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【第一部完結】処刑された最強呪術師、魔法世界で異端となる 〜鬼使いと閃光の剣士〜(第二部連載中)   作者: 鬼喜怪快
5章 百花繚乱戦編(最終章)

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73話 黒幕の名はジーラブール



 呪いが解けた瞬間、

 サラは声を上げて泣いた。

 


 「……生きてる――」


 

 その言葉が、地下室に重く落ちた。

 喜びを噛み締めるサラに、カルタは声をかける。



 「早速だけど、いいかな?」


 サラは息を整え、カルタの目を見た。

 

 「……あいつは」


 サラは、涙を拭いもせずに続ける。


 「わたしたちを仲間だなんて思っていない」


 カルタの視線が鋭くなる。


 「使えるか、使えないか、だけだった」


 ロレンスの名を口にした瞬間、サラの声が震えた。


 「……ロレンスは、失敗したから見殺しにされた」


 「……」


 「わたしも、いつかそうなるって……わかってた」


 全員が見守る中、カルタが静かに問う。


 「シルドを殺したのは、エースと仲間だと言ったね……

 それは誰?」


 「わからない……直接会ったことないから」


 「……彼らの目的は?」


 「人でも、妖でも、モンスターでもない――

 新しい生命体を作ること」


 サラは乾いた笑みを浮かべた。


 「ギルド協会と入れ替えるって、

 世界を刷新するって言ってた……」 


 「エースと一緒にいた人物は、エースより立場は上かしら?」


 その問いに、サラは一瞬だけ黙った。

 そして――はっきりと首を縦に振る。


 「上よ……」


 ベルゼが身を乗り出した。


 「上って何人いる?」


 「最低でも……2人……」


 「……呼び合う名前くらい聞いたことあんだろ?」



 その瞬間、サラの呼吸が乱れた。

 呪いは解けている――

 

 だが、恐怖の記憶は消えていない。


 「……顔はわからないけど」


 唇が、わずかに震える。


 「……ジーラ……って」


 ベルゼが顔を上げた。


 「……なんだって?」


 サラの唇が震える。


 「……ジーラブール、って……呼んでた」 


 その名を聞いた瞬間、

 ベルゼが声を荒げた。

 

 「おい! ふざけるなよ!!」


 

 剣士の英雄。

 Sランクの象徴。

 ベルゼの憧れ。


 サラは、怯えたように肩をすくめる。


 「……間違いない――

 ジーラブールって呼んでいた!」


 「そんなわけねーだろ!」


 「……」


 サラは、ゆっくり顔を上げた。


 「黒魔術……使って、

 新生命体を作れる唯一の奴だから……」



 全員の背筋に、冷たいものが走る。

 

 小角は、カルタを見た。


 彼女は、怒っていない。

 取り乱してもいない。


 ただ――静かに、すべてを見ていた。

 それが、小角には逆に恐ろしかった。

 


 「今日は、ここまでにしよう」


 カルタが言った。


 「あなたは当分、ここで保護する」


 サラが問い返した。


 「……殺さないの?」


 「あなたは知っている側の人間、貴重な存在だ」


 「……随分とあまくない?」


 「相手の中に生まれ変わりの体験者がいる……

 今はそれだけで生かす理由になる」


 

 サラは、何も言わずに俯いた。

 


 ――――――

 


 ギルド協会本部。

 

 協会本部があるということで、

 世界で一番安全な場所として謳われていた。


 しかし、そんな伝説はエースとサラの襲撃により簡単に崩れた。


 救いだったのは、

 カルタのおかげで死傷者がひとりも出なかったことだけだ。

  

 この短期間でSランクの死、テロリスト襲撃と、

 協会の信頼失墜は決定的だ。


 会議室にて、ポンズ、カルタ、小角、フラン、ベルゼが話し合いを始めた。

 ポンズは、話を聞き終えると深く息を吐いた。



 「……最悪の名前が出たな」


 ベルゼが噛みつく。


 「本部長! あの人が黒魔術使うわけねーよ!」


 「……」


 ポンズは視線を落とす。


 「サラが言ったこと……

 おそらく事実だろうな」


 「……!」


 「2年ほど前……ジーラブールを私の命令で調査をさせていた」


 室内が静まり返った。


 「結果――

 黒魔術の使用痕跡が確認された」


 「なっ!」


 「そして、その直後から――消息を経った。」



 小角は、無意識に拳を握っていた。


 英雄が消えた世界。

 その裏で、何かが動いている。


 カルタは、窓の外を眺めたまま呟いた。



 「……やはり、生きていたんだねぇ」


 

 その声に、焦りや怒りはない。

 ただ――何かを悟ったようだった。

 


 世界は、

 思っていたよりも深く、

 静かに、

 壊れ始めていた――






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