向かう』


 『いえ。カルタさんは本部から動かないでください。

 何が起こるかわかりません』



 そう言って小角は早馬に乗り、西へと急いだ。


 同時刻――

 鬼門遁甲盤を監視していた冒険者は、

 続けて“凶”の文字が東へ揺れ動くのを目にした。



 「嘘だろ……。

 これって、どういうことなんだよ……」



 カルタもまた、東からの侵入者を感知していた。

 その気配には、覚えがある。



 ――ジーラブール。



 カルタは立ち上がった。

 東からの侵入感知報告を受け、アイナがすでに出動していた。


 だが、相手はジーラブール――悪魔を取り込んだ人間。

 アイナでも、手に負える相手ではない。


 この敵に対処できるのは、カルタしかいないのだ。


 千里眼で様子を伺ってたカルタは、出撃報告のため、

 本部長室へ向かおうとした。


 その時だった。


 

 ガッシャーン――

 ドーン!


 

 協会内に何かが落下し、衝撃でガラスが砕け散った。

 着地の振動で建物の一部が崩れるほどだった。


 騒ぎに気づいた冒険者たちが、落下地点へ駆け寄る。



 「なに……?」


 

 カルタは窓から、砂埃が立ち込める場所を見下ろした。


 ――人影。


 砂埃が風に流され、その姿が現れる。


 それは静かに立っていた。



 「あの子は……」


 

 そこに立っていたのは、黄金に輝く三叉の槍を持つ青年。

 甘い顔立ちの――どこか不気味さを感じさせる青年だった。


 冒険者たちが歓声を上げる。


 

 「ペアルトさん!」

 「ペアルトさんだ!」

 「来てくれたんですか!」


 

 Sランク冒険者・ペアルト。

 度重なる要請の末、ようやく来援したSランクの1人だった。


 カルタも急ぎ、彼のもとへ向かう。



 「ペアルトくん!

 来てくれたのかい……」


 「……カルタさん」


 「Sランクで応じてくれたのは、君だけだよ」


 「ははっ。

 Sランクの皆さん、冷たいですからね」



 ペアルトは魔槍の使い手。

 その一突きは、針の穴すら外さないと言われている。


 

 「ここより東にジーラブールが現れた。

 今の彼は味方ではない。黒魔術を使う犯罪者だ」


 「……その話、本当だったんですね」

 

 「ああ。

 わたしは今から向かわねばならない。

 ペアルトくん、君にここを任せてもいいかい?」


 ペアルトは静かに頷いた。

 カルタは、安心して背を向けた。


 ――その瞬間だった。


 風を裂く音がした。

 背中から――腹部へ。

 三叉の槍が、突き抜けていた。



 「――ぶはっ!」


 

 血を吐き、カルタが崩れ落ちる。

 振り返ると、微笑みを浮かべたペアルトが槍を握っていた。



 「……どうして?」


 「行かせたくないからさ、カルタさん」


 

 槍が引き抜かれ、カルタは座り込む。

 出血は激しい。

 誰が見ても、致命傷だった。


 彼女は必死に回復の式を唱え始める。



 「ペアルトさん!?」

 「カルタさん!」


 

 冒険者たちが駆け寄る。



 「みんな……逃げなさい……!」

 


 その言葉と同時に、ペアルトが槍を横に一閃した。

 6人のAランク冒険者の身体が、上下に分かれて崩れ落ちる。



 「ペアルト……君は……!」


  

 彼は笑った。


 「不思議だったんですよね。

 みんな裏切り者がジーラブールだけだって思ってることが……」


 

 三叉の槍が、高く掲げられる。

 

 ペアルトが座り込むカルタへ向かって、

 ゆっくりと――確実に歩み寄った。




 


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