リスボーン
「もう34歳の体だけど、本当にいいのかい?」
冗談っぽく言ってみる。
『はい、申し訳ありませんが、お願いします。』
真剣な眼差しで俺を見つめてきた。そうだ、あれから4年以上たったのだ。
身体はがっしりとし、身長は170くらいだろうか。
なにより顔つきが、グッと男らしくなり、髭も生えてモテそうな顔をしている。
「ちょっと話そうか」
そう言って、俺は今の状況を伝えた。あの後俺は、頑張って生きた事、キミに感謝していると。そして今は、動物を治療する職に就いてること。
なにより、死のうとはもう考えなくなったことを。
彼は、微笑みながら、黙って聞いてくれた。
「そっちはどうだった?」
彼は、静かに話し始める。
あの後傭兵団に入り、みっちりと身体を鍛え上げ、魔術が他の人間より圧倒的に使いこなせており、魔獣の討伐で功績をあげ、早く昇進できたらしい。
そしてその給金で、親孝行できたこと。苦労もあったが、幸せだった日々が続いた。だが、魂が体から離れていくのを感じたらしい、もうこの世界では長くないことを。
そして今は、傭兵団の副隊長まで登り詰め、もうこの世界には未練が無くなり、早めに俺の所に来たらしい。
後にこの体に変わる「俺」のために、これからどうするかをゆっくり考えさせる時間を作ろうと、仮病を使い、今はアミューレ王国の病院にて療養してるそうだ。
一つ疑問をぶつけた
「また禁術使ったのかい?」
彼は、禁術で体と魂が二度とつなげることはできなくても、元に戻ろうと周期的に近づくらしい。
そこを、ヤヒロ本人の魔力で、この世界と異世界の魂に声をかけてる状態だという。
それに魂だけが異世界の物として見なされ、俺は本来の世界の住人ではなくなったらしい。異物として見つけるのが簡単だったようだ。
そして、俺自身の意志さえあれば、魂は完全にヤヒロ=モリユギに定着し、完全にこの世界の住人になるだろうと。
そしてお互い元の世界には、二度と戻れないと。
その彼が唐突に
『この4年間であなたの気が変わってしまったのなら、僕は運命として受け入れます。』
なにを言う、キミは俺の恩人だ。たしかにあっちの世界で立て直せることが出来、かなり充実していた生活を送っていた気もする。
だけど、俺はもう一度違う人生を送る覚悟で、生きてきたのだ。未練はあるが後悔はしない。
彼に気は変わってないことを伝えると、安堵した表情だった。
そしてあっちの生活でどうしたらいいかを、念入りに教え、日記を見ろと言った。
最後に
「もう一度やり直せる人生をくれてありがとう。」
と言うと、
『僕の方こそ。』
―俺が目を覚ました時は、見知らぬ天井だった。
そして俺の第二の人生が始まった。
ありがとうございます。




