表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/336

127 黄色魔人

 ホウライからの商人達が去って行った後は、みんなで戦った後を巡って魔石を拾っていきます。拾うといっても、僕の収納魔法でさくっと収納していくだけなので、そんなに時間は掛かりません。僕の空間魔法レベルは5なので、半径5メートル以内のものを触れずに収納することが可能です。


「先ほどの娘はこの先のプゴル村でモフるのかニャ?」


「先ほどの娘…… ああ、キヌさんという名前だったよ。キヌさんに特別(モフモフ)魔法を掛けるのは、ホウライ国で再会した後が良いと思う。治療の代金をちゃんと受け取って、貸し借り無しの間柄になった後で、改めて商売相手とか友人とかの関係を築こうと思っている」


「向こうにとってはマサトは命の恩人だから、対等な関係にはなかなかならないニャ」


「ホウライ国の案内もしてくれるようだし、いろんな商材の紹介もしてもらう予定だから、貸し借り無しには出来ると思うよ。それに今回の戦闘だって、クロにとってはたいしたことない難易度だったでしょ?」


「そうニャ! 朝飯前、というか昼飯前の簡単な運動だったニャ!」


「そういえばお腹が減ってきましたわ」


「ペガはご飯を食べる必要がないはずだニャ!」


「もう食事の習慣が付いてしまったので、しょうがないですわ!」


 時間は13時半を過ぎています。魔石は半分以上拾ったので、あと5分もあれば収納し終わるでしょう。しかしあと5分後にここを出発したら、いくら魔導自動車とはいっても、マロンが本気で走ればキヌさん達に追いついてしまうかもしれませんね……


「今回、マサト様がこちらに来ることを優先した直感スキルは、先ほどの商人達を助けることが目的だったのでしょうか?」


 直感スキルってその選定理由が本人にも示されないのが問題なんですよね。でも、きっとキヌさん達を助けることが目的だったとは思います。キヌさんを仲間にすることが出来れば、僕の商売の大きな助けになるでしょう。


 でも、まだなんかモヤモヤするというか…… 森の奥にまだいる感じがします……



「何か来るニャ」


 僕が森の奥を見つめていると、クロも同様に森の中に視線を向けて(つぶや)きました。クロの空間魔法レベルは3もありますが、使える魔法は探査魔法のみです。僕の空間魔法は収納とか瞬間移動とか地図魔法などいろんな魔法が使えますが、探査魔法は持っていません。レベル3の探査魔法は、気まぐれで働く直感スキルよりも、魔物の接近に関してははるかに役に立ちます。


「ゴーレムの集団のようですね」


 そう言ってシロは魔槍ハラターマの槍を構えて森の中に入ろうとしますが、


「ちょっと待って! 何か様子がおかしいよ」


 シロを呼び止めてゴーレム達の様子を見るように(うなが)しました。


「動きがギクシャクしているニャ」


 クロの言うとおり、ゴーレム達の動きがぎこちない感じです。普段の魔物であれば、人間を見つけたら真っ直ぐに向かってくる習性があります。しかし今こちらに向かってきているゴーレム達は、こちらに来ないように抑えつけられているのを無理矢理振り払ってきている感じがしています。


「ゴーレムのような強力な魔物が、こんな森の浅いところまで来ることが少ないことと関係があるのでしょうか?」


 シロのいうことも判ります。たしかに道にまで強い魔物が出てくることは(まれ)です。たまに出てくると、この前の西街道での狂い熊騒動のように大きな問題となってしまいます。ここは問題になる前に、人知れず討伐してしまいましょう!


「せっかくゆっくり近づいてきているんだから、僕の魔法の練習になってもらうよ。いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち!!」


 僕の雷魔法の最大出力、レベル5のいかずち魔法を接近してくる岩ゴーレム達に放ったところ、無事に全滅させることが出来ました。バリバリという轟音と、稲光(いなびかり)が派手に響きました。


「おお、相変わらずマサトの雷魔法はすさまじいニャ!」


「19匹もの岩ゴーレムが一瞬で…… さすがはマサト様です!」


 岩ゴーレムの魔石を拾いに行くと、そのすべてはレベル60以下の魔石でした。つまりレベル51以上60以下の、飛行船の発動機に使える超高価な魔石です。ソウヤさんのところにはひとつ当たり8500万エンで売却する約束をしていますので、19個で16億1,500万エンですね。まあ、19個も持ち込んでも全部は引き取ってくれないかもしれません。値崩れ必至ですね(笑)



「まだなんかいる気がするニャ……」


 クロがまだ森の奥を見つめています。そして、僕の直感スキルもまだこれからが本命だと告げています。


「きー! せっかく育てていた魔物軍団が! あんなに派手な戦闘をしてくれたので、抑えが効かなかったデフ!」


 森の奥から全身黄色の人が出てきて叫んでいます。言葉をしゃべっているって事は魔物ではなさそうです。全身黄色いタイツを着た人でしょうか?


「全身黄色の変態紳士かニャ?」


「へ、変態って……」


 いや、まあ、全身が目立つ黄色の服を着ているわけだし、変態と言われたら、そんな気もしますが……


 黄色い人はゆっくり近づいてきます。何やら頭から角が生えているように見えます。全身タイツの付属品なのか、何らかの獣人なのか……


「違いますわ! アレは魔人ですわ!」


 ペガがいきなりそんなことを言い出しましたが……


「魔人? って、魔王軍を構成する兵隊のこと?」


「そうですわ」


 僕の質問にもペガは自信を持って肯定します。


「まだ魔王が復活したとは聞いていませんね……」


 シロも疑問を投げかけます。たしかに魔王復活の噂はありましたが……


「まあ、鑑定すれば確定するよね。 鑑定!」



【魔人 イモン レベル99 魔王軍】

 体力 273/299 x2

 魔力 299/299 x2

 スキル 体術(格闘5)

     詠唱省略

     飛翔3

     物理防御2

     魔法防御2

 魔法 生活2(時間、着火、清掃、照明)

    水3(氷弾)

    火4(火の玉、火の壁)

    風4(かまいたち)

    土3(石弾)

    身体強化2

    空間4(探査、収納、瞬間移動)

 状態 激怒



「うっわ! レベル高いニャ……」


「いきなりこんな高レベルな魔人が発生するとは驚きですわ……」


「これは私やクロでは厳しいかもしれませんね……」


 やはり魔法軍の魔人でした。そしてあまりの強さに3人とも驚いています。


「おまえらなんなんデフ? まだ勇者の選定はされていないはずデフ! まずは魔王様復活の前祝いとして、近隣の村をゴーレム軍団で殲滅する計画が台無しデフ!」


 魔人は僕をビシッと指さし問いかけてきました。顔はイケメンオヤジで渋い声って感じですが、全身黄色と変な語尾、ぶんぶん振っている悪魔っぽいしっぽが台無しにしています。


「タダの通りすがりの行商人ニャ!」


「そんな訳あるかデフ!!」


 もともと激怒していた魔人は、クロの言葉にさらに怒ったようで、空中に飛び上がって僕等に魔法攻撃を仕掛けてくる感じです。空中に浮き上がっているのは飛翔スキルってやつでしょう。そして詠唱省略スキルも持っているので、すぐになんとかする必要があります。 ってなわけで、 いかづち(5)!


「うわっ デフ! 無詠唱まで持っているデフか?」


 いかづち魔法はギリギリかわされてしまいました。飛翔スキルって聞いたことがありませんでしたが、レベル3でもそれなりのスピードが出せるようです。でも魔人の魔法発動を妨害することはできました。雷魔法は魔人の弱点のはずなので、相打ち覚悟で魔法を放つことは避けたようです。


「いかづち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち! いかずち!」


「うわーデフ! こんなにいかづち魔法を連発できるなんで、お前は大魔道士デフか?」


 空中を飛翔する魔人にいかづち魔法を当てることは出来ていませんが、魔人に攻撃魔法を発動させることは防げているようです。魔人は詠唱省略スキルを持っていますが、魔法名をある程度の集中力を伴って発声する必要があるようで、僕の連続攻撃でその隙を与えないことに成功しています。


「火の玉! 火の玉! 火の玉!……」

「氷弾! 氷弾! 氷弾!……」

「氷弾! 氷弾! 氷弾!……」


 シロ、クロ、ペガまでもが魔法攻撃を開始しました。クロは魔法を発動させながら、さらに同時に弓矢も放っています。


「くっ、こうなったらいったん離れるデフ!」


 僕のいかづち魔法を避けるのが最優先のようで、3人の攻撃はたまに命中していましたが、あまり効いてはいないようです。『物理防御』とか『魔法防御』などのスキルのせいでしょう。でもさすがに分が悪いと思ったのか、急速に離れて行ってしまいました。


「もうマサトのいかづち魔法しか届かなくなったニャ」


「これだけ離れると、もう命中させることは出来ないね……」


「どうするのです? 何か嫌な予感化しますわ!」


「……まだマサト様には奥の手があります。今こそ使うときです!」


「奥の手か…… これを使うのも嫌な予感がするんだけどね……」


 そう、僕の雷魔法の最上位は、『いかづち』ではなく『雷電』です。でもこの『雷電』魔法って非常にレアでして、ほとんど勇者専用と言われているんです……


「こうなったら私が直接近隣の村を滅ぼしてくれるデフ!!」


 魔人は僕等に背を向けて、僕等の次の目的地であるプゴル村の方向に飛び始めました。これはまずいです!


「仕方ない! 雷電(らーいでぃーん)!!」


 バリバリと大きな音を立てて、強力な雷がものすごい速さで魔人を(とら)えました。


「でぃーいぇーふーー!!!」


 魔人は独特の断末魔をあげてから消滅しました。さすがは勇者の対魔王用最強攻撃魔法と呼ばれるだけのことはありますね……


「おー、さすがはマサト様です!」


「すごい威力だったニャ!」


「マサト殿はまさに……」


 3人とも感心してくれていますが、僕はまだ嫌な予感が続いています。それを裏付けるように、今まで降っていた雨が上がり、雲が急速に消えて日が差してきました。


「ま、まさかこれは、アレの前兆かニャ?」


「ビオン村で聞いていた……」


「創造主様がとうとうマサト殿を選定されたのですわ……」


 ええっ~ それは困ります。約束が違います~!!





次回は「勇者爆誕!!!」です。お楽しみに~



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ