表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

GW中、次期魔王、大魔王降臨中

遅くなりました。

連載そっちのけでアチコチで浮気してすみません。

王道ともいえる勇司視点です。ドウゾ。

 

 しまった。

 明良とはぐれてしまった。

 ヤバイ。

 明良あきらは特異体質なのに-。


 時間が経つにつれて人が多くなり、地道に探すのは無理だと判断した僕は明良の気配を探した。

 すると、大通りから少し離れた脇道に明良の気配を感じた。

 すぐそばに知らない男の気配も-。

 気づいた瞬間ふっと僕の周りの気温が下がるのが分かる。

 人ごみが多いから歩いていくのは困難、邪魔だからって周りを吹き飛ばしたら明良に怒られるし-ならばと空間転移で明良のそばまで移動した。


 転移すると明良は大通りの反対側を向いて、明らかにナンパ男と対峙している。

 ちっ馴れ馴れしい。

 薄暗いせいと気配を消しているので二人とも僕に気づかずに話している。

 「そんなこと言うなよ。全然連れも来ないようだし、お茶でも飲もう」

 ナンパ男が常套句とも言える『お茶でも飲もう』と言った瞬間、僕はこの男をどう料理してやろうか算段していると

 「しません。お心遣いはありがたいですが、私は何一つ困ってることは無いので、お気になさらず、どうぞ、御自分の用事を済ませてください」

 明良が明らかに余所行きの、営業スマイルとも言うべき(内心の感情を一切悟らせない)笑顔で一気に答えた。

 明良ったらそんなに丁寧に対応しなくていいのに。

 さぁ、そろそろこの身の程知らずの男をどうにかしてくれようか。

 僕はゆっくりと明良に近づいていった。

 すると、良く言えばスーパーポジテイブシンキング、普通に言えばKYな、悪く言うとオツムの足らない男がめげずに

 「君とお茶するのがオレの用事だから、行こう」

 そう言って明良の左手首を無理やり掴もうとして-



 「勝手に人のものに手を出さすな。虫ケラが」

 「ひ…ィッ」

 思わず、身の程知らずな、軽薄なオツムの足らないKY男の後頭部をガシィッと掴み、さらに明良の左手首を掴んでいる男の右手首を骨が折れるほど強い力で握り、痛みのあまり手を外した男から明良を胸に抱きこんだ。


 男は既に涙目で僕を恐怖の眼差しで見つめ、

 「痛っ、放せっ…ヒィッすみませんっ放してくださいっ」

 僕が後頭部をギリギリと締め上げると男はついに泣き出した。

 汚い手で明良に触りやがって。気が済まないなぁ。

 ニヤリと口の端を少し上げて笑うと、男は顔を青白くして

 「…っすみませんすみませんっもうしませんっ」

 さぁこの男をどうしてくれようか。

 「他人ひとのものに手を出したんだからそれ相応の覚悟は出来てるよなぁ。」

 口調が変わった僕に、静かだった腕の中の明良が顔を上げて、

 「ぅぉお、ゆ、勇司?あたしなら、だ、大丈夫だから、ね?か、買い物しよう。遅くなっちゃう」

 明良は僕の腕の中で僕に必死にしがみついて焦ったような口調で僕を説得した。

 明良の願いなら何でも聞きたいけど、ねぇ?

 …ふぅ、これ以上騒いだら兵が来るかもしれないな。

 仕方ない。

 明良に免じてこれくらいで許してやるか。

 「…じゃあ、これからはぐれない様に僕と腕組んでくれる?」

 僕はギリギリと男の頭を握り締めながら明良にそう聞いたら、明良はパァッ笑って、何度も頷いた。

 「うんうん。組む組む。」

 即答で答えた明良に満足した僕は男の頭を解放した。

 「ひぃぃ…うぅ、えっ、ぐす」

 男は解放されたにもかかわらず、その場に座り込んで滝のように泣き出した。

 …呪詛でもかけようか。

 ちらっとよぎった考えに敏感に察知したのか明良はぎゅうぅっと僕の左腕に自身の右腕をからめて、

 「さ、い行こう。お昼に間に合わなくなっちゃう」

 明良から(自発的に)腕を組んでもらえた(条件出したの僕だけど)僕は、それだけで機嫌を直し、男の存在をキレイさっぱり忘れて明良と買い物を続けた。


 ちなみに買い物中はもちろん、お土産も買ってホクホクの明良と一緒に帰りの馬車に乗り込み、馬車の中でも明良と腕を組んだ。

 城に着いて部屋に向かう時もずっと腕を組んだ。

 お土産を右手に左腕は明良と腕を組んでニコニコしながら廊下を歩いていると、すれ違う人がちらちら僕達を見るのでその度に明良は顔をうつむかせて真っ赤にした。

 頬をバラ色に染めて恥ずかしそうに俯く明良は可愛いなぁ。

 ホント、どうしてくれようか。

 宰相のクルツあたりが僕の顔を見たら、悪霊を見たかのような表情をするだろうなと思いながら僕は可愛い明良を飽きることなく眺めてニコニコ微笑んだ。


 

 え、だって、限定しなかったでしょ?場所も時間も。

 明良が腕を外そうとするのを止めて、そう答えると、ガーンとした顔になった明良に思わず小さく笑った。



 

 ダメだよ、安易に約束したら。

 

 




 

 


 

そうやって外堀を埋められていくのさ。

勇司のチャラ男に対してと明良に対しての温度差が伝われば。

伝わりました?

勇司は魔界ではあまり表情が動かず笑わないので、明良の前でニコニコしている勇司を見て宰相だけじゃなく、城で働いている者ほとんどが、『天変地異の前触れか!?』とばかりに驚きます。

お気に召されましたらポチッと評価お願いします。

もう、夏も終わるのにこの作品は5月です。

精進します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ