表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『シュレーディンガーの魔王様〜ただのお世話係の孤児、愛が重すぎる騎士と聖女に囲い込まれる〜』  作者: 虹の箸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/16

英雄たちの誓い

……お二人とも、どうしてここに?」

背後からの足音に振り返ったリトは、目を丸くした。

エレノアとセシリアは、何も言わずにリトの両脇に歩み寄ると、冷たい地面に直接膝をついた。

「団長様!? シスター!? 服が汚れちゃいます!」

慌てるリトをよそに、二人は真っ直ぐに墓石を見据え、祈りを捧げるように両手を組んだ。

「……リトのご両親」

静寂の中、エレノアが厳かに口を開いた。キビキビとした軍人口調でもなく、熱に浮かされた甘え声でもない。それは、一人の気高き騎士としての、嘘偽りのない誓いの声だった。

「私は、王国騎士団長エレノア・ヴァン・クロイツと申します。あなた方が遺してくれたこの気高く優しい魂を……私の剣と誇り、そして命に代えても必ず守り抜くことを、ここに誓います。『そして……ゆくゆくは、私の生涯の伴侶として……』」

「えっ……? だ、団長様?」

驚くリトの反対側で、今度はセシリアが、涙で濡れたおっとりとした声で紡ぐ。

そこにはもう、彼を縛り付けようとする狂気はない。ただ純粋な、底なしの慈愛だけがあった。

「リトのお父様、お母様。セシリアです。あの子は、私が……ううん、『私たちが』、これからもたくさんの愛で包んで、絶対に寂しい思いはさせません。もう心配いりませんよ、ずっと一緒の家族ですからねぇ……」

国を背負う最強の騎士と、教会を束ねる至高の聖女。

二人の英雄が、たかが一介の雑用係の孤児の両親に向かって、命を懸けた愛と保護の誓いを立てているのだ。

しかし、そんな激重な誓いを受けてもなお、我らが主人公・リトの自己評価の低さという「無自覚な鉄壁」が稼働していた。

(なんて慈悲深いんだ……!!)

リトの瞳から、ブワッと感動の涙が溢れ出した。

(たかが雑用係の親の墓にまで、こんなに真剣に祈ってくださるなんて! 『命に代えても守る』だなんて、騎士としての責任感が強すぎるよ団長様! シスターも、孤児院のみんなを家族としてここまで深く愛してくれているんだなぁ……!)

「お、お二人とも……っ! 本当に、本当にありがとうございます!!」

リトはボロボロと泣き出しながら、二人の手を取ってブンブンと上下に振った。

「僕、これからも一生懸命、お二人のためにお掃除とお茶汲みを頑張ります!!」

「……」

「……ええ」

明後日の方向のリトの決意表明に、エレノアとセシリアは心の中で(そういうことじゃない……!)と頭を抱えつつも、その純粋な涙と笑顔に、自分たちの魂が深く浄化されていくのを感じていた。

この瞬間、二人の間に「いがみ合う恋敵」以上の、『この尊い存在を共に守り慈しむ同志』という強固な連帯感が生まれた。

もちろん、明日からの「3日・3日」のターンでは相変わらずバチバチにマウントを取り合うのだろう。だが、根本的なところで、三人一緒の温かい関係性が確かに結ばれたのだ。

遥か上空の天界から、女神が「不器用な子たちね」と呆れながらも優しく微笑んでいることなど、三人は知る由もなかった。

お読みいただきありがとうございました。

もし「面白かった!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、ページ下部にある【ブックマークに追加】や、【☆☆☆☆☆】の評価を押して応援していただけると、今後の執筆の何よりの励みになります!

次回もどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ