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199 ダンジョンボス討伐の再戦

 『匿名のマント』をあと3着集めることになりましたので、すぐにでもダンジョンボス部屋へ移動したいところですが、空腹を感じています。


「時間!」


【5685年11月16日 木曜日 11時41分】


「お、もうお昼の時間ニャ! 2回戦目の前に腹ごしらえをするニャ!」


 僕が時間魔法を唱えると、早速クロが昼食の要求をしてきました。僕の目論見通りです。


「そうだね。これからまだ何回かボス戦をしなきゃならないので、さくっと昼食を済ませておこう」


 僕はそう言って収納魔法からテーブルセットと、昼食としてキクラ町役場の朝食メニューを出しました。まだまだ役場の朝食メニューは残っていますので、こんな時にどさくさ紛れで出さないとなかなか消費できません。クロがそれを見て何か言いたそうな顔をしましたが、この後のミラーゴーレム戦が楽しみなようで、食事への不満は抑えてくれたようです(笑)



 食事を終えたらすぐにボス戦です。食休みなんて言い出すメンバーはいません。なにしろ世間一般的には超強敵なミラーゴーレムも、シロやクロにかかれば簡単に討伐できてしまう手頃な魔物に成り下がってしまうのです。万全な体制で戦いに臨む必要などありません。

 移動先は20階層のボス部屋前ですね。一応千里眼魔法で誰も居ないことを確認しましたが、当然のように無人です。……あれ? もしかして直接ボス部屋まで移動しちゃった方が効率が良いかな? ためしに千里眼で部屋の中を覗いてみると、ミラーゴーレムも宝箱も見当たりません。僕の直感も直接移動しちゃって問題ないと告げていますので、移動しちゃいましょう!


「瞬間移動!」


 あっさりとボス部屋の中に移動できました。みんなもボス部屋に移動したことをすぐに理解してくれたようです。


「直接ボス部屋ニャ! 時間の節約ニャ!」


「さすがはマサト様です!」


「……ちゃんとボスも現れたようですわね」


 部屋の中央にはペガが言うようにミラーゴーレムがちゃんと出現してくれました。先ほどは3匹でしたが、今回は4匹に増えています。それを見て早速シロがハラターマの槍を取り出して駆け出しています。


「あっ! クロにもちゃんと2匹残しておくニャ!」


 シロが魔物に向かって駆け出す(さま)を見たクロが、あわててカラスの剣を取り出しながら後を追います。クロがぼやっとしていると、シロがあっという間に3匹のミラーゴーレムを瞬殺しちゃうことを懸念しているのでしょう。いや、バフが2重にかかっているシロなら、4匹すべてのミラーゴーレムを瞬殺しちゃう可能性もありますね……

 実際に4匹のミラーゴーレムは、シロとクロに2匹ずつがあっという間に瞬殺されちゃいました。


「2着目の赤いマントをゲットだニャ!」


 討伐直後に現れた宝箱は、すかさずクロが開けました。すぐにまた1階の部屋に僕等は強制転移させられます。


「さあ、またすぐにボス部屋に行くニャ!」


 クロが『匿名のマント』を僕に渡しながら、瞬間移動魔法の発動をうながしてきますが……


「ちょっと待って…… まだ瞬間移動魔法の再使用可能時間が……」


 現在の僕の空間魔法レベルはこの世界でも前代未聞と思われるレベル9です。さらに通常の『瞬間移動』よりもパワーアップしたレア魔法の『瞬間移動+』魔法は再使用可能時間も短く、レベル9との組み合わせで1分しかありません。過去にきつねのしっぽ亭からフルーツの町オーキ町まで僕とシロを瞬間移動魔法で運んでくれたデイルさんは、レベル52の超一流空間魔法使いでしたが、その空間魔法レベルは3しかなく、再使用可能時間は1日でした。よって1分というのは破格で短いのです。そしてたった1分以内で4匹のミラーゴーレムを討伐してしまうシロとクロの実力も破格です……


「マサト殿の再使用可能時間が1分でしたわね。どちらも無茶苦茶ですわ……」


 ペガもシロやクロ、そして僕の実力には呆れているようです……


「まあ…… あ! 1分経ったので…… 瞬間移動!」


 1分はすぐに経ったのでボス部屋まで瞬間移動すると、今度はミラーゴーレムが5匹出てきました。もしかして1匹ずつ増えていくのでしょうか?


「3匹目は早い者勝ちニャ!」


 シロとクロはあわててゴーレムの方に駆け出しますが、僕も刀術を鍛えたいので1匹譲ってもらいましょう。


「ちょっと待って! 僕に1匹残しておいてよ!」


「わかりました」

「わかったニャ!」


 シロとクロは僕の要求にはあっさり応えてくれましたので、僕もハヤブサの刀を出してミラーゴーレムのもとに走り出します。

 僕の討伐対象に割り当てられた1匹のゴーレムに近づくと、すかさずパンチを放ってきます。シロやクロならすぐにカウンターでそのゴーレムの腕を切り落としてしまうのですが、僕の実力だとなんとかパンチをかわしてから刀で腕に切りつけ、小さな傷を与えるくらいしかできません。そのようにヒットアンドアウェイでちまちまと反撃を加えてゆき、やっとゴーレムの右腕を切り落としたところで一息つくと、すでにシロとクロはそれぞれ2匹のゴーレムを討伐済みで、僕とゴーレム戦の観戦モードに入っていました。


「マサトの踏み込みはまだまだニャ……」


「マサト様は基本的には魔法使いなのです。それに我々と違ってマサト様からのバフが受けられません。それでもお一人でミラーゴーレム相手に圧倒できているのです! さすがはマサト様です!」


「もちろん、魔法込みならマサトは人類最強ニャ!」


「人類どころか、無詠唱の雷電魔法で魔王でさえマサト殿は瞬殺しますわ…… もしかしたら攻撃魔法が効かないミラーゴーレムこそが、マサト殿にとって最強の敵なのかもしれませんわね(笑)」


 3人が暢気(のんき)な感じで会話をしていますが、僕の方も片腕をなくしたミラーゴーレムの脅威が下がって一息ついている中です。でも、討伐するまでは気を抜いてはいけませんね。その後も頑張って左腕を切り落とし、最後に首をはねて討伐することができました。


「3着目ニャ!」


 クロが『匿名のマント』を取り出すと同時に、僕等は再び1階層の部屋に転移させられました。クロからマントを受け取ったらすぐにボス部屋に瞬間移動します。今回は1分以上経過していたので、すぐに瞬間移動魔法を唱えることができました……



「今度も5匹ニャ……」


 ボス部屋のミラーゴーレムの数は3,4,5と増えてきていましたが、今回は前回と同じ5匹でしたので、単純に増加していくことはなさそうです。クロが残念そうに呟いていますが、僕としてはほっとしています。単純に増加していく場合、シロやクロが際限なく再戦を要求して、最終的には同時にとんでもない数のミラーゴーレムと戦うことになりそうなので(笑)


 僕の2回目のミラーゴーレム戦は、1回目よりはうまくできたような気がします。やはりシロやクロは途中から観戦モードになっていましたが、それほど長い時間待たせることはありませんでした。


「あれ? 今度は黒いマントニャ!」


 クロが宝箱からとりだしたマントは、前回までの赤いマントではなく黒いマントでした。1階層に強制転移された後にマントを鑑定してみましたが、その結果は赤いマントとまったく同じ『匿名のマント』でしたので、鑑定では色情報は無視されているようです。


「まあしょうがないニャ。ペガだけ黒いマントで頑張るニャ……」


「ちょっと! なんでわたくしだけ色違いになるのです! ボス戦をもう1回すれば良いことですわ!」


 まあ、せっかくならみんなで同じ色に揃えたほうが良いでしょうから、ペガの要求通りもう1戦しましょう!



 ……などと考えてボス戦をしていたら、その後もマントの色は青や茶、緑など様々な色が出続けて、4着目の赤色のマントが出るまで25回もボス戦をすることになりました……




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