出会いの真実
『僕があなたの前に現れた理由を教えなければなりません。』
彼が俺の前に現れた理由。そして彼が俺を選んだ理由。
―それは
『はい、順を追って説明します。まず、あなたを選んだ理由は、あなたが生きることを自分の意志で手放してたからです。それで魂が剥がれやすかった、というのが大きな理由です。そして、身体が健康だったこと。』
なるほど。あの時、俺は確かにこのまま死んでもいいと思っていた。
『そして現れた理由ですが、体が魂と別れると、元に戻そうと引っ張り合うのです。そしてそれが、今まさに戻る時です。』
おいおい、突然元の世界に戻るのかよ。
『ですが、意思という魂が完全に拒否すれば、もう二度と身体には戻りません。』
そうか。俺はもう本来の世界で生きていく気はもうない。あのドン底状態の俺が復活したのは、このヤヒロ君が頑張ったからだ。
俺は、この世界で生きていくと言おうとしたが、
『僕は、やり残したことがあります。だから、もう一度本来の世界に戻りたい!』
急だった。まさか俺に説明と了承を得るために現れたのはではないのか。
『僕はあの世界で母さんに、姉さんに、おばあちゃんに何もしてあげられなかった・・』
彼は涙を流しながら振り絞るように言う。
『勝手なことだと思います!でも、僕に恩を返すチャンスをください!』
2年間付き合った身体がその場に土下座した。
「うん、いいよ」
ハッとするように彼は俺を見上げる。
俺自身、どちらでもよかったと思う。ただ、死のうと考えてた俺に別の世界で生きるチャンスをくれたのは彼と祖母のメリルだ。
おれはその恩に報いるべきだと感じたからだ。
「でも、本来の体に戻ると、また病気になるんじゃないか?」
と聞くと、
『いえ、禁術でヤヒロの体の病は治っています。ただ・・・』
「ただ?」
『23歳で僕の魂が入ったヤヒロの身体は死ぬ、という運命変えられません。ですが、本来のあなたの身体なら60歳以上生きることが出来ます。』
そういうものか。っていう長生きしそうなんだな、元の俺は。俺の魂が入ったヤヒロの寿命は聞かないでおこう。怖いから。
『僕に22歳までの5年間をください。』
そう言ってまた俺に頭を下げる。
もういいよ、よくわかったと思いながら、彼に手を伸ばす。5年はちと長いかな?と思いながらも、頷いた。
『ありがとうございます。』
そして目の前がぼやけて、真っ白になっていく。「また5年後迎えに来ます。」という声と共に、闇に沈んだ。
そういえば、どうやって迎えに来るんだろうと思いながら。
―目が覚めると、2年前に生きる意志を手放した実家だった。
ありがとうございました。




