85.練習の続き
それから、10枚ほど練習を重ねたところ、サルクさんは絶妙な焼き加減をマスターしたのだった。
あっという間に、ネイサンのレベルにピザ作りの技術が上達したサルクさんに、俺だけじゃなくみんなが驚嘆した。
Bランクは伊達じゃないというか、身のこなしからして凄くて、最後の方は一切の無駄な動きが無い完璧な動作で、次々と焼き上げていったのだ。
「この辺でいいでしょう、次はパスタ作りに移りましょう。ネイサン、頼む」
俺は、焼きあがったピザを収納に仕舞いながら言った。
「分かった。じゃあ、麺づくりからだな?」
ネイサンが、うなずく。
「「「「麺?」」」」
新メンバーたちが、顔面に?マークを貼り付けて首をかしげる。
「まー見ていてくれ」
ネイサンが、俺があらかじめ保存してあった生地を渡すと、それを面打ち台の上で引き伸ばし始めた。
「ん?さっきのピザ生地とどう違うんだ?」
すっかり打ち解けたサルクさんが、丁寧語をやめて問いかける。
「そっくりだけど、分量とか少し違うんだ」
「そうか・・」
ピザ生地よりも大きく、そして薄く引き伸ばし終わった生地を、今度は畳んでいく。
「よし、じゃあ切るぜ?」
「切る?」
ネイサンが、畳んで生地を細く切っていく。
「よし出来た!」
切り終わった生地のを、ネイサンが少し持ち上げて、タンタンと小気味の良い音をさせ、台の上で軽く打ち付ける。
「オッ!」
すると、一瞬でほぐれて麺状になったのを見て、サルクさんが驚きの声を上げる。
「これが麺、パスタの麺だ!」
ネイサンがドヤ顔で、新メンバーたちを見回す。
「「「「へーー」」」」
「ハハハ。せっかくだから、一回最後まで作っちゃおうか?」
俺は微笑いながら、収納からトマトソースを取り出した。
「これは、さっきのピザのソースと同じく、トマテで作ったソースなんだけど、レシピが少し違うんだ」
「まずは麺を茹でるか」
ソースを受け取ったネイサンが、沸かしておいたお湯に、さっきの麺を投入し、塩を入れる。
「ほぉー。それを茹でるのか・・」
サルクさんが、感心している。
「・・で、茹で上がった麺を・・ソースに合わせる・・はい、出来上がり!」
ネイサンは、完成したトマトソースパスタを、2口程度づつ取り分けていく。
「じゃあ食べてみてくれ」
俺の言葉で、全員が口にしていく。
「「「うま~い!」」」
サルクさんはじめ、男性陣。
「「「「「おいし~!」」」」」
ミーナさんはじめ、女性陣。
「ワン!」
タロ・・そういえば、この世界の獣は、ニンニクは全然大丈夫らしい・・というか、カーリックはそもそもニンニクとは別物だけど。
「だろ?」
「まあな!」
2人してドヤ顔の、俺とネイサン。
「これがパスタか!」
サルクさんが、目を輝かせる。
「そうです。で、このソースを色々変えることで、様々なバリエーションが可能なんです」
「なるほどー!面白い!!」
「今日は、もう一種類作りますので、楽しみにしていて下さい」
俺の言葉に、サルクさんはますますやる気のある顔になっていく。
「サルクさん、その前に麺作りとトマテソースの作り方の練習をしようぜ!」
ネイサンが、そんなサルクさんに向かって声をかけた。
「そうだな!頼む!」
「もちろん!」




