36.完成!
「いやっほうー!」
「あっ、ネイサンやったな!このヤロー!」
「お、押さないでください!はみ出ちゃいます!」
・・やっぱ、水着着用にしといた方が良いのかな?
3人がタライ風呂に、押し合いへし合いしながら入っているのを見ながら考える。
「うるさいって言っているだろうが!」
「水浸しにするんじゃねえ!」
「「「ハーイ!!!」」」
あれから毎日、リンが壁の絵を描きにきているんだが、一緒にもれなく他の3人が付いてきた。
で、毎回風呂を要求され、リンが絵を描く作業をしている間大はしゃぎをし、そして毎回ドンクさんとダンクさんに怒鳴られる。
「懲りない奴ら・・」
20日後、ついにその時がきた。
「マモルさん、出来ました!」
リンが壁から離れて、笑顔をこちらに向けて、言ってきた。
「うん、イメージ通り!!」
俺はその絵を見て、大きくうなずいた。
「「「すげー!!!本物みたい!!!」」」
3人組も、はしゃぐ手を止めて壁画に注目し、感嘆の声を上げる。
「どれどれ・・・おお!見事だな!」
ドンクさんも、声を聞きつけて見にやって来て、壁画の出来栄えに目を見張った。
「「「確かにすごいですね!」」」
ドンクさんの弟子たちも、驚いている。
「うむ、イーサン皇国の教会の壁画にも劣らない見事さだな」
遅れてやってきたダンクさんが、深くうなずいている。
「そ、そんなに大したことないです・・・」
みんなにベタ褒めされたリンは、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「いや、お陰様でこの銭湯の象徴が出来上がったんだ。とっても感謝しているよ」
「よ、喜んでくれてボクも嬉しいです」
「ああ、ありがとうな!」
そう言って、俺はリンの両手を取って上下に大きく振った。
「やりすぎです」
すると、横からポールが割って入ってきて、俺の手を無理やりほどいた。
「??」
5日後の夕方、俺はドンクさんに呼ばれた。
「あと2日で仕上がりだ」
「本当ですか?」
「ああ、ダンク兄貴が来てくれたおかげで、予想より早く出来そうだ」
「当たり前だ」
「ありがとうございます!」
そうか、そうすると改めてお願いに行かないといけないな。
1週間ほど前、俺はある役割を頼める相手を探すために、ハサン村長の家に相談に来ていた。
「いらっしゃい!マモルおにいさん」
家の窓から、俺の姿を見つけたミミが、玄関の扉を勢いよく開けて飛び出して来た。
「久しぶりだなミミ、元気にしてたか?」
「うん!」
俺は、飛び出した勢いのまま、抱きついてきたミミを受け止めると、そう言って頭を撫でた。
「あら、マモルさん。いらっしゃい」
「よく来たの、工事は順調かの?」
顔を上げると、家からミーナさんとハサンさんが出てきた。
「こんにちは、お久しぶりです。おかげさまで、順調です」
そう言って、頭を下げた。
「すいません、お風呂の方はここんところ、全然来れなくて」
実は、工事の方が佳境を入っていて、お金持ちの家のお風呂とかの、お湯を張って周る頻度を、減らしていたのだ。
で、その事を知ったハサンさんが、うちはいいからと言ってくれたために、10日ほど、この家に来ていなかった。
「よいよい、工事の方が順調にいってくれれば、それがひいては村のためになるからの」
ハサンさんは、そう言って笑った。
「マモルおにいさん、早くおうちに入ろ!」
ミミに手を引っ張られる。
「おや、久しぶりだこと。いらっしゃい」
家の中に入ると、ハンナさんが笑顔で出迎えてくれた。
「それで、今日はどうしたのじゃ?」
ミーナさんの入れてくれた、ハーブティーを一口飲んで、落ち着いたところでハサンさんが聞いてきた。
「実はですね、ここに座ってくれる人に、心当たりが無いかと思って、ご相談に来ました」
俺は、銭湯の設計図を広げて、ある場所を指し示した。




