196 大人の階段
いつものようにシロとペガは特別魔法でバフ満タンにして眠らせ、今夜の同衾はクロの順番です。なんやかんやで2人に清掃魔法を掛けて寝ようとしていたところで、クロから爆弾発言がありました。
「クロとはお休みのキスをしてくれないのかニャ?」
「えっ? クロとはってどういう意味?」
「もうマサトとは恋人関係ニャ。シロにもしているように、クロにもキスするニャ!」
「な、なんでシロとはキスしているって知っているの?」
そう、シロとはフルーツが特産のオーキ町に2人だけで赴いた夜、ファーストキスをしていますし、その後もシロと同衾する夜にはお休みのキスをしていましたが、クロはその場面を見ているはずがありませんし、シロが僕との秘密を漏らすとは思えません……
「やっぱりニャ…… 2人だけで果物を買いに行った夜から、微妙に雰囲気が変わっていたニャ」
なんと! 僕とシロとの距離感が少し変わっていたことをクロは感じて、カマをかけられたようです。見事に引っかかってしまいました! クロのドヤ顔には降参するしかありません。
「やられた……」
「まあ、マサトとシロの付き合いの長さからすれば、先にシロに手を出してしまうのもしょうがないニャ」
手を出すって、なんか人聞きの悪い言い方を……
「でもクロとマサトも単純な行商のパートナーではなくなって、婚約者となったニャ! クロともキスするニャ!」
まだ正式な婚約まではしていないと思いますが…… でもクロはすっかりキスをする体勢になっていて、僕の方に瞼を閉じた顔を向けています。クロの顔はあらためて見るまでもなく完璧な美少女です。シロが清楚な美少女女優だとすれば、クロはキュートな美少女アイドルって感じで、僕なんかが二股かけてもよいのか疑問なんですが……
「乙女をあんまり待たせてはいけないニャ。どうせマサトはたくさんの女達とハーレムを作るんだから、二人目で躊躇している場合ではないニャ!」
二股どころではありませんでした……
まあ、この世界では重婚は合法ですし、クロの僕に対する思いは自分で言うのもなんですが本物だと確信していますので、シロとはキスしてクロとはできないなんて差を設けるのも良くないですね……
なんて言い訳を考えてはいますが、実際のところクロとキスできるなんて、まあ、うれしいという気持ちもあることは否定できないというか、なんというか……
じれたクロが目を開けて何か言おうとしていますが、そっと左手をクロの右頬に添えて僕の顔を近づけると、クロの瞳は再び閉じられました。よく見るとクロのまぶたが少し震えていて、体も少し緊張で硬くなっているようです。余裕の感じを見せていたクロですが、実は不安な気持ちを心の奥に隠しているようです。クロの緊張を解くために、まずは左頬に軽くキスをしてみました。
「ニャニャ!」
クロが予想していた場所とは違っていたためか、少し戸惑っている様子が伝わってきましたが、僕はかまわずクロを引き寄せてぎゅっと抱きしめました。
「ニャ~、それはまだ違うニャ~、そんなことでは誤魔化されないニャ……」
少し顔を離すと、クロの抗議らしき声が聞こえてきましたが、頬は赤く染まり、開かれた瞳は少し潤んでいます。右目が青、左目が緑のクロのオッドアイはとても神秘的で吸い込まれそうな気がしてきます。
そしてクロの瞳の吸引力に誘導されるまま、再び顔を近づけて、唇同士を軽く触れさせました。これでクロとのファーストキスですね……
「やっとマサトにキスしてもらえたニャ!!」
今度はクロから僕に抱き付いてきて、キスをしてきました。がっつり唇同士がかみ合い、そしてなんとクロの舌が僕の口の中に侵入してきました。え~、これって大人のキスってやつですよね? クロの舌は僕の口の中で暴れ回るので、それを押しだそうと僕も舌で対抗すると、2人の舌が絡み合ってこれがなんとも言えない感じに……
「マサトにがっつりキスしてもらったニャ!」
「がっつりやったのは僕じゃなくてクロの方では……」
「ニャハハハ…… マサトのファーストキスはシロに譲ったけど、ファーストディープキスはクロがもらったニャ!」
長かったのか短かったのかはわからないキスを終えて、僕は大人の階段を一歩登ってしまったようです……




