88. 3種類目
サリーさんが、慌てたように声をあげる。
「ああ、間違いない。前に一度、パーティーを組んだ弓使いのエルフが、矢の先端に塗る毒に使っているのを見たことがある。たしかにこれは、テリの実だ」
サルクさんが、うなずいて言った。
「ちょっとサルク、エルフって誰よ?!どういう関係?どんなひと?」
サリーさんが、怖い顔でサルクに詰め寄っている。
「えっ?いや、関係って・・べ、べつに、なんでもない!若い頃にちょっとだけ組んでいただけだ!」
サルクさんは、妙にうろたえて答えている。
「申し訳ないけど、そういう事は後でやってくれないか?まずは、こっちを進めたいんだけど?」
俺は苦笑しつつ、調理台の上に並べた材料を指して言った。
「「す、すいません!」」
2人が、顔を真っ赤にして、慌てて距離を取り言った。
「テリは確かに、体の弱い部分・・例えば、目や鼻、口といった所に触れれば、強い刺激で、痛みや熱さを感じて、場合によってはタダれたりもするから、毒と言ってもそんなに間違いでは無い」
「でしょう?」
俺の説明に、サリーさんが言った。
「特に、敏感な獣人のひとたちにはつらいかもしれない」
俺は頷いて言った。
「でも、適量を取れば、食欲を増したり、体を温めたり、疲労を回復したりする効果があるんだ」
これは、市場の薬屋のおばさんからも聞いていたことだ。
「そうなのか・・俺はそこまで薬には詳しく無いから、知らなかったな」
そう言って、サルクさんが感心している。
「・・ということで、料理を続けるよ?」
「「おう!」」
「まずはカーリックを、みじん切りにする。そしてこの間に、パスタの麺を茹でておく」
俺の指示に従って、2人が調理を進めていく。
「で、ガドオイルを炒め用の鍋に入れて、そこにテリの輪切りを入れ弱火で熱し、香りが立ったらこっちのパスタの茹で汁を入れよく混ぜて馴染ませてくれ」
「馴染ませるって言っても、加減が分からないな・・」
ネイサンが、四苦八苦している。
「こんな感じじゃないか?」
サルクさんは、似たような経験があるのか、自分の鍋を見せて言った。
「そうそう、そんな感じ!」
俺が笑顔で頷く。
「そして、そこに手早く茹でたパスタと塩を入れて、弱火で混ぜ合わせる。全体に馴染んだら火から下ろして完成だ」
「「出来た!」」
「「「「「「「おおー!!」」」」」」」
2人の声に、歓声が上がる。
「これが、ペペロンチーノだ。じゃあ、熱い内に試食してみよう!」
配られたパスタを、みんなが口にしていく。
「「「うま~!!」」」
サルクさん、ネイサン、キース。
「「「から~い!!」」」
ミミ、リン、ニーナ。
「「「おいし~い!!」」」
ミーナさん、サリーさん、ポール。
「ワン!」
タロ・・おまえ、辛くないのか?!
「これは、ぜったいエールに抜群に合うな!」
「そうだな!」
ネイサンとサルクさんが、笑顔で言っている。
「「ナニー!!俺たちにも呑ませろ!じゃなくて、食わせろ!!」」
ドンクさんとダンクさん・・そういえば、いたんでしたね・・。




