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35/96

35.説明


次の日から、リンたちが工事現場に通うことになったのだが、その前に一度、風呂というものに入ってもらうことにした。


今あるタライ風呂だと、1人づつが限界なので、順番に入ってもらうことにした。


だがそこで、ちょっとした問題が出た。


「さ、用意ができたぞ。誰から入る?」


「ちょっと待ってください!」


俺が、用意しておいたタライにお湯を張り、4人の顔を見回すと、ポールが手を挙げた。


「どうした?」


「まさか、ここで裸になれって言うんですか?」


「ん?」


ああそうか、今までみんな、なんのためらいもなく裸になってタライ風呂に入っていたから、気にしていなかったが、普通はそういう反応になるのか。


そもそも他人の目の前で、裸になって水(この場合はお湯だけど)につかる習慣そのものが、無い可能性を失念していた。


地球だって、日本以外は大体そういう国が多かったものな。


じゃあ、今まで入ってくれた人たちって、どうなんだ?


・・・よくわからん。


「ごめんごめん、そうだよな。じゃあちょっと、目隠しでもドンクさんに作ってもらって・・・」


「別に俺は気にしないけどよ、だったら水着で入ればいいじゃん」


俺が、ドンクさんの方へ行こうとすると、ネイサンが頭の後ろで手を組みながら、気楽な調子で言ってきた。


「水着、あるのか?」


「当たり前じゃん!夏になったら川とか湖で泳がなきゃ、やってられないもん!」


キースがドヤ顔で言ってくる。


「そうですね、じゃあちょっと家に帰って水着をとってきますか?」


ポールが仲間に確認する。


「だな」


「了解!」


「・・ボクはいいや」


ネイサンとキースが同意する中、リンが俯いてポソリと言った。


「そうだね、リンは入らなくていいかもね」


それを聞いたポールが同意して、リンを見る。


ネイサンとキースも、うなずく。


「いいのか?」


「うん。ポールたちに感想を聞くから」


「まあ、リンくんが良いなら俺は構わないが・・」


「こっちが出来たら入るよ」


目の前の女湯の浴槽を指さす。


「そうか、分かった。絵を描く前に風呂の良さを味わって貰いたかったけど、しようがないな」


俺は、そんなリンの仕草に素直に納得して、うなずいた。



それから、一旦ポールたちが、自分たちの家に水着を取りに戻っている内に、俺はリンに富士山の絵の説明をしていく。


「これが山で、こっちが海。海の上には舟が浮かんでいる。舟はわかるか?」


「うん。この形は知らないけど、大体分かる」


「これが砂州で、松っていう木が生えている」


「ん~サスも、マツも知らないけど、何となく分かる」


「そうか、良かった」


リンは俺の描いたお手本を見ながら、ササっと羊皮紙にデッサン画を描いていく。


「さすがに、うまいな」


お手本よりも、数段うまいデッサン画を見て、俺は思わず呟く。


「あ、ありがとうございます」


すると、リンが頬を薄っすらと染めて、俯いた。


ん?


どうした?


あんまり褒められたことが、ないのかな?


「・・ウォホン。で、リンは雪って知ってるか?」


わざとらしく咳をして、聞いてみる。


「・・え?あ、ああ。もちろん!当たり前じゃ無いですか!冬になったら降るんだから」


やばっ、馬鹿なことを聞いた感じになってしまった。


「そ、そうだな。わりい・・で、その雪が山の頂上の方に、こう・・積もっている感じに描いて欲しいんだ」


「わかりました」


俺が誤魔化すように、説明するとリンはコクリと頷いた。



「ウヒャー!気持ちいい!!」


「俺、これ大好き!」


「これは良いですね、体がサッパリします」


戻ってきた3人(ネイサン、キース、ポール)は、順番にタライ風呂に入って、奇声をあげた。


終いには、狭いタライに3人で一緒に入って大騒ぎになった。


「「コルアー!お前ら、喧しいんじゃー!!」」


結果、ドンクさんとダンクさんに怒鳴られたけど。





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