表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/3

違和感は、まだ気のせいだと思っていた

勇者候補として選ばれたレオンは、唯一のハズレスキル【逆転リバーサー】を持つ存在として仲間に見捨てられた。


ダンジョン最深部で裏切りに遭い、胸を貫かれる。


その瞬間、死すら反転させる異常な力が発動する――代償と引き換えに。

ダンジョンの通路は、静かすぎた。


俺は歩いている。


どこへ向かっているのかは分からない。


だが、進むべきだという感覚だけはある。


(……理由は、あったはずだ)


そう思った瞬間、思考が一瞬だけ途切れる。


「――そこまでです」


声。


視線を上げると、通路の先に一人の女が立っていた。


魔法使いの装束。


勇者パーティーの一人だと、頭のどこかが告げる。


だが、その“名前”が出てこない。


「あなたは危険です。ここで排除します」


静かな宣告。


敵意は明確だった。


(敵……?)


そう認識するまでに、少し時間がかかる。


「……俺は、何をした?」


問いかけた瞬間、自分でも違和感を覚える。


何をしたかを説明できない。


いや、“思い出そうとすると抜ける”。


「答える必要はありません」


魔法使いが手を上げた。


空気が揺れる。


魔法陣が展開される。


――速い。


普通なら避けられない初動。


だがレオンの身体は動いていた。


横へ。


一歩。


最小限の回避。


(今、どう判断した?)


分からない。


考えようとした瞬間、頭の中が白くなる。


『逆転発動』


声が響く。


魔法が放たれる。


炎弾が直線で殺到する。


通常なら回避不可能な密度。


だが次の瞬間――


すべてが消えた。


いや、違う。


「……え?」


魔法使いの声。


放たれたはずの魔法が、発動前の状態に“戻っている”。


レオンの胸の前で、空間が歪んでいた。


『逆転:魔力干渉』


理解できない現象。


だが、結果だけが残る。


魔法は“なかったこと”になっていた。


「......魔法が.......存在していない?」


魔法使いの声に動揺が混じる。


俺は答えようとして――止まる。


(何をした?)


思い出せない。


だが、身体は勝手に動く。


次の攻撃が来る前に、一歩踏み込む。


魔法使いが防御結界を張る。


完璧な防御。


通常なら突破できない。


だが。


結界が“崩れた”。


崩壊の理由がないまま、ただ壊れる。


「……っ!」


魔法使いが後退する。


俺はその様子を見ている。


勝っている。


その事実だけは理解できる。


だが――


どうやって勝っているのかが分からない。


(俺は今、何をしている?)


考えようとした瞬間。


また、抜ける。


『逆転発動:思考領域を一部消費』


「……またか」


呟く。


少しだけ、考えづらい。


だが問題はない。


戦える。


それだけは確かだ。


魔法使いが詠唱を始める。


今度は本気だ。


空間が圧縮されるような圧力。


(これは危ない)


そう判断する前に、身体が動く。


踏み込み。


剣を振る。


魔法使いの視界が揺れた瞬間――


詠唱が途切れた。


「……っ、なんで……!」


倒れる寸前、魔法使いが何かを言いかける。


だが俺には届かない。


聞こえているはずの声が、意味を持たない。


勝った。


そう認識する。


だが同時に思う。


(今のは、どうやって勝った?)


答えは出ない。


思い出そうとすると、また抜ける。


俺は剣を下ろす。


魔法使いは倒れている。


戦闘は終わった。


――はずだ。


「……問題ない。まだ、戦える」


そう呟く。


その言葉だけは、なぜか正しい気がした。

ここまで読んでくださりありがとうございます。


次回から、レオンに起きている変化が少しずつ明らかになっていきます。続きも読んでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ